開国ジャパン

寂れたタイとカンボジアの国境でビザもなければ、何にもないホームレスになっちゃった。

ちょうど道の端っこで目の前にコップを置いて道行く人たちにお恵みを貰うおばちゃん・・・・・・。

いや、もうボクの先輩にあたるおばちゃんの隣をしばしご一緒させてもらう事に。

このコップで裏金１３００バーツ稼げるかな・・・・・・。

果てしなく遠い道だよね。

この果てしない道に比べたらサッカー選手になる事なんて目と鼻の先程の距離に感じるよ。

なんて穏やかに語っている場合じゃなくマジで焦ったよ。頭の中には“強制送還”の４文字が。それでもいいから日本に帰してほしかったよ。

３０分くらい経った頃かな。カンボジア側から白人団体が。

カンボジアはカジノがあって観光客もそこそこ来るんだよね。その観光客だと思われる白人がカンボジアからやってきた。ボクは思ったよ。

チャンスはここしかない。

とりあえずその白人たちと言葉通じずとも仲良くなったフリをした。

もう英語なんて滅茶苦茶で身振り手振りで全く会話は通じてなかったけど。

タイへの入国管理所って凄く寂れているの。駅前の宝くじ売り場みたいな感じ。

そこでその白人たちがタイへの入国スタンプを押してもらう為に並ぶ。

ボクも便乗して素知らぬ顔で一緒に並んだの。彼らがスタンプを押してもらう瞬間、向こうの係員はパスポートに目を落とす。

その瞬間、そ～っとタイへ入っちゃった・・・・・・。テヘッ☆

うん、不法入国だね・・・・・・。

そしてボクは近くのＡＴＭを探して、頼みの綱のカードでキャッシング。

なんとかお金をゲットした。今度はタイを出国してカンボジアに行かなきゃいけないから、白人さんを待ちますかね。

やっときた白人さん御一行。同じ要領でタイを出国。

カンボジアの管理所のおっちゃんにチップを払ってやっとカンボジアに入国。

あんなに苦労したのに２分もそこにいないでカンボジアを一気に出国してタイに入国。

やっと３０日間のスタンプを押してもらったよ。

いやぁ～、長かった。嫌いな社会の授業よりも長く感じたこの旅もやっと終われる。

ほっと胸を撫で下ろして一緒に付いてきたあいつらを探すと・・・・・・。

エムは路上で安いジーパンを物色しているし、ナガタはお菓子つまんでお茶しているし、ティグちゃんとナガタの嫁は屋台を見歩いてるし・・・・・・。

ほんとに使えない。あいつら何しに来たんだよ。

もしかしたらエムに関してはジーパン買いたかったから付いてきたんじゃないかって思ったらムカついたね。

ボクはもう疲れたよ。ティグちゃん家だけど早くお家に帰りたい。

役に立たなかった自由行動のやつらを引き連れてボクは帰りのバスに向かった。

帰りのバスでティグちゃんの隣に座った、嫁を家に置いてきたエム。

帰りのバス５時間の間ず～～～～～～～～～っとティグちゃんを口説いてる姿を見て、この日２度目のムカつきが・・・・・・。