危うく遭難死!?マッキンレー登頂に向けて。

noguchi_eyecatch

■冬山で経験した遭難事件

1996年春、友人たちと3人で雪山のスキー縦走に向かった。その時とてつもないスノーストームに見舞われ、予定通りに下山することができなくなった。それを受け、僕らを救助するためにその年最大規模の遭難捜索隊が結成され、救出されるという事件が起こった。

Noguchi 実際は自力で戻ることもできたし、食料的にもまだ大丈夫な状態だった。しかし、スノーストームの合間を縫って一番の危険地帯を越えた僕らを待っていたのは、遭難捜索隊の大勢の人たち。僕らは名前を呼ばれ「あえてよかった」と挨拶された。

「せっかく天候が良くなってきたから、これから滑りたい」と主張する僕らに対し、捜索隊は「君たちは今(遭難者として)有名だから、すぐにそのヘリコプターで降りなさい」と言われた。

もちろん現在のように携帯電話が普及しているわけもなく、インターネットが普及しているわけではない時代。麓の町に戻った僕らは、病院に収容されるほど衰弱している訳でもないので、地元警察の事情徴収を受けそのまま家に戻ることができた。ラジオやTVではまだ「3人が遭難していて絶望的」というようなニュースが流れていた。事情徴収では「最後の日は食料をセイブするために、一食ピーナツ10粒ですごしていた」という話をしたのだが、それが当時の現地新聞に「3人が亡くなるという悲惨な結果ではなく、良く頑張ってハッピーエンドを迎えた」と取り上げられた。

しばらくして、遭難捜索にかかった費用に関して「本人たちの判断に多少の非はあったとしても、このようなやむを得ない自然の驚異に対して、本人たちが負担する必要はない」と判断された。遭難捜索隊はボランティアで結成されていて、運営費用は州予算や寄付によってまかなわれている。その時、一緒に遭難をした友人は現在遭難捜索隊のボランティアになっている。

(※編集部注 カナダでは本人たちに過失が認められた場合、救出にかかった費用を請求される場合がある)

Noguchi そのスキーツーリングはマッキンレー山に登るための練習だった。仮にも遭難捜索救助されたのだから、マッキンレー山へ登るのは自粛か?という考えがなかった訳でもないのだが、カナダでは「なぜ自粛する、せっかく無事だったのだから行けばいい」という考え・意見があり、結局その年の7月に無事にマッキンレー山に登頂することもできた。そして8月には、その前年から準備してきたカナダで行われたエコチャレンジというアドベンチャーレース※にも参戦することができた。

 (※編集部注 アドベンチャーレース:山、海、川などを舞台にマウンテンバイクやカヌー、ラフティング、インラインスケートといった種目をこなしてゴールを目ざす競技のこと)

グローバル力「経験」

 ■多民族国家カナダ

カナダには多様文化主義という国の前提がある。色々な考えや人種、宗教があり、お互いに認めていこうという姿勢だ。毎年6月27日は多様文化主義セレブレーションが行われる日である。今年ウィスラーでは、第一回多様文化主義セレブレーションが行われた。

Noguchi カナダに移住し、ウィスラーに住む海外からの人たち。チリ、アルゼンチン、シリア、ヨルダン、エジプト、ルーマニア、タイ、フィリピン、中国、韓国、イギリス、フランス、ポーランド、その他多くの国から移住した人たちが現在のウィスラーには住んでいる。移住一年目で「雪を初めてみた」というフィリピン人もいる。ルーマニアの人からはチャウシェスク政権の生の話や、中国の人からは文化大革命時の生の話を聞くことができた。どこの国も絶対安全だということはない。僕らはそういった中で生きている。

この日は、ウィスラーに住む人たちに「今これだけ多くの国からの移住者が、ウィスラーに住んでいる」ということをお互いに知ることを目的としてイベントが実施さされた。ウィスラーではカナダに移住した人たちが、しっかり定住できるように、英語を無料で教えてくれるボランティアのシステムがある。チューターさんたちもボランティアだ。

普段ツアーガイドとして日本からのお客様をご案内する仕事についている僕は、英語はまだまだ苦手だ。だからまだこのESLに通っている。今年そのセレブレーションにはESLの一員として参加して、日本の文化の紹介を行った。といっても、漢字を書いたり折り紙を折ったり、風船つりのイベントを紹介するといったことだ。

いま、世界がグローバル化していることは事実だと思う。でもグローバルとは何か?まだ正しい答えはないし、世界はまだまだその過程にあるのではないだろうか?ESLでもグローバルとは?というテーマで数週間色々な国の人たちと、互いにつたない英語で話してきた。

Noguchi それは答えを出すためのものではなく、互いに理解していこうとするものだった。もちろん震災のときは、真っ先に「あなたの親類は大丈夫か?」と色々な国から来た人たちから言われた。カナダには、カナダが大好きなカナダ人が本当に多いと思う。それは長い歴史の中で、様々な経緯からカナダに住み着いて、カナダに助けられたという感謝の気持ちがあるからかもしれない。僕も今まで色々と助けられた。本当に感謝したい。生まれた日本に対しても、現在住んでいるカナダに対しても。単純に周りにいる自然やいろいろな人たちに対して。

グローバルとか、グローバルな考え方っていうのは、感謝の気持ちから自然に生まれてくるものではないか?そんな気がしている。

<了>

開国ジャパンプロジェクト

 

1 2

Facebookページに参加しませんか!

『開国ジャパン』は海外経験豊富な開国アンバサダーによる情報発信メディアです。
海外での生活やビジネスなどに興味のある方のために

各国に駐在しているアンバサダーからの現地事情
英語などの語学や海外での生活情報
海外ビジネスの情報

など、幅広く最新の情報を発信しています。


最新記事のチェックにはTwitterが便利です。

更新情報を必ずツイートしています。どうぞ、フォローしてください。


開国アンバサダー

現在89のアンバサダーが活躍中!

開国アンバサダーは、「グローバル社会で活躍する新しい日本人のロールモデル」 です。開国ジャパンでは彼らの熱い想いを発信しています。

開国アンバサダーとは 開国アンバサダー一覧 開国アンバサダー推薦フォーム

チーム開国ジャパン

ピックアップ

最新ニュース

  • U18W杯開幕、清宮オコエらで初V期待

    夏の甲子園を沸かせた高校生強打者2人が、28日開幕した第27回U−18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)で日本代表として世界一に挑む。 ...

  • 「ガトリンの復讐」ボルト激突も無事

    【AFP=時事】(写真追加)第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)の男...

  • イチのファンサービスに観客感涙

    「マーリンズ1-2パイレーツ」(27日、マイアミ) マーリンズのイチロー外野手(41)は「2番・右翼」で出場し、4打数無安打。17打席連続無安打(3四球、1犠打...

  • 川栄李奈、初舞台で「おバカ」返上へ

    今月4日にAKB48を卒業した女優の川栄李奈が26日、都内で行われた舞台『AZUMI 幕末編』の制作発表・公開稽古に、共演者とともに出席した。 ...

  • 世界の若手億万長者30名 日本人は?

    フォーブスは世界で最も裕福な40歳未満の 44人のリストを公開した。ここではその中から30名をピックアップ。年齢の若い順に掲載する。 エヴァン・シュピーゲル(ス...

他のニュースも見る