相原ユタカの“年収3万円海外プロサッカー選手放浪記” Vol.10 ~乱れたグラウンドからの卒業~

日が経てば経つほどサッカー選手から遠のいていく気がしいたね。
でも、いつ何時チャンスが来るか分からないじゃない。
だから一人で真昼間から走ったりしていたの。
走ったりしながら前に進んでいることを祈って。
だって、もう2ヶ月以上経っているんだもん。
進んでいるかどうかなんて、もうなにがなんだか・・・・・・。
と思いながらも走るしか・・・・・・。
あのね、2ヶ月も不安定過ぎる生活を続けると“・・・・・・”が多い生活になるよね。
その日も“・・・・・・”気分たっぷりで走っていたの。
そしたらさ、ニヤニヤした男が「英語喋れます」っていう自信満々のカタコト英語でボクに並走してくるの。
“ボクはプロを目指している男だ。ここで負けてプロとは笑わせんな。”
こんな事でも考えなきゃ走りのモチベーションも上がんないからそんなこと考えて何やら話しかけてきているソイツをぶっちぎったのね。
さすがユタカ、体力じゃ負けませんよ。
ゴールした時、はるか後方から奴がトボトボ走ってきたの。
ゴールに自信満々で仁王立ちしているボクに向かって彼はゼエゼエ言いながら言うの。
「プロになりたいって日本人、お前だろ。オヤジがチーム知っているから紹介してやる。」
嗚呼。猛省ですよ。
勝手にライバル視してこの親切心を全く持ってぶっちぎってしまった・・・・・・。
そして、彼が言うの。
「お前、速いな。きっと選手になれるぞ。」
う~ん、結果オーライ。と言っていいのかしら。
彼の大きさとやっと前に進んだ心の緩みでちょっと泣きそうになったね。
話を聞いてみると彼の名はベス。
彼の父ちゃんは昔選手だったみたいなの。
タイリーグでプレーしているチームの監督と友達だから紹介してやるって言ってくれたの。
ただし、その父ちゃんのお眼鏡に叶ったらね。
もうね。嬉しくって。
彼の優しさ、先の道が見えてきたこと、なによりホントにタイリーグが存在していたこと、全部が嬉しくって嬉しくって。
早速ベスの父ちゃんを紹介してもらったの。
なんかエロさを備えた橋爪功みたいなおっちゃんなのだけど、いい人っていうのは伝わってきた。
会っていきなり「今日、俺たちの試合があるからお前のプレーをチェックしてやる」だって。
ただ、病院に行かなきゃいけないからちょいと付き合えと。
ここでベスの父ちゃん。根っからのタイ人なのね。
いや、そりゃタイ人なのだけど、何がって遅刻ですよ。
ピッチに着いたらハーフタイムなんだもん。
でも、それよりもグランドの美しさに驚いた。
だって、今までは草と土とウンコが入り乱れたグランドじゃなく土地でサッカーやっていたじゃん。
素材をそのまま生かしましたみたいなグランドで。
それが、すごく綺麗なスタジアムなの。
オッサンのサッカーなのに。
そんなグランドの中、悪いプレーが出来ようか。
余裕でおっさんぶっちぎりましたよ。
ちょっとミスっちゃってオッサン相手にスライディングして反感は買ったけど及第点な仕上がりを見せたはず。
そして、ベスの父ちゃんが言ってくれたんだよね。
「良いプレーだった。君にチームを紹介してあげるよ。」すごくホッとした。
また涙出そうになったもん。
この日、ものすごく大きな1歩を進んだんだよね。
でも、帰り際に父ちゃんが言ったの。
「でも、オッサン相手にスライディングはしちゃダメでしょ。」
タイも日本も文化は変わらないようで・・・・・・。
<次回へ続く>
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