【コラム】栃木の田んぼから世界へ

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栃木県の田んぼの中にて、本物のパスポートすら見たことのない両親の元に生を受けました。育った環境は、栃木で進学し、就職し、栃木の人と結婚して、栃木で家庭を築くのが一般的と見なされている小さな町。

小学生のときにたまたま読んだ記事をきっかけに、貧困問題に強い関心を持つようになりました。初めての海外はアメリカ・アラバマ州で、私の地元の町が主催する中学生海外派遣の一環でした。それ以前から海外に出たい気持ちはかなり強かったのですが、この渡米をきっかけにその想いが爆発。英語だけはとにかく一生懸命勉強し、ついに高校一年生のときに念願だった留学を実現。十ヶ月間、なぜかオーストラリアの(地元では有名な)不良高校に通いました。

Shinagawa 帰国後、以前から参加していたユニセフの活動に力を入れるようになり、早稲田大学国際教養学部に入学。大学二年の夏に長年の夢だったアフリカ留学へ。「アフリカの東大(?)」と某ガイドブックにも紹介されているウガンダはマケレレ大学にて留学生活を送りながら、スラムでプロジェクトを始めたり、教育系の社会企業で働いたり、果てはアフリカ大陸陸路縦断を実行したりと怒涛の十四ヶ月を過ごしました。

その後、ひょんな巡りあわせで、フランスのマイクロファイナンス企業にてインターンをすることになりました。なんと、上司はサッカーの元スター選手であるパトリック・エムボマ氏。大学卒業間際に休学することを選び、フランスとコートジボワールで働くことに。帰国後は、海外へ行く日本人中高生や来日する海外企業などのサポートをしつつ、2010年9月に大学を卒業。

卒業式当日は、中国・貴州省の山の中でミャオ族の皆さんと農作業をしていたため欠席。現在は東京で働きながら、次の人生のチャレンジに向けて準備をしている最中です。

 

 ■ 私の東京のアパートは、もはや正真正銘の多国籍ハウスです

私の日常生活は、日本にいようと日本国外にいようと基本的にグローバルです。これだけは自信を持ってはっきりと言えます(笑)。一日にいくつもの言語を話すのは当たり前で、世界中から集まる人々から新しい価値観を毎日学んでいます。今や私のライフスタイルの一部になっているカウチサーフィン(旅人を自宅に泊めて、友達になるという活動。自分が旅をするときには誰かの家に泊めてもらう。)に積極的に参加しているため、私の東京のアパートは、もはや正真正銘の多国籍ハウスです。

ですので、フランスに滞在していたときに一番仲良しだった子がコートジボワールやガボン出身の子だったり、上海に住んでいるコロンビア人の友人宅に滞在したり(しかも私たちの出会いはノルウェーで、共通言語はフランス語)、ケニアで仲良くなった香港人の子とアメリカで再会したり……ということはもはや普通です。こんな事を栃木の家族に話しても、なかなか理解してもらえないのが悲しいですが(苦笑)。

■ 私の場合は、「郷に入りすぎた」と自他共に認めています

Shinagawa 初めての本格的な「グローバルな仕事」は、おそらく2007年にドイツで行われたUNICEF J8 Summitだと思います。これは、ユニセフがG8サミットの開催に合わせて開く中高生の世界サミットなのです。私はここで、ユースファシリテーターとしてスタッフ参加する機会をいただきました。

ある日突然、「来週ドイツに行けますか?」という電話がかかってきたのがきっかけです。サミット開催中は、世界中から集まった国連職員や教育関係者、人権活動家や元子ども兵士などに混ざって仕事を行いました。参加者間の出身国や地域、言語の壁を取り外すことが私のミッションでしたが、それよりもむしろ、子どもと大人の架け橋になることの方が大変でした。どこの国も、世代間の「異文化交流」は難しいですね(笑)。とにもかくにも素晴らしい経験となりました。そこで出会った人々とは、今でも頻繁に連絡を取り合ったり、地球上の思わぬところで再会したりしています。

経験

学生時代の三分の一以上を過ごしたアフリカでは、基本的に現地の人と全く同じ環境で生活していました。「郷に入れば郷に従え」と先人はよく言いましたが、私の場合は、「郷に入りすぎた」と自他共に認めています。

生活はもちろん大変でした。「大変」という二文字で表すとチープに聞こえてしまいますが。アフリカで生活する前にも、実は私はオーストラリアで暮らしています。その当時はまだ16歳であったため、ひたすら自らのアイデンティティや価値観の違いについて自問自答する毎日でした。しかし、アフリカという場所は偉大なもので、自分の全てが根底から覆されるとでも言いましょうか。「生きる意味」や「存在」について考える毎日でした。私が何を言おうとしているのかが分からない人には、とにかく一年間ほど現地の人に混ざって日常生活を送る事をお勧めしています。

こうした哲学的な考えに浸ることこそ、どんなに華やかな表舞台に立つことよりも重要な「グローバルな活動」だと私は考えています。地球市民になることを目指している私ですが、道のりは長く孤独で、意外と地味なんだなと実感しています。

■ 同級生の女の子が、ジャニーズタレントの雑誌に夢中になっている頃、私が購読していた雑誌は「週刊ユネスコ世界遺産」でした(笑)

一番初めに日本を出たいと思ったのは、実は「世界をこの目で見たい」というようなポジティブな理由からではないのです。

小学校中学年のある日、私は日本のごみ焼却炉に関する文章を読んでいました。詳しい内容は覚えていないのですが、日本人が排出するごみの量とそれを埋め立てるための日本の国土の狭さが悲観的なトーンで書かれており、幼心にも事の重大さに気付かされるものでした。これを読んだ後、とにもかくにも自分の国の将来がどうやら大変なことになるかも知れない(=このままごみを排出し続けると国中がごみだらけになってしまう!!)ことを感じ取りました。そのとき、初めて日本を出ようと心に決めたのです。

漫画のような話ですが、悲しいかな、これがきっかけで世界に目を向ける・・・というよりは、日本の外に目を向けるようになったのです。

その後、だんだんと興味の対象が貧困問題や人権問題へとシフトしていきました。同級生の女の子が、ジャニーズタレントの雑誌に夢中になっている頃、私が購読していた雑誌は「週刊ユネスコ世界遺産」でした(笑)。夜寝る前に、その雑誌を読んでは空想の中で世界旅行を楽しんでいました。かわいい時代があったものだなぁ、と今では思います。

同時に、中学校で息苦しい毎日を過ごしていた私は、海外の中学校へ転校をした同世代の日本人学生の存在を知り、両親を無理矢理、東京の留学カウンセリングへ連れ出したりもしました。日本は自分のいるべき場所ではないと思い込んでいたのです。日本の中でも狭い栃木の田んぼ町しか知らなかったくせに、です。

「我が家は裕福な家庭ではないので、留学なんてとんでもない。」 中学二年生に家庭の通帳を見せては、経済的に私が海外に行く余裕などないことを説明しようとする両親と、一歩も引かない私。そこで見つけたのが、町が主催している海外派遣制度でした。

魂を込めて書いた作文が選ばれ、晴れて私は念願の海外に行くことができました。場所はアメリカ・アラバマ州。夢のような10日間でした。英語も、堂々としていればきちんと伝わる事を肌で実感しました。何よりも、今まで夢にまで見てきた「海の外」にいるという事実に身震いしました。その後の道のりは、冒頭に書いたとおりです。人間、どこまででも行けるものなのだなと我ながら驚きます。

グローバル力「言語」

 

<次ページへ続く>

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