戦略とロードマップの実行 -2- グローバル組織体制の構築はどうやればいいのか

(1)既存組織図ではなくバリューチェーンの機能軸で整理する

日本企業がグローバル組織人事を考える際に、本社である日本の組織図をそのまま海外にも適用しようとするのだが、多くの場合、そのまま適用することができない。

それは、日本の企業組織は長い歴史の中で部門間の協力関係が強くあったり、そこにいる人物の実力に応じて組織の垣根を越えた仕事のアサインが行なわれたり、役員や部長が複数の部門長を兼務しているため組織図毎のミッションが曖昧になっていたりと、組織図自体が明確ではないことが多いのだ。

グローバル人材マネジメントを志向する際に、最初にカベになるのが、このような曖昧に定義された組織である。本社が曖昧な組織図を持っていると、海外のローカルスタッフは本社のどこに問い合わせたらいいのかなどがわからなく、結果としてグローバルなコミュニケーションやコラボレーションが起こりにくい。

そこで、組織体制づくりで第一に取り組むのは、自社のバリューチェーンを軸にした組織体制の再設計である。これらは、グローバルコミュニケーション&コラボレーションを活性化させるために行なわれる。

【図表】グローバル統一のテンプレートの4つの体系

【図表】グローバル統一のテンプレートの4つの体系

 
(2)バリューチェーン機能別に世界組織をマトリクスで整理する

バリューチェーン機能を定義したら、既存の世界中の組織と比較するために、縦軸にバリューチェーンの機能、横軸に既存の世界中の組織を書いて一覧表を作成してみると良い。

【図表】バリューチェーン機能と世界組織のマトリクス比較表(例)

【図表】バリューチェーン機能と世界組織のマトリクス比較表(例)

すると責任分担が曖昧な部門がでてくるので、この表を用いながらグローバル組織機能を果たすために再編を議論をしていく。多くの場合、バリューチェーンの機能別に担当役員をおいて、当該担当役員が責任を持って、自らの機能を行なっている世界中の組織の実体を調べ、再編の方針を決める。

 
(3)機能別のミッションステートメントとタスクを整理する

グローバルに通用するバリューチェーンの機能分類が完成したら、バリューチェーンの機能別に「ミッションステートメント」と「ファンクショナルタスク」を定義する。

ミッションステートメントを定義することで、各機能が誰に対して、何を価値提供するのかが明確になる。また、このミッションステートメントを定義する過程で、自社のグローバル組織に持たせたい新たな機能や、現状で不足している機能が明らかになる。

例えば、調達機能の検討では、グローバル組織にふさわしい調達機能はどうあるべきかといった議論が必ず沸き起こる。この議論に各機能の責任者や海外も含めた組織(図表のマトリクス表で●印がついている部門のキーパーソン)で一緒に検討してもらうことで、グローバルコラボレーションが始まり、調達の例で言えば、グローバル調達のあり方などが検討されることとなる。このように、世界共通のバリューチェーンの機能と機能別のミッションステートメントを定義することで、実務上でのコラボレーションを活性化させることができる。

次に、ミッションステートメントが決まったら、ミッションステートメントに記述された項目を達成するためのファンクショナルタスクを洗い出す。通常、日本企業には業務分掌規程などがあるため、業務分掌規程を用いながら、それらをミッションステートメントと比較しながら再分類してみる。

多くの場合、日本企業の業務分掌規程は、グローバルコラボレーションを意識したり、海外事情を考慮したものになっていない。更に言えば、それらは日本語だけで定義されており、海外拠点の外国人には理解できない資料となってしまっている。これを機に、業務分掌規程を見直し、ミッションステートメントとファンクショナルタスクを(できれば英語で)再定義することをお勧めする。

このミッションステートメントとファンクショナルタスクが定義されると、グローバルのどの拠点とも役割分担を議論することができるようになる。つまり、コラボレーションをするための共通の基盤ができたということになる。

 

(4)グローバル人事を運用する体制を決める

グローバル人材マネジメントにおける組織体制の検討で、もう一つやっておかなければならない重要なことは、グローバル人材マネジメントを企画・運営する組織体制をつくることである。これには、本社人事と拠点人事の役割分担が明確になっている必要がある。

自社の人材マネジメントを運用するために最適な役割分担は事業内容によって異なる。そこで、まずは「グローバル人事会議」を開催することを推奨する。グローバル人事会議は少なくとも4半期毎には定例のミーティングを行ない、自社のグローバル人材マネジメントの維持・強化について議論する。

また、各国で起こっている人材マネジメント上の課題を共有し、解決に向けた取り組みを連携して行なう体制をつくることが求められる。

(次回へつづく)


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