サラリーマン留学記-社費で留学する意味(3)

前回のコラムをアップしてから半年。気づけば卒業まであと3ヶ月を切ってしまいました…留学中にもっと情報発信しないと~!
ということで第3回目です。
今回と次回は、現在の留学生活についてです。
自分の留学生活は、
1.学校の勉強
2.家族や遊びなど日常生活
3.課外活動
この3つで均等の割合で構成されています。3の「課外活動」については、次回説明をします。
ここ数ヶ月は、卒業研究があったり、ちょっと重めの授業を取っていたので、このうち「勉強」の比率が高かったかな・・・
1.学校の勉強: 英語の苦労
授業は、自分の所属するMPP(公共政策)の他に、MBA(ビジネス)の講義も取っています。アメリカの大学では、他学科の講義を自由に取れるので、学びたいことを自分の意思で選択しやすいです。
自分はイノベーションとか科学技術マネジメントに関心があるのですが、このテーマは、政策、ビジネス、教育など様々な学問分野と関わりがあるため、MPPの外でも講義を受けたり、セミナーに出たりする必要があります。自分の所属する学科に閉じこもらず、自分に必要な知識を得るために、積極的に「外」に出て行くことが重要になります。
アメリカ人のクラスメートはこのようなスタイルで受講している人は多いですが、日本人留学生は、この点については消極的かな、と思います。
他学科の講義に出ると、クラスメートは誰も知らないし、事務手続きから授業の進め方に至るまで、自分の所属先とは文化やお作法が全く異なるので、最初は疎外感を感じるのですが、今では慣れました。新参者であることで逆にアホな質問がしやすかったり、グループワークで新しい出会いがあったり、その状況をプラスに活かすようにしています。
授業における一番苦労したことは、他の日本人留学生の例に漏れず、英語です。
講義では、日本の大学のような、ひたすら先生が話して板書を書いている、なんてことは殆どありません。割かれる時間量、講義の内容、ともにディスカッションの比重がとても高く、授業について行くのに、聞く&話すが、高いレベルで必要になります。
ショックだったオリエンテーション
今でも時々思い出すのは、一年半前の、MPPのオリエンテーション初日のことです。
この日、初めてMPPのクラスメートたちと集まりました。アメリカ入りして2ヶ月弱が経ち、既に現地の語学学校に通っていたため、緊張こそすれ「それなりにイケるっしょ」と言い聞かせて初対面に臨みました。
オリエンテーション前、教室内で初めて会うネイティブスピーカーたちと雑談。これは難なくクリア。話せる、話せる。きっちりコミュニケーションが取れる日本人だと思ってもらえただろう、と自信を得て、オリエンテーション突入。
そこでの、教授や事務スタッフからの話も、理解できる。大丈夫。そう思っていました。
・・・ところが衝撃は、その後やってきた。
教授のショートレクチャーの後のQ&Aのセッション。クラスメートたちの言っていることが全く理解できない!雑談の時とは違う言語を聞いているかのような速度と単語。
皆が笑ったりしても、何が起きているのか、理解不能、思考停止・・・完全に置いてけぼり。中国から来た若い女の子が積極的に発言するのを見た時には、奈落の底に突き落とされた気分でした(笑)。
落胆、焦り、屈辱・・・留学中に起きたその後のどんな出来事よりも、この日のショックは僕を凹ませました。
話のプロである教授たちの話し方は、分かり易いよう配慮されているけれど、学生たちの殆どはそんなことは意識していない。前回コラムの、あのNYで得た教訓から3年。修練を積んできた自分の英語がまだ遥かに未熟だった、という事実がショックでした。
あの時は「英語が話せる外国人」が相手でしたが、今回の相手は、ネイティブのアメリカ人ばかり。ハードルはさらに高かったのです。
あれから1年半- 英語力が伸びた実感というのは、実はあまりありません。
ただ、授業のディスカッションはだいぶついていけるようになりました。発言もできる限りするようにしています。グループ課題でのチームメンバーとの議論も、昔ほど苦戦しなくなりました。英語力は伸びていると思います...多分。
