日本の有事リスク:北朝鮮

Yoshikawa

貧しいA国は、なけなしのお金で一生懸命とっておきの武器を作っています。そうして、武器のでき具合をアピールして、周りの国を恐喝します。近所の裕福なB国のあなたは、どうしたらいいと思いますか?

A.危険なので、攻め滅ぼしてしまえ。

B.兵糧攻め。餓死寸前に降参するか、自滅するまで待つ。

C.恐喝の目的はお金なので、小遣いをあげて黙らせる。

D.その他 (自由に書いてください。)

Aを選んだあなた。軍事侵攻は、お金もかかるし、B国兵士も死ぬ可能性があります。恐喝に対しいきなりこのオプションを選択すると、A国はとっておきの武器をあなたに対して使うかもしれません。また、A国には貴重な天然資源もあまりなさそうです。A国の北部は山岳地帯で、指導層がそこに逃げ込んでゲリラ戦術に切り替えられたら、米軍がアフガンで泥沼にはまったのと同じ状況になる可能性は高いです。そうなれば、得るものは少なく、大変な出費だしあなたに周囲からの非難が集中しやすいでしょう。よほど脅威を感じない限り、自重した方がよさそうです。

Bを選んだあなた。兵糧攻めを有効にするにはB国だけでなくて、他の国にも同調してもらう必要があります。A国には友人C国がいるので、完全な兵糧攻めは難しいかもしれませんが、他の近隣国は同調してくれそうです。

Cを選んだあなた。一番面倒のない、オトナな対応のようにも見えますが、相手は果てしなく図にのります。

Dを選んだあなた。こちらは後ほど。

 

■北朝鮮問題が定着している理由

上記のA国に北朝鮮、B国に日本、韓国、アメリカを当てはめれば、現実にはB.兵糧攻め(現代用語では、経済制裁)のふりをしつつ、C.小遣いをあげて黙らせる選択をしている。

Yoshikawaなぜかといえば、それが一番ラクだから。

軍事侵攻をする場合、現実アメリカが主導をとるわけだが、上記の理由に加えイラク・アフガンの二つの戦争で疲弊しきっているので、まずこの可能性はない。経済制裁については実施しているものの、北朝鮮が要求すれば何だかんだといって食糧援助・資金援助しているので、あまり自壊を誘う効果はない。

実は北朝鮮の自壊こそが、最も周辺国が恐れるもの。もし北朝鮮が自壊してしまったら、一気に問題山積となるから。

例えば、難民化して国外に逃げようとする人たちがでてきたらどうする?その場合中国では、人民解放軍が北朝鮮の国境内に入り、中国への流入を食い止める。南の韓国に逃げる場合、38度線に広がる地雷原を渡ることになるし、運よく通れたとしても、韓国軍には難民が北朝鮮からのスパイだかわからないので、武力を用いてでも入国を拒否すると言われている。ロシアや日本に入ってきたら?特に対策は考えていないだろうが、対応しなければならなくなる。

約2,400万人(世銀数値)いると言われている北朝鮮人を誰が食べさせる?警察は機能しないから、北朝鮮内にとどまる人々の治安はどうする?韓国が北朝鮮を併合するにしても、大きな混乱なく行うには、どのようなプロセスがよいのか?あまりいい比較対象ではないにしろ、ドイツ統一には約2兆ドルかかったと言われている。東ドイツは旧共産圏では優等生といわれた経済でなおこの金額なので、北朝鮮に至ってはどれだけになるのか、天文学的数字になることだけは確かだ。このコストは韓国だけで賄い難いが、どのように負担配分するのか?配分されたとして、各国はどのように賄うのか?ただでさえ、財政難に苦しんでいるのに、この上に増税しようといおうものなら、非難の集中砲火を浴びることは目に見えている。

と考えていくと、北朝鮮に小遣いを上げた方が、はるかに問題が少なくてラクだし、安上がりなのだ。

魚心あれば水心。金政権にとっても、自ら痛い思いをして経済改革を行って地道に稼ぐより、ちょっと外を恫喝して援助をもらう方がはるかにラクだ。

そもそも、北朝鮮が海外援助なしにやっていけない要因はいくつか考えられるが、

  • 資源配分が間違っている
    • 軍事費が高い
    • ムダな国家プロジェクト(柳京ホテル、南北統一記念タワー、凱旋門をはじめ巨大建造物がお好き)
    • 社会インフラへの投資不足
  • 建国以来の海外援助依存体質により、人口>生産能力
  • 企業経営がずさん

本来であれば、産業を興して、社会インフラに投資をし、外資を誘致する等地道に少しずつお金を稼いで発展していくのが筋で、実際今まで幾度かやってみたこともあるのだが、都度うまくいっていない。古今東西、国民にちゃんとご飯を食べさせられない政府では、いつ反乱がおきるか分からない。そのため、軍事費を高く設定し、クーデターが起きないように手厚く保護し、味方につけざるをえない。そのため、本来なら道路や学校等社会インフラ等に投資すべき資源を軍事費に回してしまう。一方で国民には、「君たちも苦しいだろうけど、南の韓国はもっと悲惨な状態だ、我慢しろ」と洗脳し、情報統制体制を敷く。(但し、どれだけこの嘘がばれているのかは不明)

というわけで、半分なれあい的な朝鮮半島危機が演出されては、いくばくかの外国援助が北朝鮮に提供され、事態は鎮静化される、というサイクルが出来上がっている。

当事者全員に事態を本気で改善しようという意思がない限り、事態は永久に進展しない。北朝鮮が突然自滅でもすれば別だが。

 

■本気で解決したいなら?

本気でこの問題を解決する意思が当事者全員にあると仮定した場合、どうしたらいいのだろうか?ここに冒頭のDの回答案を述べる。

北朝鮮が、近隣諸国を恫喝しなくてもやっていけるだけの、持続可能な経済を持つことである。金政権を追い出して、きれいに一から改革した方が進みやすかろうが、それでは金政権は納得しないので、金政権下で経済改革が起きるよう、奨励していくしかない。確かに、共産国で持続可能な経済を構築できた国の成功事例は決して多くはないが、中国やベトナム等ゼロでもない。そうした国のノウハウや経験を研究してアドバイスしていくのが、現実解ではなかろうか。

では、そうした取り組みがなされているか?というと、やっている国が一つだけある。それは中国である。

中国は、金正日を時々中国に招いては、地方にも連れてゆき、共産経済から市場経済移行が可能であることを実際に見せて、経済発展のありさまを紹介している。

Yoshikawa1978年鄧小平が来日した際に、日本の経済発展モデルから大いに学んだ。自民党という長期単独政権下でも経済発展が可能であることや、社会インフラへの投資の重要性を学習した。さらには、日本の環太平洋側が先に発展し、ちょうど日中正常化を成し遂げた田中角栄元首相が育てていった、中央政府へ集まる資金を公事業投資等の形で、金権政治と批判を浴びながらも地方へ一部還元していく富の再配分システム構築を見た。

そして、帰国後は日本のODAを社会インフラ整備にあてつつ、深センを特別経済地区として海外資本に開放し、沿岸部の発展をまず目指した。その後問題となるであろう、内陸部との富の不均衡の調整担当として次々期国家主席に胡錦濤を指名した。鄧小平亡き後も彼のつけた筋書き通りに中国は発展し続けている。

決して派手ではないけれど、日本経済発展モデルの成功の秘訣を伝授することが、効果的な対北朝鮮外交ツールの一つではないだろうか?

<了>

 


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