すべての始まりはインドから「アフリカ×ビジネス」

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■生まれつきの開国アンバサダーではありません

今は朝6時40分。ケニアの首都ナイロビの空港で、190シリングのダブル・カプチーノを飲みながら、ロンドン行きの飛行機を待っています。ロンドンには今日の夕方に到着。1泊して明日の夕方にはロンドンを発ち、ポルトガルのリスボン経由でセネガルの首都ダカールに向かいます。

こう書くと、やたら飛び回っていて、いかにも「開国アンバサダー」のように思われるかもしれません。しかし実際には私は、ドメスティックな環境で育ちました。性格も、いわゆる「海外で活躍していそう」な外向的でアクティブな人間、というわけでもありません。仕事絡みで、立食パーティ、会食、外国人とのレクリエーションといった機会は数多くありますが、これらは全て、もっとも苦手な部類の仕事に入ります。(仕事の一環だから参加しますし、新たな友人が出来ることは楽しいですが、決して「大好き」「得意」というわけではないのです。)ここではそんな「内向き」な人間が、まがりなりにも海外、特にアフリカと関わりを持つ仕事をするようになった経緯の一部をご紹介します。

 

■最初は全くアフリカに興味がなかった

Sato今の会社(アフリカビジネスパートナーズ)は2011年1月に立ち上げたばかり。まだまだよちよち歩きですが、今のところ仕事の柱は二つあります。

一つは、日本企業のアフリカ進出支援コンサルティングです。日本企業の中でアフリカに進出したいという会社に対して、進出先の国の選定や顧客開拓、資金調達など、要は相手の会社の要望に応じて基本的には何でもやります。コンサルティングというと、「紙に絵を描いておしまい」というイメージがあるかもしれませんが、今の私の仕事スタイルは、具体的な事業の開始までお手伝いするというものです。今回ナイロビを訪れていたのは、潜在顧客の開拓や市場関係者のヒアリング゙、投資家とのミーティングなどが目的でした。

もう一つは、アフリカビジネスの情報を発信するメールマガジン「週刊アフリカビジネス」の発行です。そもそも「アフリカ×ビジネス」という発想自体がまだまだ一般的でない日本の人々に対して、今アフリカのビジネス界でどういうことが起こっているのか、を伝えることが目的です。ビジネス関連ニュースを毎週掲載しており、分量的にはA4で20~30ページほどです。

いずれの仕事も最終的には日本企業に、アフリカでのビジネスという選択肢を的確に提示し、日本企業が進出する際にはその成功可能性を1%でも高める、ということに着眼点を置いています。

しかし実はこのように日本をベースとしつつアフリカにどっぷりと浸かっている私ですが、アフリカを含めた途上国に小さいころから興味があった訳ではありません。

 

■「ついでに」訪れた場所、それがアフリカ!

途上国にいると、十代の頃から国際開発に興味を持っていたり、大学では国際関係論を専攻していたりする方を頻繁に見かけます。

しかし、私の場合、仕事の舞台がアフリカになったのは、完全に偶然の重なりです。

もしも今の自分が大学4年生の自分に、「将来お前はアフリカを舞台にして働くぞ」と言う機会があったなら、「こいつは気が狂ってるんじゃないか」と思われることでしょう。それほど全く興味がなかったのです。

そもそも、初めて仕事での海外と関わったのは、アフリカではなく、インドでした

大学卒業後、国内IT企業で3年半を過ごした私は、そろそろ外の世界を見たいと思い、転職サイトに登録しました。するとまず声をかけてくれたのが、インドのIT企業だったのです。面接ではその企業の成長性、驚異的な利益率の高さ、そして全世界的な展開について聞かされました。日本市場で四苦八苦している企業で働いていた私には、目が眩むほどのインパクトがあったことを覚えています。

その後このインド系IT企業を退職し、今度は米系戦略コンサルティングファームに転職しましたが、その際に1か月半ほど休みを取って世界一周をしたのです。アフリカに行く予定は全くありませんでしたが、「ついでに」行こうと思い立ったのが全ての始まりでした。最初は南アフリカに行くつもりがチケットが取れず、他に行ける場所を探して偶然出てきたのが、セネガルでした。

 

■ 仕事の土台はどこでも一緒。人生観は「変わりません」!

Satoインドやアフリカで仕事をして、価値観の多様性を実感します。しかし、周囲の人からよく受ける「人生観は変わった?」という質問への回答は、明らかにNOです。様々な考え方を許容するキャパシティは拡大しましたが、自身の核となる価値観は、全くと言っていいほど変わらないのです。むしろ強固になったとすら言えます。(こうして、質問してくれる人をいつも若干落胆させます(笑))

例えどの国に行っても、仕事の土台は一緒です。最高のアウトプットを出すためには、様々な利害を持つ関係者間でのコミュニケーション、目的遂行に必要なリソースや権限の配分、そして何よりも、チームのメンバーそれぞれがベストを尽くすことが不可欠です。この土台は、どこの国でどんな仕事をしても同じ。テクニカルな違いはあれども、根本は一緒なのです。

プライベートでの人間関係も、「インドやアフリカだから根本的に何かが違う」わけでは決してありません。どの国に行っても外向的な人と内向的な人はいますし、厳格な人もいればルーズな人も当然います。仕事と同様、表面的な所作の違いはありますが(所作が大事ではない、というわけではありません)、明るく楽しい人の周りにはより多くの人が集まり、そうでない人にもそれなりに仲間ができるということは、日本を含めてどこの国でも共通していると思います。

インドだろうとアフリカだろうと、「普通に」きちんと仕事・生活をしていれば「それなりに」受け容れられる、というのが私の感想です。現地の行動様式に合わせれば合わせるほど、付き合える相手はどんどん増えます。しかしどこまでそれを望むかは、個人の価値観に左右されるのかもしれません。

グローバル力「経験」

 

<次ページへ続く>

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