日本の外交・安全保障にまつわる、ありがちな誤解・風説たち(後編)

Yoshikawa_eyecatch

3)日米同盟に縛られて日本はアメリカの言いなりになっている

それでは、アメリカとの協力体制が故に、日本はアメリカの言いなりになっているか?といわれると、そういう面は確かに、日本側のメンタルの中に巣食っている。

例えばよく日本はアメリカからフリーライダーだといわれ、国際貢献をするようよく迫られる構図があった。だが、世界第三の経済大国として応分の貢献をするには何をしたらいいかを、真剣に議論している人が日本にいるのだろうか?最近は災害緊急支援等評価されている部分もあるが、基本的にアメリカから指示がくるもので、それから値引き交渉して貢献するものだと思っているフシはないだろうか?

Yoshikawa個人的にこうした現象を「おまかせ」思考と呼んでいる。お寿司屋さんにお客さんが「おまかせ」というだけで、何が食べたいとか、どの魚が今イキがいいのか、考えもせずおいしいものがでてくるのを待ち、文句も言わず出されたものを食べたら請求書にある金額を払って帰る。これと全く同じ思考回路で、アメリカに国際貢献お任せ、といって日本がすべき国際貢献案(財政貢献の金額。最近は自衛隊派遣も)が出され、素直にそのお勘定を払う(多少値切るが)。そのためアメリカ議会では日本はATMと揶揄される。

蛇足ながらアメリカのいうフリーライダーという議論は誇張である。70年代ごろからアメリカに頼まれて、メキシコなどアメリカにとって戦略的に重要な国にODA供与をしている他、80年代の中曽根首相の時代にはシーレーン防衛増強(ソ連の北海道の手前で食い止める努力)をしたし、スターウォーズ計画で膨張する米防衛費の財源の一部を米財務省証券(国債)購入という形で支えた。ソ連はこの80年代の軍事費競争で破産したのだから、軍資金の貢献もばかにならない。また湾岸戦争では財政貢献、イラク戦争では航空・陸上自衛隊派遣、海上自衛隊によるインド洋沖給油を行っている。それでも財政援助中心で血や汗を流した貢献が足りないとよくいうが、戦争はお金がなければできない、というのもまた厳然たる事実である。

とはいえ、上記の指摘の前にアメリカの国益と寄り添うように日本の国益がなるように、日本が日本社会を組み立てた、という方がより正確である。

戦後ジョン・フォスター・ダレス国務長官が作り上げたサンフランシスコ体制とは、アメリカが主要同盟国に第二次世界大戦から早いとこ復活してもらうため資金援助をし、経済繁栄に不可欠な石油を、産油国を懐柔・脅迫を使い分けて低価格に抑え、西側陣営内の国であれば、極度の摩擦が起きないようにアメリカが介入した(東南アジアの歴史問題などはこれに該当する)、世界である。

戦後直後日本で食料がないといえば、赤旗をマッカーサーの前ではためかせて食料支援を無心した。技術と工場があるのに輸出先がないから経済成長ができないといえば、アメリカはその広大な市場を開いた。多少は貿易摩擦はあるものの、この待遇は西ヨーロッパなど同じ西側陣営にも適用された。日本側がアメリカ側からの同等の要求を「拒否」しても、あまり文句は言われなかった。

そうして、日本はアメリカに輸出するため米ドルを稼いでは東南アジアに投資をし、輸出主導型経済成長を東アジアに輸出することで、同地域を実質ドル圏にしていった。「米ドルが強い」という想定の下に。さらに、結果論ではあるが大量に米国債を購入することでアメリカの膨れ上がる防衛費負担を軽減して側面援助をした。

こうして、日本はアメリカに頼まれたわけでもないのに「自発的に」経済的にも、政治的にも強いアメリカの下で日本経済が繁栄するように自らを作り上げていった。

つまり「いいなり」になるには、それ相応の国益の共有があるからそうなる。どうしても日本の国益に反する、という場合には第4次中東戦争のときのように、三木副総理をアラブ諸国に派遣して、イスラエルの「友好国」枠からはずしてもらうよう自ら動く。

もっと根本的なのは軍事費を増やしては経済成長に差しさわりがある、という堅い信念の下、軍事費をGNP1%に抑え込み、アメリカからフリーライダーだの、応分の国際貢献をしていないだの、文句を言われながらも、平和憲法があるから等の言い訳をしては軍事大国になることを一貫して「拒否」している。

別に日本に意思がないわけではない。戦略的思考を怠ける癖はあるが、土壇場にくれば何かしらの選択・行動をとっている(そうでないとアメリカの顔をたててやる選択をする)。

そのため、大枠アメリカの主張と同調することが日本の利益になる(ちょっとくらい出費になる程度ので済む)ので、一見いいなりになっているように見える。けれど、その実そう簡単に日本とアメリカの国益が大きく反しないように、日本が出来ているというのが真相だ。

<次ページへ続く>

1 2

Facebookページに参加しませんか!

『開国ジャパン』は海外経験豊富な開国アンバサダーによる情報発信メディアです。
海外での生活やビジネスなどに興味のある方のために

各国に駐在しているアンバサダーからの現地事情
英語などの語学や海外での生活情報
海外ビジネスの情報

など、幅広く最新の情報を発信しています。


最新記事のチェックにはTwitterが便利です。

更新情報を必ずツイートしています。どうぞ、フォローしてください。


開国アンバサダー

現在89のアンバサダーが活躍中!

開国アンバサダーは、「グローバル社会で活躍する新しい日本人のロールモデル」 です。開国ジャパンでは彼らの熱い想いを発信しています。

開国アンバサダーとは 開国アンバサダー一覧 開国アンバサダー推薦フォーム

チーム開国ジャパン

ピックアップ

最新ニュース

  • U18W杯開幕、清宮オコエらで初V期待

    夏の甲子園を沸かせた高校生強打者2人が、28日開幕した第27回U−18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)で日本代表として世界一に挑む。 ...

  • 「ガトリンの復讐」ボルト激突も無事

    【AFP=時事】(写真追加)第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)の男...

  • イチのファンサービスに観客感涙

    「マーリンズ1-2パイレーツ」(27日、マイアミ) マーリンズのイチロー外野手(41)は「2番・右翼」で出場し、4打数無安打。17打席連続無安打(3四球、1犠打...

  • 川栄李奈、初舞台で「おバカ」返上へ

    今月4日にAKB48を卒業した女優の川栄李奈が26日、都内で行われた舞台『AZUMI 幕末編』の制作発表・公開稽古に、共演者とともに出席した。 ...

  • 世界の若手億万長者30名 日本人は?

    フォーブスは世界で最も裕福な40歳未満の 44人のリストを公開した。ここではその中から30名をピックアップ。年齢の若い順に掲載する。 エヴァン・シュピーゲル(ス...

他のニュースも見る