相原ユタカの“年収3万円海外プロサッカー選手放浪記” Vol.12 ~トイレの神様~

やっとチャンスがやってきた。
地方のムアントンタイニーで一人コツコツと走りながら“前に進んでいる”って自分に言い聞かせてやっとここまでこれた。
その日、ボクのサッカー生活がようやくスタートした。
地方遠征に連れて行ってもらえることになって集合時間にチームのグランドに行ったの。
時間は11時。言われた時間に到着したら誰もいない。
どうやら集合時間は2時らしい。
「時間通りに来ないと思って集合時間早く言っちゃった。」だって。
おいっ、日本人の体育会系がどれだけ時間に厳しいと思っているんだよ。
しかもなぜ3時間も前を言う。な~んて事、異文化の彼らには知ったこっちゃないの。
と、言いつつ2時にも遅刻してくるヤツがいる事にこの国の底力を感じたね。
みんなが来るまでダラダラしていたの。
そして、オシッコしにトイレに行ったらビックリ、オシッコしてるつもりなのにウ〇コちびっちゃってんの・・・・・・。
常にお腹下している状態だったのだけど、まさかオシッコしてるつもりでウ〇コちびるなんて思わないじゃない。
しかも、こんな日に限って。
もうね、ボクのカラダもいよいよかって思ったね。
情けない。実に情けない。
何が情けないって20歳過ぎて大事なチャンスがやってきた日に、陰でコソコソとパンツを手洗いしているの。
こんなの憧れていたサッカー選手の姿じゃないよね。
みんなにバレないように手洗いしているうちに、みんなが集合してチームのバスは地方を目指す。
1時間半ほど走り会場に到着。
ミーティングでかなりのサプライズよ。
ユタカ、スタメンですよ。
いや、使ってくれるとは言っていたけどいきなりスタメンとはね。
ただし、すでに準備は出来ているよ。
だって、パンツは洗ってビチョビチョだったからすでにスパッツ履いていたもん。
やってやろうじゃんよ。
サポーターが楽器を鳴らして応援してくれる。
アナウンスでボクの名前が呼ばれる。
子供と手をつないでピッチに入場する。
どれもボクには初体験。
そして何よりボクの初体験・・・・・・ポジション、トップ下。
やったことねえし。
でも、やるしかねえし。
プロにはまだなってないけど、結果が全てって事は分かっていた。
だから一生懸命走ったよ。
タイ語、英語、ジェスチャー、すべて使ってチームメイトに自分のサッカーを伝えようと努力したよ。
そしたら、前半20分くらい。
ゴール前でボクの目の前にボールが飛んできた。
今でもハッキリ覚えているよ。
そのボールをボクは頭で押し込んで先制点を奪ったんだ。
そして、みんながボクに駆け寄ってきて喜んでくれた。
サポーターも楽器を鳴らしてボクの名前を呼んでくれた。
いまだにボクは覚えている。
結局、その試合は2-1でうちが勝ったの。
試合終了後、チームのグランドに戻ると帯同できなかった選手がいて「聞いたよ、良かったな。」だって。
明らかにあの1ゴールがボクのチームでの評価を変えたよね。
まだ、契約は出来てないけど大きく前に進んだ。
不倫に巻き込まれたり、エムに金とられたり、カンボジアでホームレスになりかけたり、大事な日にウ〇コ漏らしたり。
ろくなことが無かったけど、ボクはこの国に来て良かったって思えた日だったね。
ウ〇コと引き換えに神様が与えてくれたゴール。
これぞまさに、トイレの神様!!
<次回へ続く>
Facebookページに参加しませんか!
『開国ジャパン』は海外経験豊富な開国アンバサダーによる情報発信メディアです。
海外での生活やビジネスなどに興味のある方のために
★各国に駐在しているアンバサダーからの現地事情
★英語などの語学や海外での生活情報
★海外ビジネスの情報
など、幅広く最新の情報を発信しています。
最新記事のチェックにはTwitterが便利です。
更新情報を必ずツイートしています。どうぞ、フォローしてください。
開国アンバサダー
現在89名のアンバサダーが活躍中!
