日米同盟はなぜ必要か?

■デメリット
1)米軍基地、思いやり予算などの提供
日本にアメリカを防衛する義務がない代わりに、要求されるのが米軍基地の提供と、日本に国力がついてくるに従い、アメリカがその代償を吊り上げてきた思いやり予算。米軍基地に駐留する米兵が行う犯罪・事故(米軍基地は沖縄に75%も集中している)。さらに与党にとっては、これらが起きた場合、国民に対しアメリカを弁護する側に回らざるを得ないので政治的リスクに映る。
但し、沖縄の過剰負担軽減と米軍不要論は全く似て非なるものである。
永井陽之助はその著「平和の代償」にこう記している。「いかに詭弁を弄しようとも、現在われわれが日々享受している『平和』なるものが、日本の外辺に位置し、直接共産圏に隣接しているという位置のゆえに、防共最前線にたつ南ベトナム、韓国、台湾、沖縄など、多くの地域住民の巨大な軍事的負担と、犠牲のうえにきずかれているという、きびしい反省がなければならない。その精神的な負い目と負担すら感ぜず、それらの地域住民や政府を、「反動」や「米帝国主義の手先」よばわりして、自らひとり手を汚さず、進歩的で、平和的であるかのような幻想に生きているとすれば、日本人はやがて、アジアの孤児どころか、同胞からも見すてられるときがくるにちがいない。」(下線は著者加筆)
冷戦(しかも沖縄返還前)の最中に書かれているので、「防共最前線」、「共産圏」とあるけれど、これを「中国大陸という潜在的脅威」に、「日本」を「沖縄以外の日本」への読み替え等が必要であるが、本質(下線部分)は変わらない。
この平和のコストに対し、私たちは今まで誠意をもって対応してきただろうか?それは、日本政府が名目はなんであれ、補償金を渡すというだけの問題ではない。無関心すぎやしないだろうか?
特に沖縄にあれだけの米軍基地が集中しているのは、敗色が濃くなっているのにもかかわらず、沖縄上陸前に止めるだけの理性と勇気を持たなかったリーダーたちを日本が頂いてしまったがために、米軍の沖縄上陸を許し、約10万人もの島民が命を落とした。戦後も占領の爪痕がそのまま残り、アメリカに沖縄施政権が終わるまでの間にさらなる拡張等があったためである。
そうした重い経緯のあるものを、何の事前調整もなく、あっけらかんと米軍の普天間基地の県外移転を選挙公約に入れ、都合が悪くなれば弊履のごとく捨てる民主党の無知、無反省、センシティビティのなさ。重罪でなくて何と言おう。
2)アメリカの戦争(政策)に「巻き込まれる」リスク
昔から言われているリスクだが、日本が全く関与しえないアメリカの都合により戦争をする。又は敵視するので、日本が敵に回したくないような国々(中東産油国など)と関係が悪化したり、アメリカとの同盟国というだけで日本のイメージがダウンするリスクはある。例えば、70年代のオイルショックのときには、日本は危うく親米、反アラブとみなされ、石油を売ってもらえないところまでいった。三木副総理をさっそく派遣する等の手当の甲斐もあって危機は回避された。
ちなみに、これは日本だけの話ではない。最近ではイラク戦争の際、イギリスのトニー・ブレア首相が好例だろう。イギリス経済を繁栄に導いた等の功績により名宰相として名を残す予定だったが、ブッシュ大統領にいわれるままに、イラクの大量破壊兵器の危険性を大義名分として参戦。最後には「ブッシュのプードル」という揶揄の中辞任した。
最後に、こうしたメリットがあるのだから、アメリカにすがっていようという安易な対米依存心が生まれたり、日米同盟のせいでアメリカのいいなりになっているという怒りや諦観が生まれるのも事実だ。しかし、それは基本的に単なる日本人の甘え、アメリカの主張に対し自らの意見を理論武装して自己主張するだけの度胸と知恵の欠如・怠慢、ガイアツの形を取って自らの主張を通そうとする人々の演出による産物なので、本来日米同盟のせいではない。
<了>
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