波乱万丈アメリカ留学体験記⑥洞穴での衝撃的な出来事
前回のあらすじ:大学1年生のはじまりは色々なことがありました。9・11が起こりアメリカが悲しみにつつまれたのをとても身近に感じたり、ハロウィーンパレードやクラブ活動も積極的に参加していきました。そして、ある日の洞窟体験でまたもや衝撃的な出来事が起きるのでした。前回の記事はこちら>>>☆☆
●巨大洞窟探検 続編
洞窟をすすむにつれて、体力的にも辛かった私は、自分の水も飲みほしてしまい、友だちの水を少しもらえるよう頼もうと思いました。しかし、下手な英語を気にするあまり、water (水)の一言がどうしても言えません。フラフラの中、この後に及んで躊躇をする私。そして、ヘルメットのヘッドランプのほのかな明かりの中、友人ステファニーの顔を見ながら、彼女の水をただ指さして、なんとかジェスチャーで伝えようとしました。お願い、察して!
その時、彼女はこう言ったのです。
「千夏、これはwaterだよ。きちんと発音しなければわからないでしょ」と。そして、「water ときちんと言えるまで水はあげないよ」と言い、”water ,water,water”と何回も一緒に練習してくれたのでした。
極限状態でなんてことをする人なんだと、ぼーっとする頭で思いましたが、後になって振り返るとそれは貴重な体験でした。やってもいないことを恥ずかしがったり躊躇したりするのではなく、間違ってもいいから前に動いてみる、とにかくやってみるということを彼女は教えてくれたのです。その後も、息をつく間もありませんでしたが、私たちはなんとか元の入口まで戻ってこれました。
洞穴を出た時、外は土砂振りの大雨でした。
ここはジャングルかというレベルの草木をかき分け、私たちはずぶぬれでキャンプ場を目指しました。山道は水が氾濫し川のようになり、膝下まで水につかる時もありました。ヘルメットと懐中電灯を頭に真っ暗の中、ばしゃばしゃととにかく前に進んだのでした。前にいるメンバーのヘルメットの光を頼りに、突き進むしかありませんでした。
そして、キャンプ場に到着。手と足の先がかじかみすぎて感覚がなかったけれど、缶詰のスープを口に入れた時の温かさやテントをはって生きて眠れることの幸せは感動的でした。
帰りの車の中で、ステファニーにはっきりと言いました。
「次に会う時には絶対今より話せるようなるよう頑張るから」
スポーツマンでさばさばしている彼女は、ほほ笑んでうなずいてくれました。今回の旅は、選択肢の幅を狭めずに、できる限り幅広い機会をつくっておいたから参加できたのだと私は思いました。みんなの輪の中ではまだまだ話せないけど、長い時間耐えて生の英語を聞くことは留学1年目の留学生活で私にとって欠かせないことでした。辛かったけれど、その積み重ねで私は自分のリスニングが飛躍的に伸びたのを後で感じることになるのです。
●健康・体調管理は重要
アメリカの食事は日本と比べてとんでもなく脂っこいのはみなさん御承知だと思います。アメリカに溶け込むため、食生活もアメリカンスタイルをつらぬいた私はだんだんと不健康の体を築いていったのでした。朝は、時間がないので大学の売店で売っている甘いドーナツかソーセージが挟まったビスケット。このドーナツは、日本でも有名のクリスピードーナッツでした。昼は、大盛りミートボールスパゲティかハンバーガー。夜はピザハットの大判ピザか食べ放題のカフェへ。。。数年後にどうなったかがお分かりかと思いますが。。。
アメリカ人の友だちと一緒にスーパーに行くと、どんどんかごの中に積まれていくお菓子を横目に、ふむふむこんなものも食べるのねと勉強をしたつもりになって、調子に乗って自分も買っていたのをよく覚えています。まあ、なんともトホホな食生活を送っていたのでした。私にとって食事は、留学を成功させるためには妥協ができる部分だったのです。
そして、休日はアメリカ人の友だちと外食したり、しばし宿泊した友だちの家では、「冷凍食品を冷凍庫からとって勝手に食べてね」などと毎回言われました。冷凍したパスタの包装にフォークで穴をあけ、レンジにいれてチン。
今考えると本当にめちゃくちゃな食生活でしたが、大学生で食欲旺盛だった私は、モリモリと何も考えず食べてしまっていました。日本のものが食べれないという反動が私をそちらの方向に押し出していたのかもしれません。
数か月に一回、日本食料理屋への買い出しに行くこともでき、そんな時は常備食の、のりやふりかけ、日本米、即席おかずなどを買い込みました。
日本では毎日手に入るものが、めったに食べることができない現実。ぎょうざが大好きな私は数十個ぎょうざが入っている冷凍のパックを買い込み、週末で時間ができるとレンジでチンして食べました。ふりかけとペースト状ののりも必需品でした。寮の部屋で一人、鍋で炊いたアメリカ産日本米とふりかけをちょびちょびと食べることができたのは、私にとってなによりの至福の時間でした。食べたいものは食べられないひもじい生活でしたが、日本の食べ物が体の中に入るだけで、なんだかとても幸せな気分になったものでした。
たまに日本料理屋に行く機会もあり、そんなときは飢えた肉食動物のように手当り次第に色々なものを注文しました。そして〆は抹茶アイスを食す、このなんともいえない、充実感。水を得た魚状態の私は「日本」がおなかに入ってきて満たされた気持ちになりました。これは、経験した人ではないとわからないと思います。日本に帰ってきてからも、私は抹茶アイスが大好きでよく食べていて、かなり忘れられない味になってしまいました。
ただ、体があまり強くなかった私は渡米当初しばしば風邪をひきました。厄介なのは、医者にかかるのも大騒動だということ。
まずどこにいけばいいのかわからないし、アメリカで薬を処方されたところで、それが日本人の私に効くかは定かではない。とりあえず、大学の中にある保健室みたいな場所へ行き、薬をもらうけれど、やっぱりあまり効かない、というわけで、私は日本から大量の薬を送ってもらいそれでなんとかしのぐことにしました。
大変だったのはひどい口内炎になってしまった時。なにも食べられず、息も絶え絶えのところを、健康レトルト食品や薬満載のヤマト運輸の宅急便に助けられました。母よ、ありがとう涙。
風邪をひいたときは、精神時にもしんどいので日本人の友だちに甘えて一緒にごはんを食べました。風邪をひいたときや、体力が落ちたり精神的に参った時には、日本食が一番!日本人の友達との大笑いが一番!が私の中での鉄則になりました。日本人と話すと本当に楽しいな~、意思疎通ができるってなんて素敵なんだ!と思うほど、当時の私は本当に英語が喋れなくて苦痛だったのです。それでも、人間は環境に適応するもので学生生活の四年半を通してだんだん私はタフになっていったのでした。
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