サラリーマン留学記-社費で留学する意味(1)

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1.単なるサラリーマンの留学記ですが・・・

はじめまして。佐藤将史と申します。僕は現在、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のLuskin School of Public Affairsという大学院でMPP (Master of Public Policy: 公共政策学)を専攻しています。2011年の夏に渡米し、ちょうど1年が経ったところです。

開国ジャパン代表の四方さんから依頼を受けて、こうして原稿を書いているのですが、最初は自分なんかが書いて良いものなんだろうか、と思っていました。

開国ジャパンのアンバサダーの皆さんの殆どは、(奨学金的な支援の有無はあれど)私費で留学し、その後、起業やキャリアチェンジをしたり、海外に根付いている人も多く、とてもユニークでインパクトのある経歴をお持ちです。一方で、僕は日本の企業に勤務で、社費留学で、言ってしまえば単なる三十路のサラリーマン。留学後も会社に復職するので、単なるサラリーマン。経歴だけ見れば全然面白くないじゃん、良いのかよと(笑)

でも四方さんに言われたのは、「サラリーマンの『フツーな』留学生活を伝えてもらうことこそ、日本全体の開国に必要」

ああ、そういう考え方は確かにあるな、と納得しました。僕の記事を読んだ方々に「サラリーマンでも留学できるんだな」と思ってもらい、それが一人でも多くの人の行動に繋がれば良いなと思っています。

 

2.MPP (Master of Public Policy)って?

学校によってMPPとかMPA (Master of Public Administration)とか呼び名はまちまちですが、大まかに言うとMPP/MPAというのはMBA(ビジネス大学院)の行政版です。

MBAが企業の組織マネジメントや金融の勉強などをするように、MPP/MPAでは行政機関の組織マネジメントや税金の徴収・使い方などを勉強します。勉強が進むと、さらにテーマ別に専門分野(環境、犯罪、教育、防災、都市開発などの政策)も勉強します。

卒業生のキャリアは行政機関、国際機関、NPO、コンサルティングファーム、シンクタンク、大学の研究職に進むのが一般的です。

日本の大学ではまだメジャーではないですが、アメリカではMBAほどではないものの、メジャーな分野として確立されています。多くのトップスクールがMPP/MPAを持ち、学校によっては非常に長い歴史があります。

MBA同様、有名スクールには世界中から、その国の将来のエリート候補が集まります。日本人でも政財界を中心に著名人にアメリカのMPP/MPA出身者がいます。これもMBAと同じで、社会人経験のある学生の比率が高いことも特徴で、一般的に平均年齢は28-30歳くらいと言われています。

日本のサラリーマンの海外留学といえば、MBAが一般的ですし、周りでもMBA志望者が殆どでした。しかし、僕は会社で官庁など行政機関をお客さんとした仕事をしていたので、MPP/MPAというのが自然でした。

ただ、説明したようにMBAとの類似点が非常に多いので、僕の話もMBA留学と同じようなものだとイメージしながら読んでもらえたらと思います。

余談ですが、日本では環境問題や震災に関連する様々な問題など、ビジネスだけでは解決できない公共性の高い社会課題が近年益々重要になってきています。 個人的に、MPP/MPAへの海外留学促進や日本の大学における同プログラムの拡充、というのは、これからの日本のために大切なことだと思っています。

 

3.10年ぶりの受験勉強

自分の会社に限らず社費留学制度というのは、生活費や学費の支援をするのが一般的で、特に入学試験や在学中の勉強の部分で会社が大学と提携して何かをサポートしてくれるようなものではありません。

なので、自分もTOEFL(非英語圏から欧米に留学する際に必要な英語のテスト。激ムズです)を20回、GRE(アメリカの大学院進学に必要なテスト。アメリカ人も受けるために更に英語のレベルが凶暴!)も何度も受け、他の受験生と競争をしました。エッセイ(就職活動のエントリーシートのような、志望理由を書く小論文。テスト以上に重要と言われる)も何度も何度も添削を受け、書き直ししました。

留学を思い立ってから2年かけ、多少、会社の支援もありましたが、ほとんど自腹でテストや参考書、予備校の費用を払いながら、合格まで辿り着きました。

テストの得点が思ったように上がらない中、何とか時間を作っては引き篭もって必死に勉強をしました。社費留学だからといって会社の仕事量が減るわけでもなく、仕事との兼ね合いだけでも多忙を極めたのですが、自分の場合、同じ時期に結婚をしたこともあり、人生で最も殺人的な2年間でした。

特に、妻については付き合っていた頃から週末もろく会えなくなり、しかも大量の出費をしているし、随分とストレスをかけてしまったなぁ、と思うのですが、最終的には理解を示してくれて感謝しています。(と、この場を借りてイイ子ぶっておきます(笑))

現役学生時の大学院入試から10年ぶりの受験勉強は体力的に辛かったですが、昔の受験を思い出して若返った気分で、精神的には活き活きしてました。予備校とか、ティーンエイジの頃以来でしたし(笑)

結果として第一・第二志望に手が届かず、ガッカリもしたのですが、新しい道のためにチャレンジする過程は楽しいものでしたし、全力を尽くしたので後悔はないです。

次回は、留学生活をどう過ごしているか、そして社費留学の目的や意義について書きたいと思います。

 


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