海を越えた隻腕のフットボーラー

“好きなことでメシを食いたい”
ボクは元々海外に行くことに対して何も考えていない人間でした。というより、自分自身が外国語を使って誰かとコミュニケーションを取っていることなど、まったく想像できていませんでした。簡単に言えば、外国に、外国人にビビってたんですね。
そんなボクは高校を卒業後、日本の一般企業で働き、社会人サッカーをやって、という生活でした。そんな生活をしてる中、ひょんなことから、ものすごい面白い人に会っちゃったんですね。その人はブラジル、コロンビア、エクアドルでプロサッカー選手として活躍した人で、一緒にご飯を食べたときにする話が、まあ面白いんですよ。その時に思ったんですね。
“サッカーでメシが食いたい。自分も面白い話ができるようになりたい”って。
おわかりの通りこの面白いってのはギャグがどうとかじゃないですよ。自分の生活や経験を楽しく魅力的なものに変えようと思ったんです。そして、ボクはタイに飛び込みました。最初、タイでは全くといってもいいほど何のコネクションもないところから始まりました。ストリートサッカーや賭けサッカーに身を投じて、やっとこさ辿り着いたプロチーム。そしてなんとか契約までこぎつけましたよ。まあ、一言でいえばラッキーでしたよね。
契約して、タイで色々な日本人に会って、ボクがタイリーガーになるまでの経緯を話したら、みんな面白がってくれたんですよ。するとボクの中にちょっとした贅沢な気持ちが芽生えてくるんですよ。
もっと面白くなりたい。
その一心で、次は日本人が踏み入れていない地、バングラデシュに行き、またもやプロ契約。そして、面白くなりたい欲求はさらに高まりアフリカ・ウガンダへ。そして、バングラデシュにいるあたりから、少しずつ深く考えるようになっていきましたね。自分がサッカーの世界で1番になるにはどうしたらいいのか、を。
サッカー選手をやっている間、幸か不幸か時間だけはやたらありました。だから考える時間って腐るほどあったんですよね。そして、フト思ったんです。
障がい者サッカーなら1番になれるんじゃないか?って。
現在、障がい者サッカーを指導してるのは主に健常者、というのが現実です。そんな健常者が障がい者に対して“それでも前向きに”とか言うのと、障がい者のボクが言うのとじゃ説得力が違うだろうなって思ったんです。ハッキリ言えますもん、“ボクはそれでもプロになった”って。
ただ、日本の障がい者の世界ってのは、まだまだ閉鎖的な部分が多いんですよね。そんな環境に少しでも風穴を開けたいと思い、現在は、タイで耳の聞こえない子供たちにサッカー指導を始めました。まだまだ、最初の一歩しか進んでないけど、ゆくゆくは障がい者のサッカーアジアカップみたいな大会でも開きたいですね。 きっかけは、「面白い人間になりたい」ってことだけだったけど、前に進むにつれ考え方が変わり、行動が変わり、自分が変わっていきました。ちょっと前までは小さい規模で、例えば、クラス1番だったり学校で1番だったり。そんな小さい枠でただちょっと楽しいやつでした。
でも、ストリートサッカーで言葉の通じないヤツらとサッカーをしたり、ピックアップトラックの荷台に積まれて山奥に賭けサッカーに行ったり、オーバーステイをし罰金を払ったり、なんとか契約ができたり、給料の滞納されたり、チーム内でイジメにあったり、銃で襲われたり、爆破事件にあったり、携帯盗まれたり、マラリアにかかったり。このリアルな経験がボクを幅の広い面白いヤツに変えていったんじゃないかと思いますね。
海外で生活するには麻痺と行動力が大事だと思います。日本での当たり前は日本でしか通用しないし、上手くいかないことなんて腐るほどある。でも、感覚を麻痺させて前に進まなきゃいけないんですね。要は、前に進むためのマインドコントロール。“うわっ、こんなことになっちゃった”って時に自分の中で“知ったこっちゃねえ”と言えることが意外と気分を変えてくれたり。
そして行動力。みんな1から始めるとかいって準備をするんですよね。でも、1あればすでに十分でしょ。1がない人。0から始めて1にするのが大変と思ってません?これほど自分が面白くなっていくことなんてないですよ。0から1にするのが面白いんです。逆に1が既にあったらもう面白くないですよ。0から1に変えるのが自分自身の魅力と力だと思います。
もうね、行動力。行動力しかないですよ。まず動く。これしかないっす。
ボクは常に面白いことを狙っていきたいと思ってます。障がい者サッカーもボクが指導したら面白いだろうと思うし、今でもマニアックなサッカーを追求するためにボクのサッカースクールの夏休み期間を利用して、モンゴルでプレーしたりしてます。みんなが知らないこと、できないことを知ってる、できるってのは武器ですよね。
日本で何をしようか迷ってる人たち。武器はなんですかね。その人にとって面白いってなんですかね。世の中、楽しい人が増えることを願っておりますよ。
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