「先生、27歳にもなってよくやるね」

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「先生、27歳にもなってよくやるね」

これは、僕が4年間勤めた中学校教師を辞め、留学を決意した時に、教え子の一人から言われた言葉でした。27歳という大の大人が、これから夢を追いかけ海外に飛び出す。一方、15歳の中学生は、 “現実”を見ている。何となく、そこに違和感を覚えながらもオーストラ行きを目の前にして、当時の僕は期待と希望で胸がいっぱいだった。

■目標は海外でもう一度フットサルをプレーする こと

留学の目的は二つ。一つ目は、幼いころから続けてきたサッカー・フットサルでもう一度選手として海外でプレーすること。オーストラリアに到着するなり、すぐにチーム探しを始めました。チームに入るためには、まず、「トライアル」と呼ばれる、日本でいうところのセレクションに合格しなければなりません。いくつかのチームのトライアルを受け、数チームからオファーをもらいました。

しかし、合格したチームは、正直レベルが低かったり、練習環境が良くなかったりと満足のいくチームではありませんでした。引き続きチーム探しを継続しているうちに、“シドニーシティイーグルス”というオーストラリアでは、名門のフットサルチームの連絡先を手に入れました。こちらから連絡を試みるも、当然門前払い。それにもめげず、今度は監督の携帯番号を手に入れることに成功。すぐさま電話をし、「チームに入れてほしいと」と直訴。「日本のJ5リーグでプレーしていた。」とか無茶苦茶なことを言って、とにかく自分をアピール。(笑)

※編集部注:Jリーグは、J1とJ2の2部だけで構成されています

 

相手もさすがに根負けをし、ついに「とりあえず練習に来い」と練習に参加することが決定。約2週間のトライアル期間を経て、ついに“シドニーシティイーグルス”と契約してしまいました!日本で何の実績もない自分が、オーストラリアの名門チームに入団できるなんて、まさに夢のようでした。

チームに入れて良かったものの、練習は鬼のように厳しかったです。大学卒業後、一度は就職し、毎週末のように飲み歩いた結果、見事なまでに肥えたお腹は、みるみるうちに仮面ライダーばりの腹筋に変身(笑) また、チームメイトとの関係も最初は苦労しました。もうすでに出来上がっているチームの中に、わけもわからないアジア人が紛れ込んできたわけですから、そりゃ最初は相手にされないわけです。

最初なんか、名前で呼ばれずに、「アジア人、行け!」みたいに扱われました。チームメイトと打ち解けるために、とにかくどんな話題でもいいので、英語で話しかけました。すると、最初はよそよそしい態度だったチームメイトたちとも徐々に打ち解けていき、愛称も“マサ”になりました。実は、万国共通で、盛りあがることができる共通の話題があるんです。それは…下ネタ(笑)

nishijyo4 冗談はさておき、日本人はよく「シャイだ」と言われますが、外国ではそんなことは、一切気にも留めてくれません。自分で自分をアピールしなければ、道は開きません。

このチームで、1シーズンを過ごし、個人の成績は公式戦10試合出場4得点。チームもリーグ優勝することができました。フットサルはもちろんのこと、国籍をまたがり、たくさんの友人ができたことがなによりの貴重な財産です。「移民国家・オーストラリア」と呼ばれるように、このオーストラリアには、世界中の国から人々がやって来ます。チームにも、オーストラリア人、ギリシャ人、コロンビア人、ウルグアイ人、アルゼンチン人、アフガニスタン人、そして日本人と実に7カ国もの異なるバックグラウンドを持つ選手たちが在籍していました。

コロンビアやウルグアイ、アルゼンチンは治安が悪く、犯罪が多発しているそうです。アフガニスタンでは、今でも内紛が続いています。ギリシャでは経済が破たん。やはり、みんなそれぞれの「事情」があり、オーストラリアに「救い」を求めに来ているのです。そうした、世界中からの移民をうまい具合にブレンドして、成り立っている国がオーストラリアという国なのです。

よく日本は「平和で豊かな国だ」と言われますが、果たして本当にそうでしょうか。現在、僕は、シドニーにある日本のNPO法人で、日本のニートや不登校といった若者たちと一緒に共同生活しながら、毎日を過ごしています。そこには、いろんな悩みを持つ日本人の若者たちが集っています。前の職場で同僚とうまく人間関係が築けなかった人、日本の縦社会になじめなかった人、家族や友達との関係がうまく築けない人など、本当にたくさんの悩みを持った人たち。

日本では、一度レールから外れたら、「社会からの脱落者」というレッテルを張られます。僕も教師を辞めると言った時には、それは「逃げだ」と言われることもありました。そう言われてしまえば、それまでですが、僕自身はそんなことよりも自分の夢をかなえたい、という気持ちの方がはるかに勝っていました。「逃げ」というのは、「がんばる」ことを美徳とする日本社会では、良くないこととされています。逃げた人は、「ダメな人間だ」という具合に。でも、そんなことを言ったら、オーストラリアにはたくさんの「ダメ人間」たちがあふれていることになります。そもそも、なぜ「逃げ」てはいけないのでしょう。

もっと、日本は人にやさしくなってもいいのではないか、というのが僕の意見です。「何を言っているんだ、甘い!」と一蹴されるかもしれませんが、世の中本当に強い人間なんているのでしょうか。逃げられないが故に、自殺率ナンバー1の国になってしまってはいないでしょうか。

「出る杭は打たれる」ということわざがあるように、日本には、周囲と違うことをすることを良しとしない風潮があります。そういう枠から外れた人を「変わり者」として扱う。こうした周囲になじめない人たちが、日本では急増しているように思います。確かに犯罪などは、外国に比べればはるかに少ないのですが、果たしてそれだけが本当の「平和」の定義になるのかは、はなはだ疑問です。

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