開国アンバサダーは、「グローバル社会で活躍する新しい日本人のロールモデル」 です。開国ジャパンでは彼らの熱い想いを発信しています。
(株)スパイスアップ・ジャパン代表
豊田 圭一(とよだ けいいち)1969年埼玉県生まれ。幼少時の5年間をアルゼンチン(ブエノスアイレス)で過ごす。上智大学経済学部を...
テックスタイルラボラトリー代表
高橋 直美(たかはし なおみ)実践女子大学文学部卒。アパレル会社勤務を経て、川上のテキスタイルメーカーで15 年余テキスタイルデ...
LeadOff Sports Marketing
中村 武彦(なかむら たけひこ)1976年東京都町田市生まれ。10歳までNYとLAで育つ。青山学院大学体育会サッカー部。NEC海外事...
アフリカ開発銀行
沼澤 和宏(ぬまさわ かずひろ)北海道大学農学部を卒業後、アクセンチュアの金融部門と戦略部門で様々なクライアントの変革に携わる。国際...
ブラジルフリーランスマーケッター
砂塚 裕之(すなづか ひろゆき)1980年生まれ。早大院理工機械修了。リクルートにて6年半マーケティング・新規事業開発に従事。201...
チーム開国ジャパン
ピックアップ
-
2013年6月カンボジア・タイビジネス視察ツアー開催!
カンボジアとタイを6月17日~20日の4日間で訪問するビジネスツアーを開催します ...
-
とある関西人、イタリアで女子高生してまんねん。
イタリア・ヴェネチア在住の「高校4年生」によるグローバルコラム連載開始 ...
-
国境を越えるイノベーションに必要な3つの人的ネットワーク
ベトナム在住の小原アンバサダーが提唱する「これからのイノベーションに必要な3つの人的ネットワーク」とは ...
-
「週末アジア視察団」でシンガポールへ!!
2月22日・23日の週末を使ってフラッとビジネス視察に行って、グローバル新時代の未来を語り、学びませんか? ...
-
TOEIC260点からの異国適応能力兼サバイバル能力の育て方
TOEIC260点からMBA留学した長井アンバサダーからのサバイバル提案 ...
-
バンコクで「蹴る・学ぶ・繋がる」フットサルW杯タイツアー
11月7~10日でタイ・バンコクでフットサルW杯の観戦などがパッケージとなったツアーを開催します ...
-
サラリーマン留学記-社費で留学する意味
日系コンサルティング会社から社費で米国留学する佐藤氏からのコラム。社費留学者からの貴重な体験記 ...
-
はみジャパ習慣(2)磯野カツオ氏を見習ってみる。
行動した結果、100点どころか50点すら取れなくても、意識してみるだけでも10点、行動しただけで30点!成績的には可! ...
-
NATOと呼ばれるニッポンジン
「NATO」って・・・・?No Action Talk Only….アジア新興国で揶揄されるそんな日本人の話です ...
-
パキスタンからグローバル人材を考える
パキスタン在住のアンバサダー尾崎氏が自身の多様な経験から独自のグローバル人材像を語ります ...
最新ニュース
-
U18W杯開幕、清宮オコエらで初V期待
夏の甲子園を沸かせた高校生強打者2人が、28日開幕した第27回U−18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)で日本代表として世界一に挑む。 ...
-
「ガトリンの復讐」ボルト激突も無事
【AFP=時事】(写真追加)第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)の男...
-
イチのファンサービスに観客感涙
「マーリンズ1-2パイレーツ」(27日、マイアミ) マーリンズのイチロー外野手(41)は「2番・右翼」で出場し、4打数無安打。17打席連続無安打(3四球、1犠打...
-
川栄李奈、初舞台で「おバカ」返上へ
今月4日にAKB48を卒業した女優の川栄李奈が26日、都内で行われた舞台『AZUMI 幕末編』の制作発表・公開稽古に、共演者とともに出席した。 ...
-
世界の若手億万長者30名 日本人は?
フォーブスは世界で最も裕福な40歳未満の 44人のリストを公開した。ここではその中から30名をピックアップ。年齢の若い順に掲載する。 エヴァン・シュピーゲル(ス...