モンゴルで感じた青年海外協力隊の活用法

青年海外協力隊(以下、協力隊)に参加したいと思ったのは大学生の時。昔からスポーツが好きで中学生の時にバスケットボールを始めて、いつしかバスケで食べていきたいなと考えていました。
しかし、学生時代にすごい成績を残せたわけではないので選手として食べていくことはできないだろうと。それでも何かしらバスケに関わる仕事ができるだろうと思っていたとき、大学の講義で協力隊にスポーツ部門があることを知りました。協力隊に行けばとりあえず2年はバスケで食っていける、日本で無名でも海外で力をつければバスケの道も開けるかな、と簡単に考えたのが海外に目を向けたきっかけでした。「日本で有名になったら海外に出られる」と考えていましたが、逆のパターンもありえるな、と思ったのです。
大学在学中から試験を受け続けましたが健康面で3年間、合格できず。大学卒業後、中学校の特別支援学級で介助員という仕事と、バスケ部の外部コーチをしながら試験を受け続けました。そんなこんなで、何とか協力隊の試験に合格しモンゴルへ行くことに。生活自体は苦労することはほぼありませんでした。モンゴルというと草原というイメージがありますが、生活していたのはモンゴルの首都ウランバートル。お金を出せば何でも買えるような大きな街。特に不自由することなく暮らしていけました。
しかし、肝心の協力隊の活動はぼろぼろでした。活動先はモンゴル国立体育大学。すでに私の前に3人の前任者がいて私は4人目。間はあいているかもしれないけど、モンゴルの先生方も6年間日本人と大学の授業をしていたのであれば、それなりに日本のやり方というものも浸透していると思って活動を始めてしまったのが間違いでした。やはり国民性というか文化というか、そういうものが簡単に変わるわけもなく、まさに「日本から見た海外」というような授業が行われていました。
私は「モンゴル人が変わらなければモンゴルは変わらない」というスタンスで、学校側から提案してくるのを待っていました。でも、何かを提案してくることありませんでした。結局、このままではいけないと思い、自分で少しずつ授業をやっていきました。私がどんなことができるのかを実際に見せ、技術を伝えていきました。それでも何かを伝えられたかも分からず、自分の力のなさを知りました。
■自分の経験になったこと
モンゴルでは一緒に仕事をしていた先生がモンゴル代表の選手と協会の理事をされている方々だったので、半ば無理やり(笑)国際大会に連れて行ってもらいました。運がよかったのは参加した国際大会「東アジア選手権」の開催国が日本だったということ。モンゴル語もほぼわからない状態ですが、引率し、モンゴルチームの担当の日本人スタッフや、大会運営のスタッフとの懸け橋になれたのではないかなと思っています。
国際大会のベンチにも入れたし、日本バスケットボール協会の方々やFIBAの方々と話す機会を得られたのはとても大きかったです。これは協力隊だからこそできた経験だと思います。ここでも語学力が必要だと痛感しました。国際大会の舞台はすべて英語。英語が話せなければ世界の舞台では活躍できないと痛感しました。
■海外に出る前と出た後
僕は異文化に触れ、様々な価値観を知りたいと思い、海外に出ていきました。今は多くのメディアで海外の情報を知ることができます。私も多くの情報を見聞きしてきました。しかし、実際に海外に出て自分の肌で様々なことを体験すると、メディアで見た情報がある面から見た一方的なものであるということに気がつきました。
例えば朝青龍。日本で様々な報道がされていました。現地で実際にモンゴルの文化に触れモンゴルの人々と話していると、その背景からなぜそんな行動をとったのかということが分かるような気がします。もちろん、間接的な情報も大切ですが、何かを見極めるときには実際に現場に行くことが大切だと改めて感じました。
■海外に出るときに必要なもの
世界で戦うためにはコミュニケーション能力と自己アピール能力が必要だと思いました。日本の“和の心”も大切ですが、海外ではいかに自分をアピールできるかがポイントになってくるな、と改めて感じました。そして、実力で相手を黙らせていくぐらいのものが必要です。コミュニケーション能力とは、もちろん語学力のこともそうですが、それプラス、どんな形でもいいのでコミュニケーションをとるということ。モンゴルでお世話になっていた日本人居酒屋店長は韓国の人と2~3個の韓国語で笑いをとって、打ち解けて簡単な英語で会話して仲良くなっていました。こういう能力が必要だな、って思いました。
自己アピール能力として、自分はこんなことができる、ということを強くアピールできなければ誰も自分のことを見ても気にもしてくれません。実際に、周りを気にすることなく、自分の知っている技術、指導法、知識を出し続けていたら、周りも私がどういうことができるのか理解してくれて、仕事の幅が増えました。また、協力隊を待ち望んでくれている環境ばかりではないということを認識して派遣国に行かなければいけないなと思いました。
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