日本企業のグローバル化のボトルネックは人材マネジメントにあり

1.もはや「日本人・男性・正社員」マネジメントには限界

筆者は、1ヶ月に1回以上のペースで新興国を中心とした日本企業の現地拠点に訪問する。その際にお会いする方は圧倒的に「日本人・男性・正社員」であることが多い。また、ここ最近はグローバル人材マネジメントをテーマにした勉強会やセミナーを開くことも多くなってきた。そこに集まる方々も「日本人・男性・正社員」が80%以上を占める。グローバル化した事業の現地拠点に来ているのに対応する人はグローバルっぽくない。グローバル人事を勉強する仲間たちの集まりもグローバルっぽくない。私たちはこのような状態にまずは危機感を抱かなければならない。

グローバル展開を志向している経営者と議論をすると、世界市場で勝ち抜くには、人事自体がダイバーシティを推進すべきだという意見をよく聞く。これは逆説的に言えば、日本企業の事業経営者は国境・国籍を意識せずに市場拡大を図っているにも関わらず、肝心の「人」部分、つまり人事がそれに追いついていないと実感しているということだ。つまり、人事がボトルネックになって事業のグローバル展開の邪魔をしている状態を早く解消しなければならない。

弊社は表参道にオフィスを構える日本の会社だが、社員の半数以上が外国人だった時期がある。その頃の社員は、殆どが母国語に加えて英語と日本語を話すことができていた。おまけに大学院ではビジネスとHRMについて学んできた社員もいた。

グローバル組織人事コンサルティングをする上で、純粋に優秀な方を採用しようとした結果、このように外国人材が多い会社になってしまった。日本人の応募者だけでは、これだけのスペックを確保できなかったという事実がある。そして、外国人材に目を向ければ、まだまだ沢山の優秀な社員候補に出会うことができるというのも事実である。

このことに気づいてきた日本の大企業も増えてきた。一昨年までは殆ど注目されていなかった留学生採用の市場が拡大してきている。彼ら彼女らは、企業インターンシップ経験も豊富で、異国である日本に留学してきているという時点でグローバル人材としての素養を持っている。グローバル対応力のある人材を早く確保したい企業側は、日本人社員を採用してグローバル人材に育成するよりも、外国人採用という手っ取り早い方法に流れるのは必然である。

このような動きと相まって、女性社員の比率も増加してきており、ますます「日本人・男性・正社員」を前提としたマネジメントの仕組みは修正を迫られるようになってきている。

 

2.「業務」のグローバル化ではなく「人」のグローバル化。「にわかグローバル人材」が求められる時代へ

組織人事コンサルティングという領域は、一部の人材をのぞいて多くのコンサルタントは、国内市場だけに目を向けていれば商売ができた。しかし、ここ2〜3年は違ってきている。クライアントからの相談事項に必ずといっていいほど、海外や外国人に関係する課題が登場してくるのだ。

かくいう筆者自身も5年前まではドメスティックな人材であった。しかし、この傾向をいち早く察知した筆者は、無理矢理にグローバル人材マネジメントの領域に足を踏み入れ、試行錯誤をしながらクライアントとともに課題解決に取り組むようにしてきた。

その結果、今ではグローバル組織人事に関する相談がたくさん筆者のもとに届くようになってきた。時代の必要性があまりにも大きいので、取り組めばすぐに周囲から求められるグローバル人材になる。このような、いわば「にわかグローバル人材」が増えてくる時代になってきた。

これは、帰国子女やMBAホルダーなど、一部の「英語ができる」人材がグローバル案件に関わるというのではなく、英語ができるできないに関係なく、普通の社員がグローバルを意識しなければならなくなったということだ。つまり、今までは、一部の海外案件に関わる要員がいれば市場は拡大していったのに対して、これからは、ほぼ全ての人材がグローバルを意識して業務をやらないと市場が拡大しないという状態になったということだ。

これまで、一部の海外案件に関わる要員が、一生懸命に海外拠点や国際業務をつくってきた結果、最後の課題として「人」のグローバル化が残っていると言えるだろう。「業務」のグローバル化はできても「人」のグローバル化が追いついていないのである。

 

3.仕事を求めて人が移動するのではなく人を求めて仕事が移動

もう一つ注目したい事象としては、ホワイトカラーの仕事が海外移転してきた事実である。例えば、筆者の会社は、給与計算・経理・ホームページ更新・顧客データベース管理などの間接業務の全てをベトナムで実施している。提携先のベトナムの会社では、日本語ができる専門スタッフが30名ほど常駐していて、私たちの間接業務を破格の価格で実施してくれている。

ここでお知らせしたいのは、彼女たち(女性スタッフが多い)は、単に日本語ができるというスタッフではなく、給与や社会保険、簿記会計などの専門知識を持っていて、かつ、デザインなどにも秀でたスキルを持っていることである。それでいて、賃金水準は日本人スタッフの10%以下である。知識もスキルも日本人以上であれば、ここに頼まない理由はあまりない。

かつて、生産部門(工場)が海外に移転して、多くの日本の雇用が減少し社会問題になった。しかし、これはブルーカラーの話であった。今から起こることは、ホワイトカラーの仕事、特に間接業務の仕事がどんどんと海外に移転していくということだ。ITの発展により、このようなことが可能になった。ホワイトカラーの仕事はほとんどがデジタルデータで処理されるようになった。

その結果、言語の問題をクリアしてしまえば、仕事はどんどん国境を越えて移動する。これはつまり、仕事を求めて人が移動するのではなく、人を求めて仕事が移動する時代の到来と言えるだろう。弊社が提携しているベトナムスタッフの給与は日本人の20分の1から10分の1である。1人の日本人の給与で現地では10~20人のスタッフが雇えてしまいます。そして、彼女たちは明らかに国内スタッフよりも仕事への意欲(モチベーション)が高く、専門性も日本人以上であったりするのだ。

以上、「日本人・男性・正社員からの脱皮」、「にわかグローバル人材ニーズの増加」、「人を求めて仕事が移動する時代の到来」という3つのテーマに筆者は強く関心を抱いている。

 

(次回へ続く)


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