相原ユタカの“年収3万円海外プロサッカー選手放浪記” Vol.38~祝・落ち武者リーガー誕生~

Standing on Scale

退院はしたけど、未だ契約に結びつかず・・・・・・。

チビッて汚れたパンツはとっくに捨てたし、心機一転頑張らなきゃね。

でも体は正直。

1週間で7kgも痩せてしまったボクは、足を1歩出せば1歩空に近づくようなフワフワした足取り。

そんなボクの体調なんてモチの論でお構いなく、チームは遠征に行くのであった。

ちっちぇえバンに13人ほど詰め込まれ、”遠征=相変わらずの護送”の図式はココでも健在だったのね。

 

さて。

ブルブルブルブル走ること1時間。

1時間後にゃバンごとフェリーに乗り込み川を渡るワケですよ。

ヒザ、腰、肩の全てが痛くなったその頃、川を渡り今度は車を降りて、も1度ちっちゃ過ぎるボートに2手に別れて乗ったのね。

するとどうでしょう。

川の真ん中でボートのエンジンが止まりやがんのよ。

サッカー選手たちはピッチに立つ前に大ピンチよね。

でも、こんなピンチはまだまだ序盤。

本当のピンチはここからよ。

やっとエンジンがかかって動き出したその時!

 

なんとボートの後ろが沈み始めたのよ・・・・・・。

 

どんな不景気な企業の株価よりも急速に沈みだすボート。

対策としては“みんなが前のほうに乗る”っていう幼稚園児のクイズの答えみたいな対策を講じやがったのね。

 

・・・・・・なんと無事成功。

 

この国はボートもそうらしい。

何がそうか分からないけど、そうらしいの。

で、トータルで3時間ほどかけてようやくグランドに到着。

よ~く考えたら、この国でまともな試合をするのってこの日が初めてだったと思う。

タイの時みたいに神様がなんとか点を取らせてくれないかなぁ。

なんて全くの他力な気分で試合に臨んだのね。

地方の試合は暇な地方人がみんな見に来るからスゲエ客が多いの。

その観客はボクとイドゥリスという外国人には興味津津。

ちなみに体調不良のマイコーは自宅待機。

なのに食中毒明けのユタカは参加。

これこそがサムライスピリッツ!!!

とは言ってもサムライもピンからキリまで。

食中毒により1週間で-7㌔の減量に成功してしまったこのサムライはまさしく切られ役さ。

 

でも、神様はいた。

試合開始。

ゴール前でそんな健気なボクにトラップミスと言う名のファイントラップを与えてくれた。

ボクのところに飛んできたボールをふらついた足で止めようとしたら、案の定ミスとなったんだけど、運がよく狙った以上にいいとこに転がったの。

サッカー知ってる風の奴だったら「トラップで決まったな」って言うくらいのファンタスティックなトラップになったのよ。

 

そして・・・・・・。

 

ゴォォォォォォォォーーーール!!!!!

 

ボクはベンチに行きヘッドスライディング。

監督と抱き合ってドサクサに紛れて嫌いなチームメイトに軽くキック一髪。

会場が震えたね。

湧いたね。

蹴られたヤツはやっぱり怒ってたね。

しかもその日、ボクはイドゥリスに1アシストも付けたの。

ボクはその日の試合のMVPに選ばれたの。

勿論、そんなシステムがあるほどの試合だったなんて知らなかったよ。

でも、MVPゲット。

 

チームの事務所に戻ってからボクは、コーチと話し合ったのね。

きっと契約だって思って、ワクワクしながら事務所に行ってね。

コーチが「ユタカの活躍で今日は勝ちましたよ。」ってベンガル語でオーナーに言ってるのね。

って、思ってたんだけど、実際にベンガル語でそんなことは言ってなかったみたい。

だって、オーナーさんが英語でボクに言うんだもん。

「ヘッドスライディングはお腹を怪我するぞ。」って。

 

ってのは最初のお言葉添えで、この試合をきっかけに、やっと契約出来ることになったんだ。

ただ、コーチはボクの売りをスピリッツだって説明して、プレーの事はあんま言ってなかったけどね。

 

なんにせよ、これにてようやく日本人初のバングラデシュリーガーが誕生したのでした。

 

<次回へ続く>


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