相原ユタカの“年収3万円海外プロサッカー選手放浪記” Vol.49~オリヴィアが贈る奇跡の物語~

ボクっていう、いいカモを見つけたオリヴィア。

「明日の朝、8時にゲストハウスに迎えに来るね。」

そう言い残して、ボクの宿から暗闇に消えて行ったんだけど、ボクはとても心配だった。

何がって、黒人は時間通りにやってこないから。

そして下手すりゃ来ないから。

いやぁ、金のチカラって怖いよね。

オリヴィアは30分前にボクの宿に到着。

まだ、うっすら寝ていたボクは寝込みを襲われた感覚にとらわれたよね。

 

そんなオリヴィアはサッカー協会があると言われる、FUFA HOUSEとやらにボクを連れて行ってくれた。

ボクが支払う事になる一般のウガンダ人が食べないような、ちょっと豪華な朝メシを食べた後に。

ボクは前の日の夜に、ウガンダリーグとやらの情報を少しだけ聞き込んでたの。

街の情報だとSC.VILLAってチームが有名らしい。

で、FUFA HOUSE(以後サッカー協会)で、お偉いさんと思われる人に会うことができて、お願いをしたんだ。

「SC.VILLAを紹介してください。この国でサッカーがしたいんです。絶対、この国のサッカーを盛り上げますから。」

毎度毎度、思うんだけど根拠もなくよく言ったもんだ。

ま、ウガンダでは黒人しかリーグに参加してないらしいから、アジア人が1人入ったら物珍しくて結構、注目してくれるだろうとは思ったけどね。

 

ウガンダっていい国だよね。

あっさりVILLAを紹介してくれるって言ってくれた。

問題は一つ。

 

・・・・・・ただいま、オフシーズン。

 

クリスチャンの多いウガンダでクリスマスは一緒に盛り上がりたくて、友達のウガンダ人と連絡がつかないなんてお構いなしで来ちゃったの。

そこらへんの経緯はそのうち話すけど、クリスマス前はみんな休みたいんだよ。

しかもその後は正月。

ウガンダ人のサッカー選手が活動してるわけないよね・・・・・・。

 

有名チームとて例外ではなく、完全休暇。

今度紹介してくれるんだって。

 

ってことで、その日はやることがなくなったから、サッカー協会を出て、オリヴィアに連れて行かれるがままに町を練り歩くことに。

マタツと言われる乗り合いのタクシー(ハイエース約15人乗り)に乗り、首都カンパラから少し離れた所に連れて行かれると、屋台にボクを置き去りにしてオリヴィアはどこかに行っちゃったんだよね。

【エリンニャ リャンゲーゼ ユタカ】

【チルンジ オクサンガ】

放置された間に、屋台の娘が独りぼっちの、このアジア人を不憫に思ったのか、現地のルガンダ語ってのを教えてくれたのよ。

【私の名前は豊です。】

【初めまして】

今回、ボクが初めて覚えた現地語。

現地語を知っておくと、ウケがいいからね。

勤勉なボクが現地語で10まで数えれるようになった頃、オリヴィアは戻ってきた。

「紹介したい人がいるの。」

ウガンダに来て2日目。

順応性の高いボクは危険察知能力もかなり麻痺してきたから、もうどこにでも行きますし、誰にでも会いますよ。

で、紹介したい人ってのがビックリよ。

なんと、ウガンダでSC.VILLAと人気を3分、4分するって話のK.C.Cってチームのマネージャーだったの。

ボクはSC.VILLAの名前しか知らなかったんだけどどうやら、SC.VILLA、K.C.C、Police.SC、EXPRESSが人気があって強いらしい。

そのうちの1つ、K.C.Cのマネージャーが目の前にいるじゃないの。

オリヴィアの英語をちゃんと訳せなかったからよくわかんなかったけどオリヴィアの家の誰かの知り合いらしいの。

小さい頃、外で遊ぶのが大好きですくすくと素直に育ったボクは何の疑いもなく信じてしまうわけよ。

で、そのマネージャーがボクに言うの。

 

「うちで契約しないか?」

 

ボクの実力はどうでもいいらしい。

”K.C.C、日本人獲得”なんてことになったらビッグクラブですもの、注目はされますわな。

理由はどうあれ入っちゃえばこっちのもんじゃん。

頑張って結果を出せば客寄せだけじゃないって思われるし、結局外人なんだから結果を出し続けないとクビになるわけだし。

ってゆーかオリヴィア!

そんな人知ってるなら、サッカー協会で「SC.VILLA紹介して」なんて言う前にK.C.Cのマネージャーに会わせてよ。

ボク、K.C.Cでガンバリマスッ!!!

 

気分が良くなったボク、つられて気分がよくなったオリヴィアにまたまた連れまわされる。

そのK.C.Cのマネージャーの車を借りて、ドライブに連れて行ってくれるんだって。

「ムニョニョ湖に行きましょ。」

ハッと我に返った。

こんな簡単に車に乗っちゃっていいのかな?なんだかんだ言ってもオリヴィアとは昨日知り合ったばかりの関係。

しかも、ムニョニョだぁ?

なんとなくバングラデシュで拳銃を突きつけられた思い出が奇麗にフラッシュバック。

現実はそれよりも恐ろしかった。

 

ムニョニョ湖でオリヴィアのお母さんと会いました・・・・・・。

 

ねえ、オリヴィア。

昨日ボクに言ったよね。

「お母さんが病気だから30000シリングちょうだい。」って。

お母さんメチャクチャ元気じゃない。

確かにムニョニョ湖は奇麗だったよ。

記念に写真まで撮ったよ。

お母さん、ボクの写真に入ってこようとしないで。

全ての用事が終わりボクの宿に着いたのは夕方。

もちろんオリヴィアも一緒だ。

帰りの挨拶はコレだ。

 

「お父さんが病気なの。50000シリングちょうだい。」

 

その日もハグしてキスして帰っていくオリヴィア。

彼女とはそれ以来、会ってない。

 

<次回へ続く>


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