【コラム】ミャンマーで受け取った「歴史のバトン」

eyecatch_Ohmura

普段、医師としての仕事中で中心となる日常診療や手術に関しては、日本にいらっしゃる方々が中心になります。しかし、私の所属する大学の耳鼻咽喉科学教室として、また耳鼻咽喉科の医療技術を持っているいち医師としては、世界に医療の技術を発信する使命があると思っておりますので、常にグローバルの意識を持って技術の研鑽を積んでおります。

 

具体的には、韓国の耳鼻咽喉科の先生方に対して東京慈恵会医科大学の耳鼻咽喉科が手術技術研修会を20年前より行っていることや、今後はインターネットを使って医療を行う【遠隔医療】を使って、カンボジアなどの東南アジア諸国の耳鼻咽喉科医師に対しての医療技術協力をやっていきたいと考えています。

Ohmura プライベートでは、学生たちに国際協力、特にアジア諸国とのよりよい関係を作る為、テレビ電話(遠隔コミュニケーションシステム)を利用し、韓国と日本の学生にむけて同時に授業をしてみたり、そのシステムを利用して、日本の学生により早い段階で海外に触れてもらうことのできる教育方法を提案出来ればと思っています。

今やインターネットを通じて国境や時間を簡単に越えることができる時代です。今までのイギリス・アメリカ・タイへの大学留学やミャンマー・ネパールでの国際協力の現場で出会った友人たちとのネットワークが、また次の自分を創るモチベーションになっています。

 

■言葉はただの方法に過ぎない。経験することが大切。

僕が海外を知るきっかけとなったのは、周りの人よりは遅く、大学入学後でした。

その当時ハリウッド映画で「パッチアダムス」という実在する赤鼻の医者をとりあげた物語が話題になりました。当時その物語を見た僕は、こんな面白い医者が実在するならアメリカにまで逢いに行ってみたいと思いました。

海外旅行は親に連れて行ってもらったハワイがせいぜい。英語の能力は受験英語。そんな状態でしたが、かたことの英語でメールを打ち、施設に電話をかけ、やっとのことでアメリカのウェストバージニアにあるその施設にたどり着くことができ、現地でボランティアをしている学生に触れ合うことができました。今思えば、文章にすればわずか数百文字にまとまってしまうような経験が、その当時の自分に大きな自信を与えてくれました。そしてそこで培った自信がその後に大きく影響することになります。

その次に海外と接触することになったのは、イギリス留学でした。これはわずか3か月でありましたが、留学初日に大学の寮に行くことができず、何度もバスの運転手に教えてもらいながら大学のレセプションにやっとの思いでたどり着きました。そこでも全く英語が通じない僕を見て、レセプションの男性が、レセプションを閉めて寮まで車で送ってくれる始末でした。

そんなお粗末な英語力でしたが、結局イギリスと日本の教育方法の比較や、念願だった世界緩和医療の概念を作った医者との面会や、イギリス最大のホスピス訪問、イギリスの医者たちの前での日本文化についてのプレゼンテーション、ラグビーの試合参加など、非常に多くの経験をさせてもらうことができました。

言葉が理由で留学や旅行に踏み切れない人たちが沢山いると思いますが、言葉はやはり方法でしかありません。それを本当に感じたのは、現地に行くことができたからではないかと思っています。

 

僕にとっては、このわずか2つの経験。時間にして3か月強の現地での経験によって、世界との壁が非常に薄くなる結果となりました。

大学を卒業し、念願の医師になってから2年がたったある日、僕の携帯に恩師がメールをくれました。「面白そうな講演会がこれからあるよ」たまたま東京にいた僕は、時間もあったのでその講演会に行くことにしました。

Ohmura_myanmar軽い気持ちで行った講演会で、実は僕の人生の転機ともなる出会いが待っていました。NPO法人 JAPAN HEART代表 吉岡秀人医師です。

今でこそ、情熱大陸・ETV特集・夢の扉などメディアに取り上げられている団体となりましたが、その当時からミャンマーで黙々と医療活動を行いながら、自分のやりたいことや生きがいに正直に生きよう!!というメッセージを強烈に発している人でした。

当時、アメリカの病院に留学をしようと思い、すでに内定も貰っていましたが、その講演を聞いて、すっかりその人と一緒に働いてみたいという気持ちになったのを今でも鮮明に覚えています。講演会が終わり、すぐ吉岡医師へ手紙を書き、JAPAN HEARTを通じて、国際協力への道を歩むことになりました。

グローバルといえばグローバルですが、その当時の僕の中で先進国と開発途上国は大きな違いがありました。この時、先進国での医療経験ではなく、ミャンマーという国で活動させて貰えたことによって、その後タイの大学への留学、韓国の医学大学病院との交流、在日のミャンマーの方々との関係など、アジアへの芽が非常に大きく開きました。

 

■やりたいことはトコトンやってみる!

僕が今の状況になったのは、月並みな言い方になりますが「面白そうなことに貪欲に、正直に」という気持ちを持ち続けることができたからだと思っています。やってみたいことがあったら、そこに言葉の壁があろうとも、経済的な壁があろうとも、やってみるし、行ってみる。そのような行動を、些細なことからやっていった結果、今に至っております。

正直、日本での仕事をやめたあと、「有給でキャリアにもなるアメリカの病院」と「無給でキャリアにならないミャンマーの病院」の選択を迫られたときに、自分の選択とはいえミャンマーを選んだことは、その当時不安がなかったわけではありません。周囲の多くの反発に屈することなく、たった一回の講演会で感じた直感を信じて、その気持ちに正直に、行動出来たことは本当に幸せだったと思います。

僕が学生の頃は、学校側から1:記憶力 2:行動力 3:創造力の順番で要求されていましたが、僕は努めて1:創造力 2:行動力 3:記憶力を意識していました。その姿勢が反映された結果、今の自分があるのではないでしょうか。

「命を懸けて黒船を見に行った人」と「黒船が来ていることを他人から聞いて知っている人・気になっている人」は、根本的に違います。内容や、理由なんて後からいくらでもついてきます。是非皆様にとっての黒船を見に行ってください。

<次ページへ続く>

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