波乱万丈アメリカ留学体験記④ゆるくスタートした大学生活
前回のあらすじ:アウトドア冒険クラブに入隊し、初の洞穴探検とロッククライミングを体験しました。縦穴の洞穴探検など目からうろこの体験が続きますが、メンバーと訪れたキャンプで私の気持ちをゆるがす出来事がおきました。そして、大学生活は続いていきます。前回の記事はこちら>>>☆☆☆
●授業は最初から無理しない
アウトドア冒険クラブで様々な活動をする一方で、ESL(語学学校)と並行で大学の授業をとりはじめた新入生の私。まだ正規の大学のクラスは2クラスしかとっていませんでした。
その中でも印象に残っているのは音楽のクラスでした。このクラスは一般教養のクラスなのでレベル的にはあまり難しくないといわれていたのですが。。。
教授は、アフリカンアメリカンの陽気な声楽の先生。このクラスでは、最初からいじられキャラになってしまい、出席の点呼があるときに、毎回私の名前のところで????という反応をされ、チネツ?などと聞かれた揚句に私がチナ―ツと言うと、〝whatever〟(どうでもいいや) と言われたりもしました。
宿題では、「私の最低な彼氏」という題でブルースを書いてこいというものがありました。みんなが作ってきた曲を集めてその中から面白いのを選んでバンドが弾くというのですが。。。
課題自体そもそもありえない、と思っていたら、なんと授業中に私のところまできて、まだ見てもいないのに君のものを使いたいからといって大注目!しかし、やはり私のブルースはまともではなかったため、他の人のものを使ったのですが、結局百人の生徒の前に立たされて適当に歌わされたのでした。(泣)
もう1つは、簡単と言われる数学の授業。これは、案の定ものすごく簡単でうっかりすれば授業中にうとうと居眠りをしてしまうレベルでした。ということで、あまり思い出になるようなことはないのですが、最初のセメスターはこれぐらい余裕があるほうがいいと思いました。あまり最初から飛ばしてしまい、アップアップになってしまっては大変だからです。卒業までの道のりは時に長期戦になるので、あ~やめたっとならないようにするのが肝心です!
●楽しいこと、好きなことをする~オーケストラ入団
そして、私は少しずつではありますが色々な活動に取り組み始めました。3才頃から続けていたバイオリンをなんらかの形で役にたたせることはできないかと思いたった私は大学のアドバイザーに相談してみました。
彼女は、じゃあオーケストラの教授に今電話をしてあげると言い、早速音楽学部へ電話をかけ、こういう子がいるのと私を教授に紹介してくれた。
オーケストラの教授のオフィスに行ってみると彼は優しそうな顔でほほ笑んで立っていて、ようこそと迎えてくれました。この展開の速さに驚きつつも、色々話を聞いてみると是非オーケストラに入ってみないかということ。私は日本でもオーケストラに所属したことなどほぼなかったのですが。
そして、なりゆきでオーケストラに参加することになってしまいました。
私はあまりうまく楽譜を読めないことを告げ、形ばかりのオーディションをうけ、すんなり翌週からクラスに通うことになったのでした。アメリカは自分がやりたいと少しでも思ったら、それをする環境があるのだと感じた出来事でした。
アメリカの大学では、オーケストラや楽器を習う時間も単位として認められることになっているので、音楽専攻以外の大学生もたくさんオーケストラに所属していました。コンサートマスターはイケメンの地理学専攻の学生だったりもしました。フルオーケストラなので人数も40人位はいたと思います。練習は週3日、2時間ずつでコンサートは約2カ月に1回と意外とハードでした。
音楽を聴いてそのメロディーをなんとなく楽譜とつきあわせてひいてきた私は、その日から頻繁に音楽学部の練習部屋を訪れる自習をすることになりました。
きちんとオーケストラに入団するのは初めてだったので、うまくできなくてへこむ時も多く、友だちももちろん最初は全くできませんでした。
難しい曲がみんなでそろってひけなくて、「まだまだ練習が必要」という時に、隣の陽気そうなメンバーに頑張んなきゃねという顔をみせたら、いきなりAre you having fun?(楽しんでる?)とにんまり笑顔で言われました。適当に笑顔でごまかした私。その人は、うまく弾こうではなく、楽しく弾くということを重要視しているように見えました。できないことを重荷に思っているのではなく、そもそも自分が好きなことで楽しんでいるのでそれでよしとする、楽しいという気持ちは大事なんだな~。
その後もオーケストラは普通に有名な曲を、うまい下手ではなくどんどんこなしていきました。練習をこなすうちに、少しではありますが友だちと溶け込むことができてきました。
みんな一見とても冷たそうで、1人っ子で小心者の私は、いつも心細い思いでいっぱいでしたが、勇気をもって話しかけていくと結構話がはずんだりしたものでした。だから、ここアメリカでは自分でI am here!(私はここよ!)って叫ばないと誰も振り向いてくれないし、誰も何もやってくれないのだと痛切に感じました。
このオーケストラでは思いもかけず日本人の方と出会うことになりました。彼女の名前はひろこさん、この大学で旦那さんと共に数学の教授をしているらしく、彼女の高校生の息子さんジャーミーもオーケストラにいました。
このオーケストラは、大学生にのみではなく広く門戸を広げており、地域からもいい人材がいれば参加を許可するようでした。思いがけない出会いをした私は、わらをもすがる思いで、ひろこさんと仲良くさせていただいたのでした。
ひろこさんはアメリカで育った日本人の方なので、現地にとてもとけこんでいて私はとても驚いたのを覚えています。きれいな京都弁で、丁寧で物腰柔らかい話し方は、とても心地よく感じました。そして、これがまた次の出会いをもたらしてくれることになります。
ひろこさんは、せっかくなのでとバイオリンを弾く日本人の方をもう一人紹介してくれました。テキサスの田舎町で、アメリカ育ちの日本人の方々に会えるなんてとても不思議で、そしてありがたかったです。同じ日本人ということもあり、この二人は本当によくしてくれました。
私が、後に他州で就職し色々大変だった時も、日本に永久帰国した際も、「テキサスにはいつでも帰ってくる場所があるのだからね」と声をかけてくれたその優しさは決して忘れません。
人間は苦しみの中にあるとき、心から優しくしてくれたことを決して決して忘れないと思います。そんな貴重な経験ができたことは、私の人生の宝物です。バイオリンのスキルは2年目に思いがけず役に立つことになるのでした。
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