アメリカ大学院留学で心掛けること:入学後編

・ネットワーキング
この言葉自体日本語に相当する言葉がないくらいだから、日本人は基本的に不得意なのかもしれない。要はいろんな人と知り合いになるということ(情報交換をできる相手を増やすこと)である。
教授に対しては前述の通り書いたが、学生どうしでも同様と言える。誰も互いを知らないのがほとんどだから、近くにいる人を捕まえて話をしてみるということである。気が合えばよし、あわなければちょっとしてから抜けて、また違う人と話せばいい。
名乗りあってから、
「どこから来たの?」
「その服かわいいね。どこで買ったの?」
「ここにきたのは初めて?」等々。
変に気張る必要はない。
また、そういうネットワーキングを狙って行われるイベントの筆頭はパーティーである。パーティーというと、何だか正装をイメージするかもしれないが、タキシード、ビジネススーツ、カジュアルまで、ときどきにあわせていろいろだ。が、まあ学校で頻繁にやっているのはカジュアル。
学校以外でも、学生の家とかレストランとかでもパーティーはよくある。基本的に、娯楽が少ないので、結局週末に皆で集まっておしゃべりしたり遊んだりして楽しもうとするのが、口実は何であれパーティーをする理由だろう。
そもそも部屋(Studioを除く)の造りもパーティーを想定してできている。リビングはパーティー会場とするべく結構大きく取ってあり、ベッドルームの方は小さめになっている。
また、パーティーのイメージは、多分映画「ティファニーで朝食を」で出てくるホームパーティーが典型だと思う。ただし、いろいろ種類はあるのでホスト側が好きに選べる。例えば、Potluck形式にすれば来客は最低1品、食べ物でも飲み物でも持参必須で、ホスト側の料理の準備負担がかなり軽減される。この場合、何時開始といってもその時間に全員来宅というわけではなく、ばらばらに出入りすることになる。ディナー(ランチ)パーティーにすると、大体ホストがディナー(ランチ)を準備する代わり、来客に時間通りに来るように、ということになる。呼ばれれば、手ぶらではなく、ワインか何か持っていくのが礼儀。席も、誰がどこに座る、とかホストの指示に従う。あと、服装もホスト側が指定可能。
案内状も、大体2週間前に出すと、ある程度人はくる。1週間前だとちょっと来客率は低くなるだろう。ちなみに、パーティーなどのイベントの案内状を出す際には、Evite等は非常に重宝する。一度客のメールアドレスを登録すれば次回以降いちいち入力する手間がはぶけるし、誰に案内を送ったかログが残るし、誰が来るのかが招待状を送った人全員にわかるので、ホスト側の管理もしやすいし、来宅予定の友人たちから誰が来るのかを聞かれることもない。ちなみに、日本人は誰が来客に来るのかを事前によく聞くが、アメリカだと逆にホストに失礼に当たる。ホストが信頼できる友人たちを呼んでいるのだから、そういう質問はホストを信用していないと思わせるようだ。
なので、こちらとしても、YESの返事をしてくれる人たちが同伴何名といってきても、誰がとはきかない。パートナーだったり、同僚だったり、いろいろだけど、友人たちの人選を尊重しているからだ。
実はホスト側としては友人の友人は歓迎だ。なぜなら、ホストは友人を全員知っているわけで、ネットワーキングの要素を求めようとすると、友人の友人くらいしか新しい顔には会えない。呼ばれる方は顔の広いホストによるパーティーならいろいろネットワーキングできるので、できるだけ行こうとするインセンティブを与えられる。ずっと生まれ育った土地でなければ、会社、学校以外の知り合いはなかなかできないわけで、友人のパーティーは新しい友達作りの大切なチャンスだ。
パーティーでもう1つ面白いのは、日本だとホスト側が何かゲームや遊びを企画する場合もあるけれど、全くない場合が多い。パーティー会場に入って、ホストに挨拶して、同伴を紹介して、後は適当に楽しんでいってね、という感じで放置される。来客も周りを見渡して食べ物や飲み物を確保しつつ、知っている顔を見つけて挨拶したり、近くの人に話しかけたり、かけられたり。ときどき、ホストや知り合いから自分と同じ興味を持っている人を見つけたよ、といって声をかけてもらう場合もある。
さて、ホスト側としては案内状を出せば後は、料理やお皿類の準備、多少のテーブルなどのセッティングを当日すればOK。手料理もよし、お店で買ってくるのもよし、ピザ宅配もよし。
逆に、慣れるために一度、自宅パーティーを企画されることをオススメする。ネットワーキングにもいいし、他の人のパーティーに呼んでもらえる可能性は高まる。(そこは人間同士だから)
・プレゼン
授業中、時々やらされるのがプレゼン。とりあえず心得としては、
1.プレゼンの目的は説得である。
2.ゆえに、聴衆の目を見ながらプレゼンはするものである。間違っても下の紙を見ながらやってはいけない。紙に向かって説得するわけではないのだから。
3.原稿というものは、ちょっと度忘れしたとき用にちらっと読む程度のものである。基本、暗記してプレゼンに臨むこと。最低でもパワーポイントなどの資料に書いてあるキーワードをみれば、話せる程度になっておくべき。
4.相手の反応を見ながら話すこと。うなづいている頭が多ければ、進んでかまわないが、みんなが不思議そうな顔、分からなさそうな顔をしていれば、先に進まず違う言葉で説明する。
5.とりあえず持ち時間いっぱいに、一人でしゃべり通さない。聴衆は一挙にたくさんの情報を処理し切れない。ちょっとは、考える時間を与えるべき。強調したいところは、重複していったり、疑問形を投げかけて、しばらく間を空けたり。
これが基本。これを守るだけでもずいぶん違うはず。
なお、プレゼンの簡単な評価基準は、プレゼン後のQ&Aでの質問の数。質問があるということは、そのプレゼンを聞いて何かしら脳に刺激を受け、ちょっとは考えをめぐらしたということ。そこで、当意即妙な答えをすれば、もっと多くの質問が出てくる。(これには修行がいるが)プロはプレゼンよりもQ&Aの方が楽しい、面白いという。とっさの答えの方が本音である可能性が高いし、大概より分かりやすくなるし、スピーカーにとっても新しい切り口やどういう言い回しだとどういうリアクションをもらうのか、いい勉強になるし。そうすればファンが増える。
但し、聴衆におもねろといっているわけではない。怒らせせるのもありだ。ポイントは、そこでひるまないこと。そして、意見が合わなくても対話を続ける用意があるという姿勢を貫くこと。基本的に第三者的に議論が堂々巡りになっちゃうとか、面白くなくなったら、教授や誰かが介入してくれるからその点は心配しなくていい。
<了>
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