戦略とロードマップの実行 -1- グローバル人事戦略とは何を考えればいいのか

(1)「グローバル人事」とは何か?

第一に明らかにしたいことは、自社にとっての「グローバル人事」とは何を意味するのかという点である。例えば、大手製造業で複数の事業を持っているある会社は、家電などの地域性のある事業は「インターナショナル」を志向。

つまり、各地域において迅速な意思決定を自律的にできる世界企業を目指す。そして、携帯電話やPCなど世界市場を同時に狙っていく事業は「グローバル」を志向。これは世界共通の意思決定を本社が行ない、世界中の市場を狙っていく。

さらに、高度技術が必要なある事業では、日本人技術者中心のマネジメントを志向する「ドメスティック」を目指す。

このように事業に応じて目指すべき人材マネジメントの姿を分けて考えている。果たして、自社がどのような人材マネジメントを目指すのかを事業特性から考えていくことが重要だ。

自社がどのような人材マネジメントを目指すのかを考える際には、米国型の人材マネジメントと日本型人材マネジメントのそれぞれの一般的な特長をまず知っておくと良い。

 

米国型人材マネジメントは、労働市場が短期雇用中心で職務の専門性を重視するマーケットであるため、短期的に選抜でき、職務内容と成果に応じて処遇できる仕組みをとる。そこでは現場のボスに権限委譲をして、現場の戦略に応じて人材を採用・活用できるようにする。

これはいわゆる戦略人事である。ここでは短期的な成果が志向され、個人の実績や職務の専門能力が重視される。

図表:【米国型人材マネジメント】

図表:【米国型人材マネジメント】

 

一方で、一般的な日本型人材マネジメントでは、労働市場が長期雇用中心で職務よりも会社、つまり、就職よりも就社意識が高いマーケットである。

そのため、長期的に雇用して、能力を少しずつ着実に高めていくマネジメントが適している。そこでは、中央集権的に人事が行なわれ、様々な部署をローテーションしながらジェネラリストが養成される。

ここで重視される価値観は会社への忠誠心やチームワークであり、個人業績よりもチームや会社業績への貢献、専門能力よりもやる気、根性、および価値観が重視される。米国型も日本型も労働市場に合わせた結果、このようなマネジメントが一般的であった。

図表:【日本型人材マネジメント】

図表:【日本型人材マネジメント】

 

しかし、今は時代が違う。労働市場は前述したように国境や国籍を問わなくなってきたため、米国企業であっても米国型が通用するとは言えない。同様に日本企業であっても日本型では業績が伸びないといったことが起こってきた。

言い換えれば、今は、グローバル労働市場を相手に、自社がどのような人材マネジメントをするのかを自由に考えなければならない時代になったということだ。各社は自社がどのような労働市場で勝負するのか、その労働市場にあった人材マネジメントの考え方は何なのか、そこで従業員に大切にして欲しい価値観は何なのか、といったことをゼロベースで考えていく必要がでてきた。

図表【いま目指すべきグローバル型人材マネジメント】

図表【いま目指すべきグローバル型人材マネジメント】

(2)いま求められる戦略の考え方

従来の戦略論は、競合他者との差別化や外部・内部環境分析などを行なって、目に見える具体的な事象から論理的に方針を見つけ出すというものが多かった。しかし、時代は変わった。

情報化が進んだ最近では、差別化要素をあげて新たな領域を見つけても、すぐに真似されてしまう。また、技術の進歩スピードが速いため、外部・内部環境分析をしても、予測不可能であり将来すぐに現れる技術にすぐに追い越されてしまう。

このような環境下では、「何をやるか(What)」という具体的なことから戦略を立案するのではなく、「なぜ、何のために(Why)やるか」という意義や目的といったことから志向した方が良い。

例えば、最近の市場で元気がよいのは、AppleやGoogleなどだが、どちらも「(IT製品やインターネットで)世界を変えたい」という志を全面に打ち出して活躍している。これまでの工業化時代には、WhatやHowの具体的、わかりやすい戦略が求められてきたが、最近はそれ以上にWhyが明快な企業が成長してきている。

組織人事戦略も同じである。どのような組織体制がいいのかという方法論を模索する前に、「自社はなぜ存在しているのか」「自社の社員が目指す社会や人生はどのような社会や人生なのか」といったWhyの質問からはじめていくことが有効である。

【図表】Whyから考える人事戦略

【図表】Whyから考える人事戦略

(次回へ続く)


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