「地球の反対側」アルゼンチンより

Aikawa_eyeatch

日本とは地球の反対側にある国、ここアルゼンチン。私がこのアルゼンチンにきてから、20年が経ちました。

ラテンアメリカというこの地で、「自分の力で生きる」ということを学びました。

日本人、アルゼンチン人という国籍ではなく、ひとりの人間としての人々との交流、を通して、日本人という属性はあるけれども、自分が自分であるべき姿でいることの重要性を実感しましたので、このコラムでそれを少し共有することができれば幸いです。

私は大学時代にラテンアメリカ諸地域研究を行っていました。スペイン語が大好きで、学生時代に小冊子のようだったガイドブックの「地球の歩き方」を片手に、古代文明のアステカやマヤの遺跡を見て回りました。

そのときの私の旅は、1日2000円で過ごす貧乏旅行で、若さも手伝ってか、冒険心があふれすぎていた私の旅は、現地の友人にも、そんなことをしたら危ないと怒られたこともしばしばでした。

フリホーレスという小豆を煮たメキシコの料理をご存知でしょうか。私の友達のお母さんは私が日本人だという事で、私のために気を使ってくれて、そのフリホーレスではないお弁当を私のために作ってくれました。お弁当をあけてびっくり、なんと、白飯とマヨネーズをあえたものをパンにはさんだ、サンドイッチでした。こんなの食べられないとびっくりしましたが、その友達のお母さんの、日本人の私のためをおもって考えて作ってくれたすこしちぐはぐなお弁当には、とっても愛がつまっていて、そのお弁当を泣きながら食べたことは、今でもとても印象に残っています。

グローバル力「経験」

 

■ 「水だから、乾くよ!」

 

Aikawa 楽しくもラテンアメリカの暖かさにふれた学生時代をへて、これまで勉強してきた外国人のための日本語教育を生かすため、私はJICAの海外開発青年という公的プログラムでアルゼンチンに向かいました。そしてアルゼンチンでは、同国内にある日系子弟の通う24校の日本語学校を統括する機関に所属することになりました。

私がアルゼンチンに定住しようと思ったキッカケは、そんな職場へ向かう途中のある日に起きました。

歩道にある敷石を踏むと、前日雨が降った上に、アルゼンチンは街中の敷石の施工が悪く、グラグラだったために、水がズボンにかかりました。あーいやだなーと思った瞬間、ふとそこを通った一人のアルゼンチン人が私に向かってこう言いました。

「水だから、乾くよ!」と。 その瞬間いやな気持ちは吹き飛び、笑いに変わりました。

そうか、そんなことでいやな気分になることはない、物事には別の見方がある、そんな風に感じました。とても些細な事でしたが、私にとっては、大きなキッカケだったんだと今は思います。

グローバル力「ふるまい」

 

■してほしいことがあるのでしたら気づいてもらうのを待つのではなく、してほしいことを、自分で言わなければなりません

職場を通じて、日本語での事務の一方でスペイン語での現地側との交渉、手配をした教師に対する研修会のセッティングと運営、非日系人への日本語学習振興のため日本語能力試験の実施整備、日本語スピーチコンクールの立ち上げと運営、日本語教育環境の整備調査などを行い、様々な経験をすることができました。その後、独立し、アルゼンチンに定住することにしました。

プログラムのおかげで永住ビザもいただいていましたし、鉄道関係での日本語スペイン語の通訳の仕事を得、また一方で日本語教育を続けて外国語大学でも教え、プライベートレッスンをしながら、アルゼンチンの教育大学の大学院で言語科学修士に入ったことから、さらにアルゼンチン人との交流は深まっていきます。

アルゼンチンの大学院に入ると、クラスメイトが「トモコ、あれをもってきて」とか、「トモコ、これやってきて」とか、毎日のように使いっ走りにされていました。私は、なぜ使い走りにされるのか、とても悲しく思う日もありました。

ある日勇気を出して、私も、「私の代わりにとってきてちょうだい」とお願いしてみました。すると友人は「いいよ!」と軽い返事で引き受けてくれました。

実は、これまで自分が「使いっ走りにされている」と感じた事柄は、「使いっ走り」ではなく、クラスメイトが単にしてほしいことを言っていて、それが無理ならしなくてもいいし、やる気があればやってあげれば喜ぶけれども、全てをまっとうする義務はないのだということに気がつきました。

日本ではこの人はこうしたいんだという前提を考えて、そうしてあげればそうしてあげようという「気配り」を要求されますし、「暗黙の了解」みたいなので分かっているでしょ!というのがあります。

Aikawa アルゼンチンでも厳密にはないことはないですが、それでも日本的な気配りはまずありません。それではどうしたらいいかというと、してほしいことがあるのでしたら気づいてもらうのを待つのではなく、してほしいことを、自分で言わなければなりません。言わない限り、相手はテレパシーで通じているわけではないので、分からないのです。

 

異文化コミュニケーションの講師をしたり、また純粋にプロジェクトのコーディネーターとして、また通訳として間に入っていると、日本の方からはこちらの人は「わかってくれない」「気がつかない」と嘆かれます。特に「気が利かない」という不満をおっしゃるのですが、それは逆に「わかってくれるように」言う、「気がつくように」指導する必要があるのです。

<次ページへ続く>

 

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