日本発女性モデル、アジア経由世界行き

Akiko

現在、タイのバンコクを拠点に、海外(主にアジア)でモデルの仕事をしています。きっかけは、東京に五万といるモデルの中で「他の子に何か差をつけたい!!」という想いから、海外でモデルの仕事をするようになったことで、現在はタイで活動しています。

一番最初の挑戦は、2005年中国の上海でした。

中国語能力は全くゼロの状態で上海に到着したのですが、あまりに言葉が通じず、空港で泣いてしまったほど、この挑戦は苦難のスタートでした。「このままでは、モデルの仕事はおろか、日常生活もままならない!」と一念発起し、上海大学の語学コースへ通うことを決意。大学では付属の寮へ入寮し、午前中は語学を学び、午後は雑誌社などへの営業という毎日を送りました。

約1ヵ月半の滞在中、運良くファッション誌の仕事を頂き、ひとつの成果を出して一旦は日本へ帰国。翌年、「中途半端な中国語を上達させたい!」と思い、首都・北京にある中央戯劇学院に半年間留学することにしました。

上海と北京に滞在していた時、複雑な日中間の問題を肌で感じることができました。タクシーの運転手や見知らぬ人から、日本人の蔑称や罵声をかけられたことは今でも覚えています。しかし、国籍を越えた親密な友人関係を築けたのも中国でした。中国人の温かさや世話好きに、本当に助けられました。

その後、同じ中華圏の中でも文化も言葉も180度違う香港へ。公用語が中国語(普通語)であるにもかかわらず、街中の人は英語や広東語を話す事にカルチャーショックを覚え、中国本土で学んだ普通語は、全くと言って良いほど役に立ちませんでした。それよりも、たくさんの外国人が住む香港では英語が不可欠だと感じるようになります。英語力にコンプレックスを持っていた私は現地の日本人コミュニティの中に埋もれ、外国人とのコミュニケーションを上手くとれないまま、日本へ帰国することになってしまいました。。

グローバル力「言語」

 

Akiko 帰国後、友人からタイのモデルエージェンシーを紹介してもらい、2010年1月より拠点をタイのバンコクに移し、現在は、この地でモデル、女優、DJとして活動しています。タイの公用語は、もちろんタイ語ですが、仕事仲間とは英語でやり取りしている為、コンプレックスだった英語がいつの間にか話せるようになっていました。また、昨年末には、英語のセリフに苦戦しながら撮影したタイのアクション映画『BANGKOK KNOCKOUT』が公開されました。

今まで活動していた中華圏とタイは似ているところもありますが、やはり文化も親日度合いも違います。東日本大震災において、私もバンコクの街角に立って義援金を募る活動を行っていたのですが、涙を流しながら「日本は強いから大丈夫!!がんばって!」と励まして下さり、タイの皆さんの温かい心に私も涙してしまいました。

 

■ 「自分のスペシャリティは何か?」これが重要になってきます。

日本人とアジア人では見た目が大きく変わらないと言うことで、私のような日本人モデルが現地で活動して行くのは、当然ながら、現地のモデルより条件は厳しいです。例えば、語学力が伴わない場合、同じような見た目のモデルだったら、私達外国人より現地のモデルを採用するのが当たり前です。そのときに、「自分のスペシャリティは何か?」これが重要になってきます。私は約10年間モダンバレエをやっていたため、身体が柔らかく、どこの国でもヨガやダンスに関連した仕事に恵まれています。ところが、このスペシャリティだけでも実は足りません。スペシャリティと並んで、最低限必要なのはコミュニケーション能力ですね。たとえ、その国の言葉が話せなくても、自分をプレゼンする能力とコミュニケーション能力がなければ、相手にわかってもらうことはできません。

Akiko

グローバル力「教養」

 

上記は各国で共通して言えることですが、香港・タイ・中国での違いにも触れてみたいと思います。

まずは香港。ここでは、現地のモデルのレベルも高く、様々なシチュエーションにあう人物が必要とされます。例えば、ファッションショーも頻繁に行われますし、テレビCMの仕事も雑誌の撮影も多い。すべてに対応できるモデルが勝ちます。また、香港人は流暢な英語を話すので、それに怖気づかない強さが大切ですね。

