グローバル化の時代にナショナリズムを叫ぶ矛盾

日本の象徴として、富士山

こんにちは、開国アンバサダーの野村です。

 

今回のコラムでは、いま話題の領土問題について、グローバル化の見地から、私の考えをお伝えしようかと思います。

 

※写真は、日本の象徴の具体的な例として、富士山の写真(御殿場方面から筆者撮影)。日本という国は、日本の国益とは、いったい何なのだろうか。

 

開国アドバイザーのコラムは、イデオロギーの論争をする場ではないと思うし、私自身も、今回の尖閣諸島、竹島の問題については、努めて客観的に、ものごとを観ています。特定の個人や団体を支持も非難もしません。

 

同時に、グローバル化という視点から今回の尖閣諸島、竹島の問題を見ると、グローバル化されていく将来社会の一端がみえるように思ったので、コラムを書くことにしました。

 

■  グローバル化の時代にナショナリズムを叫ぶ矛盾

尖閣諸島、竹島の問題に関連して、関係する各国の内部において、ナショナリズムが台頭しています。程度の差こそあれ、日本国内でも、客観的にみて、ナショナリズムに賛同する声が大きいですよね。

 

一方で、世の中はグローバル化しています。グローバル化という言葉も定義があいまいではありますが、経済的なつながりを端緒に、従来の国家という単位・枠組みは以前よりも機能・影響力が低下していくのが、グローバル化の一つのありかたです。

 

そう考えると、国家という単位を強い前提とするナショナリズムが台頭するという現象は、社会全体がグローバル化されていく潮流と、矛盾するのでは、と、私は思うわけです。

 

■  国民国家の耐用年数は過ぎている?

この矛盾がある状況で、ナショナリズムに賛同する愛国者は「国益」という単語を好んで使うようです。国益に反することには反対。国益を優先した外交を。こんな言葉をよく聞きます。

 

ここで、国益というからには国・国家という単位が必要です。そして、現代の国家は国民国家(Nation state)という考え方に基づきます。

 

国民国家の定義を説明すると、それだけで一冊の本になってしまうので、ここでは避けますが、国民国家という制度の起源は、1648年のウェストファリア条約を起源とするのが一般的です(諸説ありますが)。

 

つまり、国民国家という考え方というか仕組み自体、ここ数百年の歴史しかないわけです。

ここで考えたいことは、我々が現在迎えようとしているグローバル化の時代では、国民国家という枠組み自体が耐用年数を過ぎているのではと疑ってかかるべきではないか、ということです。

 

■  考えておくべき前提として、軍事力

国民国家という制度の耐用年数の議論における前提として、国家を維持し、国民の安全を守るための軍事力は必要であることは論を待ちません。

 

私は、ジョン・レノンの「イマジン」の歌詞は好きです。一方で、世界中の人類が「イマジン」を歌えば、一気に世界平和が実現できるほど、世界は簡単ではないです。

 

実態は、世界中に展開する米国の兵士も、アフガンのゲリラも、ソマリア内戦で銃を持つ年端もいかない少年も、みんな平和を希求し「イマジン」を歌う準備がありながら、相手に銃口を向けているのですから。それぞれの所属する国家や組織が標榜する平和の定義が異なるのです。

 

ですので、国民国家の耐用年数が過ぎているという議論が、そのまま、世界中の軍事力・軍備がなくなるという短絡的な議論ではないことは、ご理解いただきたく思います。

 

■  国益ってなんだろう

軍事力を前提として、グローバル化する世界という潮流における国民国家を考えると、政治経済その他の側面で、他国に対して排他的な国民国家という枠組みを堅持すること自体「国益」なのでしょうか。

 

個別な話題に絞ると客観性を欠いてしまいますが、最近の領土問題における分かりやすい例を一点だけ挙げましょうか。

 

尖閣諸島の土地購入は、国益にかなった行為だったのでしょうか。一部のナショナリズムを喧伝する人の溜飲を下げるには有効だったでしょうが。

 

考えるに値する点だと思います。

 

そもそもグローバル化の時代において全国民が等しく享受できる国益なんて、あるのでしょうか。

 

別の例をあげると、製造業が日本の基幹産業の時代は、円高は日本の国益を害するのでしょうが、現在の超円高において、海外で製造して日本で小売業を営む企業は、ホクホクだったりするわけです。

 

よくよく考える必要があると思います。

 

■  ちょっと先読みしてみると。。。

国民国家という枠組み・考え方の耐用年数が過ぎている、という上記の考え方を活用して、すこしだけ先読みをしてみましょう。

 

将来のことなので断言はできませんが、国民国家の耐用年数が過ぎたということは、国民国家という枠組み・考え方は、軍事力という非常に強い制約がありますが、緩やかに壊れていくと考えてみましょう。

 

では、壊れるとしたら、どう壊れるのでしょうか。思うに、日本という現在の国民国家の仕組みよりも、大きくなるか、小さくなるか、という選択肢があるかと思います。

 

大きくなる例は、EUでしょう。現在のEUの痛みを、対岸の火事として傍観すると、大事な要素を見過ごすことになります。国民国家という枠組みがグローバル化に伴い変遷するために必要な痛みを伴ってEUは苦しんでいると考えると、どうでしょうか。現在の痛みを通過儀礼と見た場合、通過したあとのEUという仕組みは、グローバル化する世界において非常に強い仕組みとなるでしょう。

 

小さくなる例は、道州制があるでしょう。これは私の考え方ですが、道州制を導入するのは、国内の課税の仕組み(地方交付税)にかかわる中央(財務省)と地方との綱引きという側面だけを見るのは、視野狭窄だと思います。グローバル化する世の中の動きに迅速に対応し、かつ、個別の地方(道・州)の特徴を生かして、グローバルな競合と伍していくための道州制、という視点とらえると、いっそう、道州制の議論に実効性を伴わせるのでは、と思っています。

 

■  グローバル化する世の中で持つべき視点

いずれにせよ、グローバル化する世の中において、今の「日本」という国家の枠組み・制度は、軍事力の前提があるので緩やかではあるものの、変わるでしょう。

 

変わる過程において、日本の国益ってなんなのでしょう。

 

すくなくとも、いままでの国民国家を前提とした常識に基づいた国益ではなく、グローバル化したあとの世界において、日本という土地に居住する人民がトータルで見た時に、最大の利益になるような取組が、国益にかなった取組といえるのでは、と私は考えます。

 


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