日本人の可能性 ~故きを温ねて新しきを知る~ vol.1

「日本人が海外に出れば得ることも多いだろうな」
こんにちは!新井です。
冒頭は、私が最近感じていることです。 もちろん私は日本人ですので、他国に比べて日本についての情報が多いことは事実です。 それも考慮しなければならないとは思いますが、改めて日本人の可能性を感じてしまいます。
私は現在、剣道を教えつつ、ギリシャ語と合気道を習い、剣道のとなりでやっている空手の稽古をチラチラ拝見しています。 その中で感じた、他国の教育や慣習、はたまた日本のことについて書いていきたいと思います。 どうしても剣道のことを中心に見てしまうかと思いますが、その辺はあしからず。
さて、この中で一番新鮮だと感じるのはギリシャ語の授業です。 剣道、空手、合気道は前回滞在した時にも触れており、それも影響しているのかと思います。
「アメリカの授業では意見を言わなかったらいないのと同じ」
多くの方が耳にした言葉ではないでしょうか。 ここはアメリカではありませんが、やはり欧米式というか、なんとなく自由な雰囲気で活発に発言し合う授業が繰り広げられているのかなぁと、想像していました。 そんな淡い期待を持ちながら、授業が始まりました。
クラスは私を含めて5人。 元小学校教師のスイス人、ミケレ。 大学教員のアメリカ人、アン。 花嫁希望のロシア人、オルガ。 金融機関勤務のドイツ人、クリスティーネ。 そして、日本人のロウ。
ギリシャの方は、なかなか「リョウ」と発音できません。 そのため、このクラスの先生、マルコスには「ロウ」と呼ばれています。 最近はさらに進んで「ルー」と呼ばれることもあります。 もはや原型をとどめていません。笑
生徒の構成はそんな感じです。 夕方から始まるクラスのため、仕事を持っている方が中心で、そういった意味でも面白いクラスです。
そんな感じで始まった授業。 一言でいえば、本当に楽しい!!
まさに、想像していたような授業でした。 先生もフレンドリーでよく冗談を言うし、教科書の表現も面白い。
そして、先生の話を聞いているだけでなく、生徒も活発に発言する。 説明がよく聞き取れなかったところや理解があいまいなところがあれば、もう一度説明して欲しい、とか。 この表現は実際にはどうやって使うのか、とか。 発言は多岐に渡り、さらには生徒の方から提案が出ることもあります。
例えば、ギリシャに住んでどのくらい?という質問に答える際、「~週間」や「~ヶ月間」が皆わからなかったんですが、先生はわからない単語が出てくる度にその単語を教えていました。 そしたら、生徒の方から「じゃあ、そういうときに使う表現をまとめて教えてくれない?」との提案が。 それに対して先生は、「~日間」、「~週間」、「~ヶ月間」、「~年間」をまとめて書いて説明する、と言った具合です
先生の方もまた、生徒を意識しながら授業を進めます。 「この単語は発音を確認したほうがいい?」とか、「ここはさっきと同じだからとばしても大丈夫?」とか。
こういうのが双方向の授業なんだと、改めて感じました。
日本の教育しか受けたことのない私にとって、これは非常に新鮮でした。 特に、生徒の方からこんなに多くの発言が出ることには驚きました。 日本では、やはりどこか先生の意見が絶対のような雰囲気があり、こちらと比較するとやや活気に欠けるような雰囲気があると思います。
先生=情報を発信する側
生徒=情報を受ける側
このような構図があり、一方通行になりやすい。
しかし、こちらではわからないところなど、生徒が自分の意見を発言する。 先生も生徒の要望や質問を嫌がることなく聞き入れ、そして答える。 むしろ「それは気づかなかった」、「私の説明不足だった」なんて言います。
これって先生からすると、すごく難しいと思うんですよね。 授業の前に、ある程度の流れを決めていると思いますが、生徒の質問が入ってくるとそれに狂いが生じる。 それにうまく対応するのも、教える力のうちということでしょうか。
しかし、このような相互のコミュニケーションが、発言しやすい雰囲気を作っているのは確かだと思います。 そして、その雰囲気が多くの発言を生み、生徒は何が知りたいのか、どこがわからないのかがはっきりしてくる。
目的はいい授業を作り上げること。 いい授業とは、生徒がきちんと内容を理解する授業。 この目的を達成するために、先生が一方的に教えるだけでなく、生徒も意思表示する。 両者が協力することで、授業が成り立っている。 そんな印象を持ちました。
剣道を指導するとき、常々コミュニケーションの重要性は意識してきたので、このような授業運営は非常に効果的だと感じました。 相手の心理を完全に理解することはできませんが、特に初心者は難しい。 私が初心者だったのは遠い昔の話です。 そして、合気道の稽古の中でも感じることですが、先生が想定しているより、初心者は下のレベルにいることが多い。 だから、こちらが一生懸命教えようとしても、それは相手の求めているものとずれていることもある。 そのズレを埋めるためにも、コミュニケーションを積極的に取ることは大切だと感じます。
また、先生側が生徒の意見をきちんと受け取ろうとしている姿勢も大切だと思います。 日本だと、「生徒の意見なんか」とか、「おれの意見が絶対だ」とか、意図的ではないにせよ、そのような態度を取る人もいます。 私も剣道を教えているときは気を付けていますが、ついついそのように思ってしまうんですよね。 生徒から何か言われることに慣れていないことが影響していると思いますが。
そのような受け取られ方をされると、生徒の方も話す気がなくなりますよね。 その点、こちらの授業ではまずは生徒の意見を聞こうとするので、生徒も思ったことを口にしやすくなるのかなと思います。
初回の授業では、「このような授業が柔軟で斬新な発想を生むんだ!」と感じ、欧米の教育の一端を垣間見た気分でした。 何より楽しかったです。
しかし、少しずつ疑問が生じてきます・・・。
(つづく)
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