相原ユタカの“年収3万円海外プロサッカー選手放浪記” Vol.51~初めましてKCC~
ジョン(ポールじゃなかった)のゲストハウス代の支払い待ちの為に、引きこもること数日間。
ようやくボクはK.C.Cのサテライトの練習に参加出来ることになったんだ。
お金を払いにきたジョンが言うわけよ。
「明日、K.C.Cのサブチームの練習があるから行くぞ。2時に迎えに来るから待ってろ。」
こんな嬉しい知らせが届くとはね。
果報は寝て待て・・・・・・すんげえ待ったよ。
ただ、「ホテルに来たら、電話するから電話代の5000シリング(約30円)ちょうだい。」なんて果報も届いたけどしょうがない、払おう。
毎回、ホテルに着いたら勝手に入ってくるのに、なぜ電話代が必要なのか分からないが、しょうがない、払おう。
そしてその翌日。
多少はもしかしたらと思ってたんだけど、やっぱりそうだったよ。
まず、ジョンが2時に迎えに来るわけねえ。
しかも電話すらねえ。
驚くよ。
ジョンに電話して、電話をくれなかったことを言ったら電話代が無いんだって。
昨日あげましたよね?
どうもオリヴィアといいジョンといい、この国の方々は先日の記憶を消去する癖をお持ちらしい。
そしてボクのゲストハウスに到着したジョンはさらに驚く言葉を投げ捨てたんだ。
「ユタカ、練習、来週の月曜日になっちゃった・・・・・・。」
コレは予想以上。
完全に裏を取られたよ。
何が辛いってさ。
今が、月曜日だからね・・・・・・。
また、あのゴールの見えない引きこもり生活が続くのか。
もうね、その日の夕方、知らないカンパラという街をただひたすら走ったよね。
運転手のくせにいつも酒臭いジョンの匂いや、あの虚ろなジョンの目、タイやバングラの思い出に至り、国の両親の事もすべて振り払うかのように。
そして24×7時間そんな事を続けて待ちました。
この期に及んで、更に迎えに来てくれるジョンを2時間待ちました。
目は虚ろでしたが、お待ちどうさま。
ようやく初練習です。
迎えにきたジョンの車には、ケニア人、ルワンダでプレーしてたっていうウガンダ人、ウガンダ人が乗っていたの。
ややこしいね、顔の違いもむづかしいし。
でも、ケニア人は気さくに話しかけてきたよ。
当時マンUで活躍してるパク・チソンの事を知ってるか聞いてきたのよ。
まあ、奴らからしたら日中韓の区別なんかつかんだろうから、しゃーないわな。
ボクだって、言われながらケニア人とウガンダ人の区別なんか着いてないし、なんならジョンとの区別もついてねーし。
とりあえず言ってやったよ。
「ああ、パク・チソンね、知ってるよ。」
まるで、友達かのように答えてやったよ。
いや、嘘は言ってないよ。知ってるもん。
ただ、向こうがボクを知らないだけ。
さ。見栄も張ったところで。
ジョンの車に乗るとグランドまでは10分くらい。
ようやく誰かにプレーをアピールできることに、多少興奮してたんだよ。
そんなボクを見たとたんチームの奴が声をかけてきたよ。
「そのスパイク、くれ。」
「なんだその手首に巻いてるやつ(ミザンガの事)、くれ。」
いきなり2件も営業さんがボクに回ってきたよ。
興奮急降下。
ボクだって、もう慣れたもんですよ。
こういう奴らは信用できん。
だいたい、今スパイクあげちゃったらボクぁ何を履いて練習すればいいのさ。
笑顔で一蹴、「Next Time。」激しく断ると嫌われちゃうから・・・・・・。
奴らは津波のように押し寄せてくる。
次の奴はこうだ。
「パク・チソン知ってるか?」
このセリフの密度高え。
答えは例のアレね。
さて、練習開始。
って言っても軽い練習だったよ。
パスゲームをやってから紅白戦。
そんな簡単な練習だったけど、ボクは輝いたよ。
丁寧なパスを出せる選手があまりいなかったから、ボクのパスは紅白戦では特に歓ばれたよ。
みんな外しまくりだけどね。
「Hey Yutaka, Give me more.」
「OK OK. このヤロウ、いつ決めんだよ。」
笑顔と日本語で万事オッケー。
で、ここでおめでた。
紅白戦ではありますがワタクシ、ウガンダ初ゴール!!!
いい日だ、とてもいい日だ。
終わってから監督みたいな人に「良いプレーだったよ。きっとK.C.Cで契約できるよ。」って言ってもらえたんだ。
素直にうれしかったよ。
よぉぉぉぉく考えたら、K.C.Cのマネージャーに契約しようなんて言われたけど、プレーしたのあの日が初めてだったもんな。
進む時は一気だね。
この3日後に、本荘のK.C.Cの練習が始まるのでした。
*この日の結果 : 中盤で出場、1ゴール2アシスト
スパイクくれ 1ポイント
ミサンガくれ 1ポイント
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