エチオピア 来てみりゃとても おもしろい!

現在、私はアフリカ・エチオピアのメケレ大学の日本語教員を務めていると同時に、「Ethio-Japan Research Center」のコーディネーター(Co-coordinator)という職についています。
メケレ大学での日本語教室は、2009年から開始されていて、私は先学期から授業を受け持っています。エチオピアに行く前は、あまり日本語教師の仕事で忙しくなるとは思っていなかったのですが、ふたを開けてみれば、先学期は生徒が3セクションで合計150人もいて、月曜~土曜に授業があり、今学期も同じぐらいの数の生徒がいて、新たに上級レベルのコースも開設、と思いのほか忙しくしています。しかも教科書を買ってもらえないため、既存教科書の「指導要領」をもとに、生徒に渡す分の教材はほとんど自作しなければなりません。
この日本語教室が想定以上に忙しかったため、当初考えていた「日本産業に関するコース」の開設は今のところ保留にしています。でも、忙しさ以上に、生徒に日本語を教えることを楽しんでいます。生徒の中には、本気で1年以内の日本留学を考えている人もいるので、ぜひ応援していきたいところです。
もうひとつの活動である「Ethio-Japan Research Center」とは、メケレ大学の“Institute of Paleo-Environment and Heritage Conservation”の傘下に、エチオピアで研究を行われている三宅理一教授(藤女子大学)の協力で昨年秋に設立されたばかりの機関です。機関の目的は、日本の持つ知識などのリソースを活用して、(1)エチオピアに点在する文化遺産の保存・研究を進め、(2)文化遺産を有する地域社会の自立・活性化に貢献、更に(3)日本文化のエチオピアへの紹介を行うことです。私は文化遺産保存の研究分野に関しては素人なので、機関の計画策定支援や、「文化紹介」の企画・実施を行っています。
「文化紹介」の一環として、今年の1月、地元の小学校で「Japan Culture Day」を開催しました。内容は、日本語学生によるそろばんコンテスト、詩の朗読コンテストや、小学生対象の折り紙・習字(現地文字)体験教室などでした。折り紙や習字は、ボランティアの日本語の生徒に事前学習してもらって、彼らから小学生に教えてもらいました。折り紙は人によっては苦労していたようですが、ボランティアたちの協力で無事作り上げ、楽しんでもらえたと思います。特に子供たちは、外国人や違う文化と接する機会があまり多くないため、子供たちが「世界」「異文化」に目を向けるきっかけになればいいな、と思っています。
私の野望は「エチオピアのビジネスの発展に貢献する」ことです。エチオピアでは大規模ビジネスが少なく、せっかく教育を受けても働き口が少ないと感じています。2008年に首都アディスアベバにいた際に同僚に聞いたところでは、国際的なNGOがもっとも給料の高い就職先だとのことでした。私の家の夜間ガードマンも、実は電気工学の専門学校を卒業しています。それでもガードマンとして働いています。そんな状況を目の当たりにすると、やはり国が発展するためには産業が強くないと、と考えるようになり、そのために是非この国のビジネスに貢献したいと考えています。
当初は起業を考えていましたが、まず手はじめとしてやりたいと考えているのは、エチオピアの農産物・製品の輸出支援です。こちらの高品質のゴマや岩塩、蜂蜜、革製品などいろいろな可能性があると考えています。先日、この地方の知事にお会いしたのですが、知事も輸出をどんどん進めていきたいとのことです。近々、協力の方法について話をすることになりそうで、楽しみにしています。
■日本以外で生活するかもしれない、ということが特別なことではなくなった。
話は少し変わり、私自身が海外へ目を向けたきっかけの話に移ります。母親が元英語教師だったこともあり、母の勧めで小学5年生からNHKの「ラジオ基礎英語」を聞き、その後、「続基礎英語」「ラジオ英会話」と続けて聞いていました。特に英会話学校に通っていたわけではないですが、これにより英語が好きになり、電車の中で出会う外国の方に、突然英語で話しかけたりしていました。(笑)
