外国人に好感を持たれる話し方

Yoshikawa_eyecatch

海外にいって日本のことを説明しないといけないとき、「何て言ったらいいのか分からない」、「違うといいたい、言い返したいのにいい言葉が思いつかない」といった経験はないだろうか?日本人には当たり前すぎて、存在理由なんて考えたこともないことを、ひょいと聞かれても、言葉に詰まってしまう。

 

私にもそんな経験はたくさんあるが、何もいえないのも悔しいと考えアメリカで生活する中で少しは鍛えてきたと思っている。そもそも日本人だからというだけの理由で、日本のことを説明できるというのは幻想である。日本のことを説明するには、それなりに訓練・勉強が必要なのだ。

A)日本について、勉強しなおす

Yoshikawa 例えば、加藤周一等の日本文化論。但し、世阿弥とか鈴木大拙を読んでも分かりにくい(現代のものを読み終えたら、こうした文章は含蓄が深いので、何度も読み直して理解するといいと思う)。他にも、日本の先人たちが外国との比較で何を言ったか、どう説明しているか、を読むとより分かりやすく書いてある。しかも、外国人に読ませるために書いてあるものだとなおのこといい。

例えば、岩倉使節団の旅行記「米欧回覧実記」、新渡戸稲造「武士道」等はおススメ。外国人が日本紹介で書いている本も悪くはないが、バイブルと化している「菊と刀」は古すぎかもしれない。

本を読むだけで、まだ漫然としすぎているのであれば、以下の質問を例に考えてみるといいだろう。

・「侘び寂び」とは何か?

・日本の高度経済成長の秘訣は何か?

・なぜ日本は幕末―明治にはグローバル化にうまく対応できたのに、今は下手なのか?(幕末―明治の成功要因も説明せよ)

・なぜ日本人は会議中よく居眠りしているのか?(睡眠不足以外)

・なぜ日本に政治思想が発達しなかったのか?

・なぜ日本には無宗教の人が多いのか?宗教の共存がなぜ平和裏に行われているのか?

・なぜ日本は核兵器を持たないのか?

ポイントは、答えを単語、フレーズ、百歩譲って1文にとどめること。それから、またなぜ?どういうこと?反証はないか?と問いなおし、また同じように答えていく。これを5回くらい繰り返せば大体答えの本質に行きつけるだろう。長い答えにすると、何となく答えた「気分」になるだけで、焦点はぼやける上、まずとっさに外国語に訳せまい。

この際、「わかるだろ」とか、以心伝心を求めることは厳禁である。

B)相手に好感をもたれる議論をする訓練をする

B-1)相手の文化を理解すること、なぜ相手がそういう質問をするのか?という背景を理解する。

聞けばどういう視点から聞いているのか教えてくれるけど、ある程度は知っておくといいだろう。当連載コラムもそういう意識を持って書いているので、定期的に読まれることをお勧めする。

B-2)自分でもいろいろ相手の文化について理解を深めておく

本を読むこともいい。また、長いこと海外生活してないとできないかもしれないが、何で外国は○○××なんだろう?と色々考えおくと、向こうの視点から同じ質問がでてくることもある。日々「?」を見つけて、自分なりに考えておくことはいい訓練になる。

B-3)建設的な方向に話を持っていく

―相手と反対意見を言うことを恐れず、Think out of the box

反対意見を言って議論する機会があまりない日本社会では、どこまで言ったら相手を怒らせるのか、感覚が掴みにくいのかもしれない。少なくても欧米圏では、ロジックがしっかりしていれば、反対意見をいうことは全く問題ない。もちろん、最終的に建設的な方向に持っていければなおよい、ということになる。

欧米の議論の場に臨めば、実に様々な意見がでる。それぞれが違う背景を持って、それぞれの理解から発言するのだから当然である。そのため遠慮して言わないのは、むしろマナー違反である。(ちなみに、以前所属していた外資系コンサルティング会社アクセンチュアでは、会議中に何も発言しないと、その時間中はバケーション扱いと叱られる)

英語に、”Think out of the box”という表現がある。日本語に相当するフレーズはないのだが、固定概念に囚われずに自由に考えよという意味。遠慮というboxから出て発言されることをお勧めする。大胆発言でも大いに結構である(各文化においては、それなりにタブーは存在するけれど、外国人なので、多少は大目に見てくれるだろう)

日本的にありがちな「個人攻撃と解釈して根に持つ」ということは、よほど相手に対する悪意が感じられない限りない。健全な議論をしている限りは。また自分の考えに非があれば、それは素直に認めればいい。欧米にもメンツというコンセプトは一応あり、謝ることには抵抗するが意見を変えることには意外なほど素直に「OK」ということもままある。

個人的な例で恐縮だが、2つほど挙げてみたい。

Yoshikawa 1つ目は、大学院時代、日米関係の授業をとったがその先生(アメリカ人)の言。「もし1941年に日本がハワイではなく、フィリピンを叩いていたらアメリカは対日戦をしなかったろう」(アメリカ「本土」ではなく、「植民地」でありアメリカが当時認めたがらない帝国主義を告発することになるから)まさに、これが”Think out of the box”と最初に思った瞬間。自分が逆立ちしてもこういう考えは出ないだろうし、日本で聞いたことがないと思うところから、いかに日本の言論が硬直的、委縮しているか愕然とさせられ、そんな環境にずっと育ってしまった者としては、もっともっと自由に考えねばと開眼する契機になった。

2つ目は、アメリカ人の日本専門家との会話から。ありがちな日本はアメリカのいいなりにさせられている(アメリカは日本の国益にかなわないことをいろいろ強要している)と日本人が言っていたことを受けての会話。

アメリカ人:「アメリカは色々と日本のためにしているのに!」(日米同盟の下、シーレーン防衛等命を張って日本のためにアメリカは色々してくれているので、アメリカ人がよくいう正論である)

私:「でも日本は石油輸入が死活問題なのに、アメリカは対イラン政策の一環で、日本の虎の子のイランのアザデガン油田権益を放棄させたではないか。だから日本人の目にはそう見えてもおかしくない」

アメリカ人:「むむむ」(ちょっと不満げ)

私:「もちろん日本側にも非はある。アメリカにアザデガンを諦める代わりに、イラクの油田でもアザデガンと同等の権益を一つ寄越せ、と言い返すだけの知恵か度胸、或いは両方がなかったからね。」

アメリカ人:「そうだね。(大きく頷く)どうして日本はそんなに交渉が下手なんだ?」

私:「そうだねえ。きっとアメリカがそういう風に日本を育てたわけで・・・」(話は違う方向へ続く)

要は、言ってナンボの世界ということ。ひるんだりしてはいけない。

<次ページへ続く>

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