【速報】ミャンマーに潜む宗教対立問題勃発

私は以前ミャンマーの治安についてコラムを書いたことがある。その時と今に認識の違いはなく、もうすぐヤンゴンに住んでから1年が経つが、治安は極めて良い。と思っている。

しかし、有事の時の話は別である。

3月20日にミャンマー中部にある、メイッティーラという都市の貴金属店でインド系イスラム教徒と仏教徒の間で金取引を巡りトラブルが発生した。これをきっかけに騒乱が動乱となり、22日には非常事態宣言が発令され軍が街を制圧し、夜間外出禁止令も発令されるまでに至った。

報道機関から伝えられたその写真はもはや戦争の様相を呈していた。

ミャンマーは多民族国家であることに加えて、多宗教国家でもある。大半は仏教徒であるが、都市部にはイスラム教徒も数多く住んでいる。ヤンゴンのダウンタウンでは中国寺院よりもモスクの方が目につくほどだ。

昨年にはラカイン州で国籍を持たぬ難民ロヒンギャ族とビルマ族との間で報復が繰り返された。現在は下火になってはいるものの、根本的に解決しておらず、出口は依然不透明である。民族問題や宗教問題は歴史的にミャンマーを悩ませてきた。この国はもう何十年も内戦状態にあると言ってもいい国なのだ。それほど大きな戦闘は起きていないので大きく取り上げられることはないものの、中央政府と独立を目指す少数民族の武装グループとの和平協定、停戦合意などはいつ破棄されてもおかしくない状態にある。

今日は民族対立の問題はさておき、宗教対立について書こうと思う。

昨年ロヒンギャ問題で大きく揺れたミャンマーであったが、ヤンゴンでそのような集会、対立が起こる。との噂は1度や2度耳にしたものの、大きな騒ぎには発展しなかった。しかしながら、今回のメイッティーラの動乱を発端とした宗教対立は発生地の地理的な要因もあろうか、各地に飛び火している模様だが、「正確な情報」は伝わってこない。

というのは、ミャンマーでは情報の伝達が未発達で、何よりも先に噂が伝播する。その速さ、不正確さと言ったら呆れるばかりだ。そもそも発信源が不確かであるが故に伝播されるに従ってその情報は誇張される。今回の事件を例に挙げると、ZigonとNattalinというヤンゴンの北100マイルにある町でモスクを含む建物に火を付けたり、略奪行為があったとされた。しかしながら、地方警察が確認したところによるとそういった形跡は一切なかった。とのこと。(出所:The IRRAWADDY)

ヤンゴンの北に位置する古都、Bagoにて暴動が起き、モスクが焼かれ始めたとの噂がヤンゴンに伝わり、反イスラム群衆はムスリムが多く住む様々な地域でモスクに投石をし、ヤンゴンを騒ぎ立てた。(出所:MIZZIMA)

多くの情報が信憑性にかける中、25日にはヤンゴンのカンドヂー湖東北部から東南部にかけてのエリアで騒乱があったという噂が広まった。このエリアにある店舗は午後9時までに店仕舞いをするように治安部隊から勧告があったそうだ。これらの出来事を受けて、アメリカ大使館は25日付で’strongly advising’という掲示を観光客に向けてカンドヂー湖の東側にある具体的な地名を挙げてそれらの地域には近づかぬように観光客に注意を促した。

情報が錯綜する最中、25日の夜に私はダウンタウンのローカル飲み屋でいつものようにミャンマー生ビールを5杯ほど飲んで酔い醒ましに一人いつもの薄暗いダウンタウンを歩いていた。この時に何か危険を感じたかというと、否。ところが21時を過ぎた頃に普段プライベートの時間以外には滅多に電話をしてこないから上司から着信があった。それは私の身を案ずる電話であった。

特に変わった様子がなかったので、予定通り行きつけのバーへ行き、3杯ほど飲んで帰路についた。

ヤンゴン中がざわついた日から数日が経ち、未だにその「ざわつき」は収まっていない気がする。実際にモスクへの放火未遂はあったようだが、群衆同士の殴り合いや殺し合い、略奪といった話は聞かない。27日に私が通うヤンゴン外語大の日本語科のミャンマー人教師たちに会ったが、彼女たちは全く気にする素振りも見せず、例の問題があったとされる地域に住む一人の教師は「そんなものはただの噂だ。」と一蹴した。

 

宗教対立や民族対立というのは極めて根が深い問題で、何十年も何百年も抱えている問題を国がオープンになったからとか、民主化したからといって解決できる問題では決してない。むしろ舵取りを間違えれば軍政下よりも酷い状況になるのではないだろうかと不安に思う。ミャンマーは必ずしも良い面だけではないところを今後も書いていきたい。


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