波乱万丈アメリカ留学体験記⑤2001年秋の思い出
前回のあらすじ:大学の授業を受講し始め、アウトドア冒険クラブの活動や寮生活も順調の滑り出しとなりました。そして、新しいチャレンジとしてオーケストラに入団したのでした。記事はこちら>>>☆☆
●9・11の悲劇
学校生活も始まり、少し落ち着いてきたかなと思っていた時期、アメリカ全土をゆるがすとんでもない悲劇がおこりました。
私は、あの9・11の悲劇が起きた時、英語に苦戦しながらキャンパスを歩いていました。そして、学校のTVにあの惨劇の様子がうつされたのです。正直言って、その場ではまったくぴんときませんでした。えっ、これは本当に起きたこと!?という感じだったのです。
同じ国の中でおこっていることなのに、すぐにはその事件を身近に感じることはできなかったのですが,少しずつ生活の中で私はそれを理解していったのです。最初にそれを認識させてくれたのは、初めてのオーケストラコンサートにおいてでした。事前のリハーサルの時、みなが一堂に介し、そして黙とうをおこないました。
そして、モーツアルトのリクイエムを急きょ弾くことになったのです。楽譜があまりよめない私は、あせり必死に弾きましたが、この時の曲のメロディー、周りの人の思い、そして会場の雰囲気は、今でもはっきりと脳裏に浮かびます。アメリカ全体がみんな悲しんでいるのだと肌で痛感した時でした。この事件があってからアメリカは変わったと思います。それを感じることができたのも本当に貴重な体験となりました。
●旬の行事は必ずチェック~ハローウィーン
ハロウィーンが近づいてきたある日、探険クラブのレズリーに州都オ―スチンで行われるハローウィーンパレードに一緒に行かないかと誘われました。
なんだかとても面白そう!高校時代の友だちだという個性的な仲間たちとともに、夜の街へと繰り出したのでした。
レズリーは、本当のアルミの巨大なゴミ箱を白のペンキで塗り、自分の顔や手も白に塗り、私はwhite trash canだと言っていました。アメリカンジョークのようですが、私がその意味を理解したのは後にインターネットで検索してからでした。あまり使ってはいけない単語ではありますが・・・その時は私は全く理解できず、そっかゴミ箱なのねと解釈したのでした。
しかし、いざ仲間たちとパレードに繰り出すと、彼女が断トツで一番人気で沢山の人に写真撮影を求められていたのでした。かたや私は芸のないインディアンの格好で顔をおまけ程度に塗る感じだったのです。
ストリートには本当に様々な仮装をした人々がいました。リアルな殺人鬼になり済ましている人や、ものすごく背が高いフランケンシュタインになっている人、かなりの露出をしている若い女の子たち。
大学の中だけではなく、外の世界でどういうことがあるのかを知るのはとても面白い体験でした。夜も更け、私はレズリーの家にお泊まりをすることになりました。彼女はペンキだらけだったので、とるのに時間がかかるらしく私は先に就寝したのです。
ピーチクパーチク。
朝が来て、そして洗面所で顔を洗っていた私。
そういえばまだお家の方にご挨拶していないなと思っていたところに、見知らぬ男性が「グッドモーニング」とねぼけ顔で声をかけてきて、自然に私の横で顔を洗い始めました。弟さんかな?レズリーの友だちかな?なんか寮みたい笑。
そして、リビングのほうに行くと、レズリーと2人の女性が朝ごはんを用意していました。1人はレズリーのお母さんでもう1人は一緒に住んでいる仲のよい友達(?)らしい。そして、さっきの男の人はだれ?と聞いたら、彼も一緒に住んでいる同居人らしい。おそらくただ貸しているようで。。。それじゃあ、この前話していた弟さんは?と聞くと窓の外を指し、干渉されるのがやだから、あの納屋を改造してそこに住んでいると言ったのです。
なんて面白い!
これから私は様々なアメリカの家族を見ていくことになりますが、家族構成は本当に多種多様でした。離婚や同性愛者が普通のこととして認識されているアメリカでは、血縁ということではなく自分が住みやすい形で居を構えている人々が少なからずいるということが私にとって新鮮な驚きでした。
●まとまった休みは、外の世界へでよう~洞穴探険
私の大学では、休暇中はみんな寮をでなくてはいけない決まりがありました。いつも友達を頼り、「家に泊めてくれる?」と懇願するのはやだったので、きたる感謝祭休暇は泊まりがけで特大洞穴に挑戦してみることにしました。
それはアーカンソー州にある山の中にある洞穴で、一日がかりで探険する規模のものでした。(時には洞穴の中に寝る場合もあるらしい。)前述したテキサス州立大学オ―スチン校グループの旅に参加する形でしたが、外の世界がみれるはずだと思った私は進んで手を挙げてしまいました。私の大学からはもう1人ステファニーという女の子のみ。彼女とは、行き帰りそしてテントを共にすることになりました。
車がない私は、ジョーというベテランの洞窟探検家(?)の車に乗せてもらうことになりました。この車がまたすごかったのです・・・
犬を2匹乗せているそのおじさんの車は足元が見えないくらい物が散乱し、そして私が座った前席のドアはゴミの量が凄くて開きませんでした。私はそのゴミの上に足を置きまるで体育座りのように着席したのですが。。。でも彼は陽気な人がいいおじさんで、英語がまだうまく話せない私を子供のように扱い色々教えてくれました。休憩所について、「トイレにいっていい?」と聞くと、「だめ!」と真顔で言った後に少し間をあけて、「あ、今の冗談ね」と毎回おちゃめに言われたりもしました。
そして、キャンプ場につきみんなと合流。さっそくキャンプファイアーが始まりました。私はキャンプファイヤーみたいなイベントが大好きです。でも、みんなが火を囲んで話し始めるとなんだか言葉に表せないほどみじめでした。私はいるのに、いないとみなされているような。。。私だけ英語が何時間もわからない、話せないという疎外感は、今まで経験したことの中でも1,2位を争うぐらい本当にみじめだったのです。
なんにも喋れない。(というか言っていることもよくわからない)
ひきつる笑顔で、適当に小さく相槌を打つことしかできませんでした。生の英語の中にいる、とすごく感じた時でした。みじめすぎるのもやだったので、火に使う薪を斧で割ったり(初体験)といったことを積極的にやりました。そして、就寝。明日はいよいよ洞窟への挑戦だと気持ちを切り替えました。
キャンプ場から1時間ほど離れた場所に、その洞穴はあった。山の中腹に、鉄格子の入口がありそこから一人一人入っていきます。往復10時間もかかるらしく、どんな穴なんだろう、という期待と不安。
小さい入口から入った私は唖然としました。これは恐竜時代か?というようななんだか大昔を感じさせるような巨大な大穴、そしてその先の細い隙間をカニ歩きで進んでいく仲間たち。
ごくんと唾をのみこんで、ここから生きて帰ろうと密かに思ったのでした。
そして、私はこのメンバーと来たことは間違いだったとすぐ悟りました。みんなそれなりの経験を積んできたいわばベテランの洞穴探検家たちだったのです。ものすごいスピードで進んでいく彼ら。私は彼らの頭についている懐中電灯からでる光を頼りに必死についていきました。(今から考えても恐ろしい~~~)
転んでも、誰も振り向いてくれない時もあり、このままでは置いていかれて死んでしまう、と本気で思いました。初心者だった私は、水も食料もろくに持ってこず、友だちに分けてもらったりもしていました。
そんな時また衝撃的な出来事が起こります。続きは次の記事で。。。
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