「中国から見た日本 — 自分を変えた3つの出来事」(1)

初めまして、清水幸治と申します。開国ジャパンでは、これまでの中国やアメリカでの経験を通して、考えたことや学んだことなどを、少しずつ振り返っていきたいと思います。

 

大学を卒業して、電機メーカーに入社して初めて配属されたのは海外部門の中のいわゆるスタッフ部門。海外営業になりたかったのに、希望通りにならず、当時のもっぱらの関心事は社外のネットワークを広げるための飲み会の設定でした。よく飲みにいきましたが、仕事にはあまり身が入らず。一方で、飲み会中に仕事やビジネスの話をしだす人を見るとよくうんざりしていました。

 

そんな私がなぜアメリカのビジネススクールに行きたいと思うようになったか?きっかけとなった出来事は、担当が中国市場に変わったこと、それによって日本以外の世界に触れる機会が格段に増えたことでした。

 

変化と発展が特に激しい中国で、「世界は急激に変わっていて、日本も自分も変わらなければならない」ということを知りました 。

 

コラムの第一回目は、中国で経験した出来事がどのようにして自分の考えを変えたかについて、振り返りたいと思います。

 

1. 「事業が拡大していないのに、どうして給料を上げられるの?」

 

これは、約5年前北京で中国人の同僚から聞かれた質問です。私はその時、北京に駐在していました。何年たっても中国人従業員の給料がほぼ横ばいなのを申し訳なさそうに話したときに、彼は空中に指で平行線(売上)と右肩上がりの線(コスト)を描いて、不思議そうな顔をしながら聞いてきました。

 

今でこそ、給料を下げている日本企業もあるようですが、当時、伝統的な日本企業のサラリーマンとして、年を取れば必ず給料も増えて家族を養えるというシステムは至極合理的、と刷り込まれていたように思います。

 

売上が変わらず、コストが増えれば、当然、赤字が拡大するか、黒字が減る。当然といえば当然のことです。もちろん反論する術はなく、少し恥ずかしい 気持ちになったのを覚えています。

 

よっぽどでない限り日本では従業員を解雇できないので、この年功序列や定期昇給といったシステムの前提となっているのは「永続的に事業は拡大し続ける」ことだと気づきました。

 

しかし、そんなことはありえません。ねずみ講と同じようにいつか辻褄が合わなくなる、その時はどうなるのだろうか? というようなことを考え始めるきっかけとなった出来事でした。

 

グローバル化により、日本企業の新たなライバルが急増しているなか、昔のように全ての企業が同じく成長することは難しくなりました。前提が変わった以上、システムを変えなければならないところを、日本企業は過去20年間、新規雇用抑制、給与減や自主退職によるリストラでなんとか辻褄をあわせてきました。

 

ただ、これは根本的な問題を解決するための大きな変革を社会全体が先延ばしにしているだけで、日本企業に余力がなくなれば、一気に瓦解する可能性を秘めている、と個人的には思うようになりました。

 

そうなった時に自分はどうなるか?そしてその時自分は何ができるのか? という不安や焦りが、2010年に勤めていた会社を辞める決断に至った理由の一つです。

 

 日本の常識でも一歩外を出れば、非常識になるもの

 今までそうだったからというだけの理由で続けているもの

 時代遅れで既に合理性が失われているもの

 

こういった、いわば「チョンマゲ」のようなものを、いまだ多くの日本人や日本の社会が後生大事に持っているような気がします。自分自身もささやかな出来事で、一つの気づきを経験しましたが、まだまだ多くのチョンマゲを内包していると思います。

 

先日、Wiproというインド企業のCTOの講演を聞く機会がありました。「60ドルのタブレット端末を作る」と鼻息荒く、今後の目標を語っていました。 それを聞いていた日本人ビジネスマンと思われる50代くらいの男性が「ありえない」というような仕草をしているのが見えました。

 

これも一種のチョンマゲだと思います。飛躍しすぎかもしれませんが、 その時想像したのは、この男性が働いている会社は世間が驚くようなモノを作れないだろう、ということです。逆にこのインド企業は60ドルのタブレットを将来作るだろうと。

 

もちろん役職や立場の違いはあると思いますが、勢いや意志の差を感じました。「今までそうだったから、今後もそう」というような意識のチョンマゲも、日本から活力を奪っているかもしれません。

 

日本を見渡してみると、誰もが破綻すると思っている年金制度、誰もが変えなければならないと思っている政治のシステムなど、時代の変化に応じて変えなければならないのに、今までそうだったからというだけで、続けているもの、解決を先延ばしにしているものが日本にはたくさんあると思います。

 

江戸時代末期の武士が揃って、何百年(!)と続いたチョンマゲを切ったように、 「いつでもチョンマゲを切れる人」 (=グローバル人材への第一歩?)がもっと増えれば、これらの問題ももっと早く解決されるかもしれません。

 

少し長くなりましたので、2つ目以降の出来事は次回に持ち越したいと思います。


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