ミャンマーの北部で改めて気づいたミャンマーの多様性

前回の寄稿から随分と間が空いてしまった。この間、ミャンマーを取り巻く状況は目まぐるしく変わっている分野もあれば、そうでない分野もある。今回は「開国」しても変わることのないミャンマーという国家の多様性について書きたいと思う。

以前も述べたが、ミャンマーは7つの管区と7つの州から成っている。管区には主にビルマ族が多く住み、州には少数民族が多く住む、と認識して良いと思う。私はミャンマーに住みつくことを決める前に22日間ミャンマーの北部を中心に一人旅をしているが、当然この時は全くミャンマー語を話せなかった。まずミャンマー語の勉強をしたいという意向を伝えて現在の会社に入社し、会社がヤンゴン外国語大学に通わせてくれたおかげで今となっては読み書きが多少なりともできるようになった。

今回ミャンマーには珍しい連休を活かして、北部を旅した2012年4月以来にシャン州へ行ってきた。シャン州は面積の大きな州で、標高が比較的高く、山間部の多い州だ。東はタイ、ラオス、中国と国境が接しており、ケシの栽培で有名となった「ゴールデントライアングル」があるのもこの州である。高地であり、肥沃な大地に恵まれ、コーヒー栽培や農作物の産地、シャン米という日本米に似た米の栽培でも有名で、シャン民族を中心に多数の少数民族が住むことでも知られている州である。今回訪れたのは観光地として有名で風光明媚なインレー湖と南シャン最大の都市タウンヂー。前回の旅と比較して環境そのものに大きな変化はなかったが、自分自身ミャンマー語が理解できるようになったことが非常に大きかった。

私は現地の雰囲気を味わうのが好きなのでローカルマーケットに何の気なしに行く。前回訪れた時には全くわからなかったが、彼らの日常会話から全くミャンマー語が聴こえてこなかったのに非常に驚いた。インレー湖周辺にはシャン民族だけでなく、インダー族、ダヌー族、パオー族、パラウン族、バダウン族などが暮らしている。よく見ないと彼らの違いを見抜くことはできないが、彼ら同士の会話は独自の言語を使って行われており、ミャンマー語を話していない、つまりビルマ族でないことはわかる。彼らの共通言語はミャンマー語なのでミャンマー語が通じないということはあまりないのだが、あまりにもミャンマー語が聴こえてこないので衝撃的だった。さらに彼らの一部は独自の文字も持っており、それぞれの言語同士似ているものもあるそうだが、ミャンマー語と比較すると全く違うのである。シャン語などはミャンマー語よりもタイ語に近く、シャン人とタイ人はお互いの母国語でコミュニケーションを取ることができるそうだ。スペイン語とポルトガル語のような関係だろうか。

独自の言語を持ち、文字を持ち、未だにそれを使っているということはそれだけ民族意識が高いということの表れだと思う。ビルマ族が多く住み、外国人も多く住むヤンゴンではこのような場面に出くわすことはまずない。夜行バスで移動しただけなのに全く違う国へ来てしまった。そんな感覚に陥ったのだ。

ミャンマー人はNRC(National Register Card)というIDカードを持っているが、そこには民族名が表記されている。日本に置き換えたら東京都民、大阪府民ということだが、文化、伝統、言語、文字、民族が違うのでその隔たりは想像以上に大きいように思う。外国人から見たらミャンマー人はミャンマー人という認識だろうが、ミャンマー人自身は○○民族としてのアイデンティティーを非常に強く持っている。地図で見るとミャンマーの国境線は割としっかりしているが、中に入り込んでみるとミャンマー国内にいくつも国境線があるように感じる。これがこの国の面白い部分でもあるし、それ故に内戦が勃発しやすく、統治が難しい理由だろう。

 

タウンジーで見かけた看板は上にミャンマー語、下にシャン語が書かれていた。一見似ているが、全く違う言語で文字なので読むことができない。

外国人にとってビジネスの中心はヤンゴン一極集中なのでミャンマー=ヤンゴン、ヤンゴン=ミャンマーと思われがちであるが、私の少ない経験からもミャンマーという国がいかに多様性を持つ国かということがよくわかる。訪問者にはヤンゴンを中心とした管区だけでなく、是非州にも足を伸ばしてミャンマーという国を見て欲しいと思うし、私自身ももっと冒険してこの国のことを知りたいと思う。


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