ジャパントリップ(前編)~世界に日本を知ってもらうチャンス

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前回のポストから随分と経ってしまいました。僕は昨夏に無事UCLAを卒業し、今は日本に戻ってきています。
卒業の報告がここでできず、また、それがとても遅れてしまい、すみませんでした。

まだ浦島太郎なことも少しありますが、すっかり日本の生活に慣れつつ、時々アメリカとの違いに悩んだりしながらも、頑張っています。

 

311から3年が過ぎた先日、ロサンゼルスでM4.4の地震がありました。震源はUCLAのある街、Westwood。

幸い大事には至らなかったようですが、友人たちがFacebookで地震のことを話題にしているのを見て、2年前の2012年3月に行った、あるイベントのことを、思い出しました。

ジャパントリップ-クラスメート20名とした1週間の”日本旅行”。

これは、僕の留学生活の最大かつ最重要なイベントであり、留学というと真っ先に思い浮かぶ、最高の思い出です。

 

 

予想以上に遠かった、日本とアメリカの”距離”

僕の留学生活は、2011年の夏に始まりました。
あの忌まわしい東日本大震災から半年が経とうとする頃のことです。

家、家具、車、銀行、カード、電気・水道、インターネット、入学手続きetc・・・最初のころは現地での生活のセットアップに追われる日々でしたが、
色々な人々との輪を広げていく中で、あることに気がつきました。

 

日本人コミュニティの中で、震災のことが全く話題に上らないのです。

 

当時、東京は、輪番停電や依然続く水問題の話題がまだ続いていました。

被災地ではもちろん、人々の避難生活や大量の震災廃棄物や放射性物質に関する問題がまだまだ残っていました。

周りには、どうしたら復興できるか、自分たちはどうしていくべきか、ということを話し合う人たちも多くいました。
自分も、家族や友人たちと議論や、時には口論になることすらあったくらいです。

そんな日本から海を渡った「震災後の留学第一世代」である自分には、LAの日本人コミュニティの「震災との距離」に違和感がありました。

今になって見れば、これは仕方のないことだったと十分理解できるのですが、LAに来たばかりの自分は「同じ日本人でも、物理的距離が遠いと、こんなにも情報の伝わり方も、関心も、トーンダウンするのか」と、驚いていました。

子どもの頃にLAに住んでいたことがあり、その頃から、LAは海外で最も日本人が多い「準ホーム」だと思っていただけに、というところもあります。

日本人でもこういう状況であったので、当然、アメリカ人をはじめとする外国人たちは、殆ど何も知らないし、関心も高くないようでした。

 

世界中に震災のニュースが駆け巡った、世界中から救援物資が送られてきた、海外の軍隊や医師団が助けてくれた-。日本で見聞きしたニュース自体は事実でしょう。

しかし、世界全体の流れから見れば、各国の政府や一部の団体が日本を支援してくれた、ということであって、

世界中の人たち全員の関心が日本に向けられていたのは短期間であり、半年も経てばすっかり風化してしまっていた、ということだったのだと思います。

 

 

これは、海外の戦争や事件等に対して、僕たち日本人にも同じようなことが言えると思うので、仕方のないことだとは思います。

 

でもあの時の自分は、それで良いのだ、と治まることはありませんでした。
秋、大学の本プログラムが始まる頃には、「皆にどうにか日本の今を伝えたい」と思うようになっていました。

 

日本に同情して欲しいとか、支援して欲しいとか、そういう思いは全くありませんでした。

 

それよりも、

あの震災の事実を知って欲しい、

様々な問題を知って、何かを感じて欲しい。

この震災から知れること、感じられることを、日本人以外の人たちにも、伝えたい。

ただただ、それだけでした。

 

「来てもらう」ことが日本を知ってもらう最善の機会

僕のいたUCLA MPP(Master of Public Policy;公共政策学修士)プログラムには、自分以外に2人の日本人留学生がいました。

夏の終わりのある日。

入学直前に、大学そばのスターバックスで、はじめて三人が一同に会したことがありました。
そこで、これからの2年間の不安や期待を話し合いながら、一つ、三人で約束をしました。

「MPP版 Japan Trip(ジャパントリップ) を立ち上げよう」

 

ジャパントリップとは?

欧米のトップスクール、特に比較的大規模なMBAプログラムでは恒例のイベントです。

日本人留学生が引率し、春休みの1~2週間を使って日本を旅する「大人の修学旅行」。

殆どが20代後半~30代のビジネスマンや政策のプロの卵たちなので、普通の観光地に加えて、大企業や官公庁等の訪問をするものです。

UCLAのMBAであるビジネス・スクール、”アンダーソン・スクール”もジャパントリップを行っていて、長い歴史がありました。

一方で、僕たちの公共政策大学院”ラスキン・スクール”には、当時ジャパントリップはありませんでした。

規模も小さく、日本人留学生も少ないスクールだったので、ある意味、当然でした。

それに、そもそも、公共政策系スクールでジャパントリップを行っている所は、自分が知る限り、世界でも数えるくらいしかない状況でした。

 

さらに言えば、震災や原発問題もあり、世界の足が日本から遠のいていた時期。2011年のジャパントリップも、世界中の大学で中止になったと聞いていました。

 

こういう時だからこそ、日本を知ってもらおう。そのきっかけづくりを自分たちが作れたら、との思いがありました。

留学前から、各校のジャパントリップの噂は聞いていたし、クラスメートたちと自分たち日本人学生の親交がさらに深まること、そして日米の国際交流が様々な形で進むこと、このトリップが果たす意義を認識していました。

 

「日本のファンになってもらおう」

「そして将来、日本と海外を繋ぐ仕事を彼らと一緒にしよう」

三人とも、自分たちで新しいジャパントリップを作る、と、同じ方向を向いていました。

 

ただ、僕ひとりだけ、さらに「余計なこと」を考えていました。

「震災も知ってもらおう。クラスメートたちを、東北の被災地に連れて行きたい

2人にそう伝えた時の、彼らの困惑した顔・・・東京や京都等の観光をイメージしていた所に、被災地の話。彼らでさえ足を踏み入れていなかった、震災後の東北。

 

僕は、自分が留学前に被災地で仕事やボランティアをしたこともあり、どうしても、そこで皆に感じて欲しいことがありました。

行かねば知ることができないこと、土地や人に触れてはじめて感じられることが、沢山ある。

今の日本を知ってもらうには、被災地は避けて通れない。

その思いがありました。

 

・・・ただ、アメリカから、日本に行ったこともない外国人のみんなを被災地に連れていくことは、とてつもない苦労の連続でした。

世界に前例のない、被災地へのジャパントリップ。

それを、ジャパントリップ経験のない、日本人がたった3人のスクールでやること。

覚悟はしていましたが、その後に待ち構えている苦労は、相当なものでした。

 

(続く)

 


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