世界に目を向けるとき、必要なのは、バランス感覚

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グローバル人材に必要な素質や知識とは何かと言われれば、まず挙げたいのは、「バランス感覚」と答えることにしている。外国に行って、そこの外国の歴史や習慣などを知らなくても、仕方がないと思われる部分はある。(もちろん知っていることに越したことはないが)けれど、それらを尊重する姿勢があるのとないのとでは、その国に関する理解や受け入れられ方も当然違ってくるだろう。

 

■  私のバランス感覚

Yoshikawa 例えば、「アメリカのご飯はまずい」という。これを素直にアメリカ人に話せば、いい気持ちになる人はあまりいない。下手をすると喧嘩になる。それが当たり前だと思って生きてきた人たちなのだから。けれど、こう書くと事実じゃないか、と反論したくなる読者も多いかもしれない。私も8年程アメリカにいたので否定はしないが、その場合は、アメリカ人がいう「日本の家屋はうさぎ小屋」という批判を素直に受け入れる心を持とう、という条件をつける。これが、私のいうバランス感覚である。

日本人がアメリカのご飯に関してこういう指摘があることの裏には、衣食住のうち「食」を大事にしてきた日本が背景にあるからで、同じ理屈でアメリカは「住」を大事にしてきた背景があるから、こういう指摘がされる。アメリカの祖先たちの多くは、もともと石で家を作る文化の国だ。相当長い年月もつように家屋が建つ。さらに古いものが、ことさら珍重されるアメリカだと古い家ほどステータスが高かったりする。前NY時代に住んでいた大学院の寮がPre-War時代に建てられたという。しかも、Warというのが第二次世界大戦ではなくて第一次の方だという。確かにエレベータはあるけれど、自分で内側のドアは開けなきゃいけないし、えらいぼろ家に住まわされたものだと思っていたら、アメリカ人にいい家に住んでいるのね、と言われる。

また、そうした古い家を買って自分の好きなように手間暇かけて屋内大工事をする。出来上がったら、ハウス・ウォーミング・パーティーと称して友人たちを新装したばかりの家に呼んで各部屋を見せて、苦労話を語り、自慢する。その愛着、手間暇たるや、素材、器、全体の見た目の完成度にこだわる、和食を作るときの苦労、手間暇に通じるものがある。だから、アメリカだと住に非常に力が入って、家具・インテリアショップにしても、チェーン店だけでも、Pottery Barn、Bed Bath and Beyond、Bombay、Crate&Barrel、IKEA等すぐに思いつく。

一方日本だと一軒屋なら大体30年に一度は改築する想定だし、「うなぎの寝床」でもなんのその。要は、お互いに自分の重視するところを比較しあって、批判しあっている。そう理解すれば、少しは相手の言い分も理解しやすくなるのではないだろうか。このように、自分が相手を批判するなら、相手にもそれなりの言い分があるだろう、と思うのが私の考えるバランス感覚である。一方的に良い・悪い、というのはそうそう世の中にはない。互いの言い分が分かり合えば、より冷静に相手のことをみることができて、妥協点なり、落しどころを探れる可能性はぐんと高まる。

Yoshikawa もちろん、アメリカが「住」を重視しているという点を知らないとこう言えないのではないのか、という指摘があるかもしれない。確かにアメリカが「住」を重視しているということは知識である。そして、異文化コミュニケーションにおいてコミュニケーション・ギャップを一つ一つ埋めていくには、こうした知識がないと難しい。しかし、こうした知識は、簡単には行き当たらない。相手にもそれなりの言い分があるはず、と思って考えているから、習得できるものである。つまり、バランス感覚がなければ、こうした知識は習得できないのである。

<了>


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