Akiko 続いて、タイ。こちらでは「肌が白い=キレイ」という方程式が成り立っている国なので、一年中暑いタイですが、肌を焼かないように常に日焼けには気を付けてなければなりません。また、タイはテレビCMの仕事がメインなので、演技力が重要です。日本よりも少しオーバーアクションで演じるのですが、文化の違いに戸惑いを感じることがありますね。例えば、家族でのワンシーンで、子どものほっぺたにキスをしたりハグをしたりとか、愛情表現が素直なんですよね。日本では、そこまでストレートな演技はないと思います。

中国においては、私自身が仕事の面で、もっとも厚い壁を感じた国です。と言うのは、目が大きい訳でもない、ハーフでもない、身長もモデルにしたら小さい私にとって、顔も日本人に似ている、かつ180cm越えのモデルが五万といる中国では活躍の場があまりありませんでした。興味深いのは、上海では雑誌の仕事が多く、身長が高くない親しみやすいモデルが人気なのに対し、北京では高身長のいわゆるスーパーモデル系のモデルが人気でした。身長172cmの私にとって、ちょうどその中間になってしまったのかもしれません。現場のスタッフはほぼ全員が中国語のみを話していたので、中国語は必須でした。


■日本に住んでいた頃は当たり前すぎて考えもしなかったことが、今はとっても愛おしい。

Akiko 海外に出て強く思うのは、その国の文化を肌で感じながら、同時に日本の誇るべき点がより濃く見えてくると言うこと。日本に住んでいた頃は当たり前に感じていた物ごと全てが新鮮で、尊い物だと感じるようになりました。例えば、一時帰国のたびに寺社仏閣へ行ったり、伝統芸である寄席を観に行ったり、日本の四季を心と身体で感じたり。日本に住んでいた頃は当たり前すぎて考えもしなかったことが、今はとっても愛おしいです。

「世界って、意外に狭いんだ!!」これも海外に来てはじめて分かったことです。日本は島国なので「海外に出る」と言うと、おおごとのように感じてしまいがちですが、実際に飛び出してみると、日本人がそうであるように、どの国の人も家族を愛し、当たり前の様に仕事をして、生活をしているんですよね。

海外に拠点を移してから、みんなに「すごいねー」と言われる機会がありますが、地方出身者が東京に出てくるような感覚に似ていると思います。海の向こうに一歩踏み出したら、大体の国は陸路で繋がっているんですから。

また、どんな時でも自分の気持ち(意見)をストレートに伝えられるようになりました。日本人同士で日本語を使ったとしても、100%を相手に理解してもらうのは難しいのに、外国語だったらなおさらです。日本にいる時も海外にいる時も、相手には混じりっ気なしの100%の思いを伝えています。また、挨拶の一環としてのハグは当たり前になりました(笑)。

 

■ 躊躇して踏み出さないより、不安でも小さな一歩を踏み出す勇気を選択してみて下さい。

私は英語を話す時と日本語を話す時とでは、性格が一変します。海外では「自己主張が大切!!」とよく聞きますが、これはつくづく本当だな……と思います。自分でも海外に出てから「我」が強くなったのを実感していますし、「自分の意見をきちんと言えるようになった」と周りから評価されるようになりました。自分で取捨選択をし、自己責任で生きていかなくてはいけないので、自然とそうなりますよね。

最初の一歩を踏み出す時は、誰もが大きな期待と同じくらいの不安でいっぱいです。でも、躊躇して踏み出さないより、不安でも小さな一歩を踏み出す勇気を選択してみて下さい。可能性は自分が思うよりも、遥かに大きいのですから。

私自身も今後は、インドやマレーシアなど、日本人モデルがまだ挑戦したことのない国で活動していきたいと思っています。

Akiko

<了>   開国ジャパンプロジェクト

 


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