和魂洋才 やっぱり僕は日本人

初めまして。中村武彦と申します。先日35歳の誕生日を迎えたばかりなのですが、気がつけば、アメリカでの生活が20年弱となっております。
そんな折、縁があって「グローバルな人材」についての本稿の依頼を頂戴したのですが、正直自分でもグローバルな人材って何だろう?と考え出すと中々纏まらず、原稿依頼をいただいてから1ヶ月近くが過ぎてしまいました。
単に語学が堪能であるとか、たくさんの国に行ったことがあるとか、留学経験があるとか、外資系企業に勤務しているとか、海外支局に駐在をしているとか、外国人の友達が多い、というだけでは「グローバルな人材」とは言えないと思っております。と言うのも、ここに列挙したカテゴリに該当する方々で「全然グローバルじゃないなぁ」、と感じる人にも本当に多く出会ってきたからです。
では一体「グローバルな人材」ってどういう人のことを指すのだろう?と考える中で、結局はこういう肩書きや、語学力などのテクニックに関係なく「グローバル」かどうかは、もっと本質的な個々人の性格や、資質、特性、人間性なんじゃないかな、という結論に至っております。
■ まずは相手との相違点を理解する姿勢を持つこと
ここ10年近く、さまざまな国のサッカークラブや、協会、連盟、代理人、選手、監督、ビジネスパーソンたちと仕事をしてきた中で、最も痛感したのは、「みんな異なるバックグラウンド(経歴)の持ち主である」ということでした。言語はもちろんのこと、生活習慣、食生活、宗教、商慣習、人生観、その他色々。そこで、一番鍛えられたことは、「先ずはきちんと相手を理解しようとする努力をすること」でありました。言葉が違うだけではなく、仕事の仕方も、食事を取る時間も、就寝時間も、家族との付き合い方も、それこそ色々とひっくるめて違うのですから、最初に相手がどういうバックグラウンドに根ざしているかを理解することが不可欠だと感じております。
もちろん、いきなり理解するのは難しいのですが、そのマインドセットを持つことが先ずは大事だと学びました。例えば、自分が経験をしたことで言えば、アメリカ人とのビジネスで良く直面するのは、白黒はっきりする、ということがあげられます。しかし、メキシコ代表や、メキシコのクラブチームと仕事をしていると、面と向かって「No」とは中々言わない文化であったがために、白黒はっきりせず、無駄に商談の時間だけを浪費してしまったことがありました。
あるいは、事前に細かく計画を立てて確認をする文化を持つ日本ビジネスパーソンと、事前準備は大雑把に大体決め、本番で何か起きたら現場で解決をするアメリカビジネスパーソンの狭間に立たされて大会運営をすることの辛かったこと。。など。もっと単純なことで言えば、プライベートを尊重するアメリカで、週末に遠慮なく仕事のメールや電話をするのは「エチケットがない」と、思われてしまうことがあるとか。何かして欲しい時にはウザイと思われるほど要求をするとか、年俸交渉も自分から恥ずかしがらずにお金の話としてどんどんするなど。
もちろん、全てを理解できるなどとは思っておりませんし、結局全然解り合えないことも良くあります。でも、ファーストステップとしてグローバルな人材になるためには、先ずは「相違点があるんだ」と、言うことを認識し、その前提でできる限り「先ずは理解すること」が大事なことだと感じております。
■ 相互の相違点をきちんと説明できる意識・能力を持つこと
次に自分が他国のことを理解しようとするのと同時に、相手にも自国のことや、自分の考えの根拠を理解してもらう必要があります。そのためにも、自分自身の思考を論理的に説明できる能力と、当然、自分の母国に関する基礎知識は持っていた方がより良いのではないかと思います。例をあげれば切りがないのですが、それこそ商談の際のお土産の文化から、名刺交換の仕方、日本の会議とアメリカの会議とスペインの会議の進め方の違い、食べ物の説明、神社などの説明まで。これらの例は、表層的な知識の話なので、豆知識王、雑学王、歴史家になれ、と言うことではなく、言いたいことは「どうして違うのか、何が違うのか」といったことをきちんと自分側も説明できる能力と、それを意識していることが肝要だということです。
ここに付け加えて言うなれば、真のグローバルな人材であれば、いつも日本を背負っている、あるいは日本代表として戦うわけではない場面も出てくることもあります。例えば、自分自身を例に恐縮なのですが、日本人の僕が、スペインのFCバルセロナの事業展開を、アメリカ人に囲まれたNYオフィスで、中国に出張して、中国人相手に行う責任を負っていました。或いは、日本人の僕がMLS(メジャーリーグサッカー)というアメリカのプロリーグの代表として、コロンビア代表やメキシコ代表と商談をすることもありました。こういうときは、自分が何人であろうと関係なく、そこに入り混じっているさまざまな相違点を整理し、その立場に立って物事を色々と考え、きちんと説明したり商談ができる心構えなどは、必要不可欠なことだと感じてきました。
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