習うより慣れろ、という諺がありますが、まさにそういうものなんだろうなぁ、と。
講義や宿題、次回話す課外活動など、英語を使わざるを得ない場に身を投じてきたので、それが多少なりとも実ったのでしょう・・・ 妻と子とここに来ているので、家の中はどうしても日本語だらけになってしまいます。簡単ではないですが、家の外ではできるだけ英語に浸るよう、意識的に振る舞っています。
なお、個人的には、MPPよりもMBAの講義の方が、ディスカッションのキャッチアップが非常に容易に感じます。
良し悪しの話ではないのですが、
MPPにおける政策の議論は、哲学的な話や思想論が入ってきたり、特殊な用語やアメリカ固有の話も多く、聞き慣れない会話が飛び交うことも多いです。
MBAはその点、ビジネスを扱うので、極めて具体的で日常的、どこかで聞いた話題も多いため、出てくる話題も単語も、分かり易いという部分があるのだと思います。
ここ数学期は、MBAの科目についてはだいぶストレスなく受けられるようになりましたし、成績もMBA科目の方が良いです(笑)。
2.LA生活: 東京のサラリーマン生活より睡眠時間が減った
カリフォルニア、ロサンゼルス、と聞いたら、日本の皆さんは何を想像しますか?温暖な気候、ヤシの木&ビーチ、ハリウッド、などでしょうか。
自分もそのようなイメージを持っていました。当初は。学校の後や休みの日には、ビーチでBBQしたり、ハリウッドスターのレッドカーペットを見に行ったりするのかな、と思っていました。確かに今も、これらのものは自分の生活環境に存在します。が、全く縁がありません。。。
はっきり言って、基本的に机とペン、PCが友達状態で、東京でバリバリ働いている時よりも睡眠時間は減りましたし、お酒を飲む機会も激減しました。健康的なのかそうでないのか、良く分かりませんが(笑)
←ある日の深夜、勉強中に妻からの差し入れ・・・LAでもこういうものが手に入ります。
学期中は常にどこで宿題をする時間を作るかを考えながら過ごしています。図書館で夜遅くまで勉強してから夜10-11時ごろに帰宅することも、ざらです。帰宅後も机に向かいっぱなしのこともあります。自分は社費留学ですので、就職活動をしていません。それでもこのような状況なので、就職活動中の学生はもっと大変です。
そんな中、家族には十分なケアが必ずしもできず、迷惑をかけていると思います。妻は、学生なんだから、日本で仕事しているときよりももっと家事や子育てに時間を割いてくれるだろう、と僕に期待をしていたようなのですが、期待に応えられていないです(汗)努力はしていますが・・・
そんな中、当初は車の運転も英語もおぼつかず、自分のサポートが必要だった妻が、最近は車も一人で運転し、スーパーやレストランでも自分から従業員に話しかけ、現地に友だちも沢山作りました。自分よりずっと逞しくやっていると思います。
こんな多忙な生活ですが、長い夏休みや冬休みがあるので、その時にLAを満喫できるのはありがたいことです。生活をしているからこそ、買い物・遊び場所、TVのCM、レストランや病院だったり、色々なところで日米の違いを感じ、学ぶことも多いですし。
4月から始まる最終学期は、自分が関心のある授業が多く、それに取り組むことも大事なのですが、これまで手薄だったLAの日常生活から学ぶべきこともあるだろうと思い、少し「生活」の比重を上げていこうとかと思っています。
来学期、まずは授業時間との重複や、怪我や病気もあって長期で休んでいた、週一回の草サッカーに復帰したいですね。
ヒスパニック系の人が多いチームなのですが、たった二人しかいない日本人のうちの一人のことを覚えていてくれるといいのですが。
日本に帰ったら、天然芝のグラウンドが徒歩圏内にあって、そこで無料でサッカーができる、なんてことはまずないじゃないですか。こういう環境の違いを体験しておくのも、留学で学ぶべきことだと思っています(笑)いや、大真面目ですよ。カリフォルニア生活の端々で感じる生活の豊かさ。それを日本に少しでも持ち込んでいくことが、留学後の仕事のテーマの一つだと思っています。
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