中学校時代は部活(水泳部)と、習い事(ピアノ)に打ち込む、普通の中学生でしたが、英語好きだったこともあり、「将来は英語を使った仕事をする」と漠然と考えていたように思います。中学3年生の冬、通っていた学校(私立の中高一貫校)で、アメリカの高校との交換留学プログラムの開始が発表され、中3~高2が応募できるとのことだったため、「今年受からなくても、来年につながれば」ぐらいの、軽い気持ちで応募しました。応募者には帰国子女の方も多かったため、英語力では私より上の方が多かったと思うのですが、度胸・キャラを買っていただいたようで、無事選んでいただき、忙しくも充実した留学生活を送ることができました。この経験で、私自身の中で大きな変化がおきました。自分が今後生きていく世界の現実的な選択肢として、「アメリカ」が加わったのです。もっと言うと、日本以外で生活するかもしれない、ということが特別なことではなくなった瞬間でした。
また、英語だけで物事を考えられるようになりました。行って2か月ぐらいして、夜、英語で夢を見ていることに気づきました。ちなみに賛否両論ありそうですが、留学して最初に取り組んだのが、「イタッ!」とか「チクショー」とか、自分で本能的に言うようなちょっとした言葉を英語にすることでした。なんかこういうところから変えていくと、英語で物事を考えられるようになり、英語力を上げられるのかな、と思ったので。
私の行った高校は大部分の生徒が寮生活を送る私立高だったため、アメリカ各地からの生徒だけでなく、アジアやヨーロッパからの国費留学生などもいました。また、アメリカ人の生徒も、かなり育ちがいい人から、スラム街育ちで奨学金を得て学校に来ている人など、様々でした。そんな彼らと触れ合う中で、「世界にはいろいろな人がいるのだな」と体感しましたね。なかなか日本では味わえない経験だと思います。もちろん、彼らとはいまだにフェイスブックなどで繋がっています。
■ 私自身の夢も「世界の人の幸せに貢献したい」という漠然とした想いから、「エチオピアのビジネスの発展に貢献したい」という具体的なものに変化するようになりました。
高校卒業後は、両親の強い勧めにより、帰国子女入試制度を活用して、日本の大学に入学しました。大学在学中は、横浜市の姉妹都市交流プログラムで米国サンディエゴにいったぐらいで、グローバルからは少し離れていました。ただし、一般教養で国際関係のゼミを取ってJICAを訪問したり、語学(フランス語、中国語)の授業をとったりはしていました。
就職活動時、国際協力事業団(JICA)なども受けましたが、残念ながらご縁がなく(笑)、外資系で英語が生かせそう、かつ、面接などで会った人が魅力的と感じた、アクセンチュアに入社しました。アクセンチュアでの仕事は非常に楽しかったのですが、「自分の力を世界の人たちの幸せのために、もっと直接的に使ってみたいな」との思いも持ち続けていました。
そんな中、会社の社会貢献活動で、「会社に在籍しながら、コンサルティングの力を生かして発展途上国のNGOなどで短期間働ける」という制度が始まり、「これだ!」と思って迷わず応募しました。ちなみに、私が受けた制度では、行き先を選ぶことができなかったため、数多くの国の中からエチオピアに行ったのは、単なる偶然でした。
エチオピアでの経験も私に大きな変化をもたらしました。1つ目は、自分が培ってきたスキルが、かなり広範囲で使えることに自信が持てたこと。アクセンチュアという厳しいコンサルティング業界での仕事を続けてきて、それなりに会社のプロジェクトの中で活躍できる自信はついてきていたものの、会社の優秀な同僚・上司・部下の元を離れ、更にまったく違うクライアントに対して自分の力が本当に役に立つのか、実は行くまでも自信がありませんでした。
しかし、行ってみた結果、クライアントの種類・環境はまったく違っても、プロジェクトの企画や作業計画を作ったりとか、やるべきことは意外なくらい同じであり、今までに日本で自分が培ってきたスキルも役に立つんだ、と自信になりました。エチオピアで自分のスキルが直接的に役立つことが肌を通して感じるようになり、私自身の夢も「世界の人の幸せに貢献したい」という漠然とした想いから、「エチオピアのビジネスの発展に貢献したい」という具体的なものに変化するようになりました。
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