自己主張、PRは大切

Yoshikawa

受け入れられるためには、相手の好みを理解する

もちろん、自己主張・PRはただ単に言い続ければいいというものでもない。その地の人々に受けるようにしなければならない。アメリカの(インテリ層の)場合、1時間程度の講演であれば、かなりフランクに、明るく、フレンドリーで、内容が分かりやすく、きつい質問でもオープンに見せながらも肝心なことは言わないか言い訳に聞こえない程度に自己主張するのが好まれる。きつい質問を受けても一旦は逃げずに受け止めて、逆手にとって自分の国の宣伝をする。決してすげない返事はしない。もちろん逃げないといけない場面もあるが、聴衆も質問を逃げているな、と思ってはいるが、そのかわし方次第で何となく丸め込まれたり評価したりする。

また、他人が書いた原稿を読む場合でもいかにも自分が自然に話しているように話す。そのためにはどこを強調しよう、どういうリズムでどういう感情を込めてどういうジェスチャーをしながら話そう等、事前に頭の中でプレゼンを事前練習、或いはシミュレーションしている。例えば、演説のうまいオバマの大統領選出ニュース直後の勝利宣言の演説で、専門家が解説するには人々はオバマの話すリズムに高揚感を感じ、オバマと一緒にYes, we canを合唱したのである。「106歳の黒人女性(奴隷解放直後の世代生まれ)が(黒人解放運動等様々な紆余曲折を経て、皮膚の色や性別に関係なく)投票権を行使した。「Yes, we can」この辺りのYes, we canは低い声。それからアメリカが達成したことを言ってはYes, we canを繰り返すが、少しずつ声を高くしていく。そして、最後に「アメリカはこんな(黒人大統領選出)にも変われるのだ。Yes, we can!」で最高潮に達する。あの場にいた人々はオバマが何を言ったか覚えていなくても、このときの高揚感、みんなで叫んだYes, we can!は長く記憶にあるだろう。

だがワシントンで講演する機会を持つ日本人で残念ながらこういう話し方ができる人になかなかいない。別に英語の問題ではない。むしろアメリカ人がどういう話し方を好むかを研究していないことの方が問題である。またそうしたことに頭が回らないのは、目的意識ができるだけ多くの人に自分の主張をわかってもらうことではなく、準備してきた原稿を読み上げることだと勘違いしているのだろう。

アメリカ人であろうと日本人であろうとどこにでもタテマエは存在するし、講演中に語らざるを得ないこともざらにある。しかし日本人はタテマエをいう場合、あまりに身構えすぎていて原稿用紙から顔を上げる余裕さえなく、素の自分を隠してしまう。そのため原稿を読むときも聴衆の顔よりも原稿を見ている時間の方がはるかに多かったり、Q&Aでも事前にかくかくしかじかの質問はしてくれるな、と言ってみたり、原稿を棒読みするような対応になる。しかし、聴いている側にすれば、少なくても演説にメリハリがないと5分と黙って聞いているのは苦痛だ。さらに、最初から最後までタテマエを言っている人、素の自分を見せていない(アメリカ人的には薄気味悪い)という印象を受けて、人間味があまり感じられない。

日本文化の中であれば、表ではタテマエを言うがその後に二次会(、三次会)が大体設けられていて、そこでホンネ、素の自分を出すようになっている。しかしアメリカではそんな流れはないので、最初のタテマエの部分が一発勝負なのである。

さらに悪循環なのが、素の自分を出していないために、萎縮していて見ていると楽しそうに感じられない。人々は往々にして、聞いた内容以上に、その場の雰囲気や自分がその時楽しかったか、面白かったか、盛り上がったか、といった感情面の方を記憶する。萎縮している姿での講演では、楽しさを聴衆に感じさせることは難しかろう。

ワシントンで聞かれる日本人の3つの特徴、3S(Silent, Sleeping, Smiling)。これでは、お話にならない。

<了>

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