ブラジルにて世界を感じたひと夏

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■海外と関わるきっかけ

私が初めて海外に出たのは2歳の時です。父の仕事の関係でアメリカのミシガン州、デトロイトに家族で暮らすことになり、そこに8歳まで住みました。土曜日には日本人学校に通い、平日は現地校で授業を受けていました。

 

当時の将来の夢はキャビンアテンダントと言っていて、帰国後は子供ながらも常に意識の中に世界というものはあった気がします。それ以外はごく普通の変哲のない人生を歩んできました。公立の小中学校、高校に通い、英語を得意としながらも、それを使って何かしたいとは思わずに、(思っても行動には移せずに)部活動に打ち込む生活でした。そのため大学に入り、周りの人が興味深い経歴の人ばかりで非常に驚きました。

グローバル力「言語」

 

 

■大学入学後の海外経験

地方から出て都会の大学に入学するとは、周りからの刺激もあり、ざっくりではありましたが、学生の間でしかできないことをやりたいと考えていました。そのひとつとして長期休みの間は海外へ行くことを考えるようになりました。

Inagakiそこで1年生の夏は 3週間オーストラリア、アデレードに行き、自然ボランティアのプログラムに参加しました。ドイツ人や韓国人5人くらいとシェアハウスをしながら、昼間は現地の環境保護団体と協力しながら木を植えて過ごしました。外国の人と協力しながら生活することが初めてだったのでとても新鮮でした。育ってきた環境が全く違う人たちが同じ屋根の下で過ごすことは難しかったですが、その分仲を深めることができました。

しかしここで今でも忘れられない苦い経験があります。週末にすぐ南にあるカンガルー島のツアーに参加したのですが、人見知りで、なおかつ周りがネイティブばかりで自分の表現力のなさに引け目があった私は、一泊二日のツアーで他のツアー客に自分からはほとんど話しかけられずにいて心細い思いをしました。次回海外に行った際は、言語の正確さを気にせずに、あくまでも言語は手段であることを頭に入れて、もっと気楽に構えて積極的に話しかけにいかないといけないことを痛感しました。

1年生の春休みには2週間ベトナム、タイを友達と一緒に観光しました。初めての東南アジアだったので、今まであった外国=欧米という軽い固定観念がなくなり世界が広がった気がしました。印象的なことの一つとしては、ベトナムのフエで日本語学校に通う2人の学生との出会いでした。初めて会ったにもかかわらず街を案内してくれたり、ごはんをご馳走してくれたりと、とても親切にしてくれました。ローカルと話すことの楽しさをここで知ることができ、そこからローカルと話したいという思いが大きくなっていきました。

しかしほとんどの場合は「観光客」としてしかみられないというのが現実でした。片言の日本語で「オネエサン、ヤスイヨ!」といった売り文句ばかりで、本当の交流ができなかったのを覚えています。結局現地の人にとって自分はお金をとる相手でしかないのだと強く感じました。それがつらかったです。

この2つの経験を通して、海外で自分にとって重要なことは「初めて会った人と協力したり、生活できること」「ローカルと話すことができること」だと感じるようになりました。

れを今年の夏実現する事ができました。

 

グローバル力「経験」

 

■ブラジルでのひと夏

今年の夏はブラジルのミナスジェライス州のウベルランジアで7週間を過ごしました。

公立の高校にて世界各国、合計7か国(ケニア、エジプト、スイス、チェコ、日本、イタリア、ベネズエラ)から学生が集まり、高校生を対象に英語を教えたり、自分の国についての紹介をしたりしました。街の大きさもプログラムの規模も小さかったですが多くのことを学ぶことができました。

今回は公立の高校でプログラムを組んで活動をしていたのですが、普段英語の授業を受けていても実際に英語を話すとなると英語を話せるのはクラスで1、2人しかいませんでした。その生徒たちに「どこで英語を習ったの?」と聞くと、その生徒たちのほとんどは普段の学校とは別に、英語の塾に通っていました。

他の生徒は皆珍しがって私たち外国人と積極的に絡みには来るのですが、HiとByeしか話しかけてこない生徒がたくさんいましたし、自己紹介が出来ない子も数多く、その現状に驚きました。

その理由を聞いてみると政府は高等教育機関(公立の大学)のみに援助を強化しているらしく、公立の高校には資金が回ってこないとのことでした。そのため公立の学校ではもちろん外国人教師などを受け入れるお金もなく、十分な英語教育を実施することができずにいるそうです。

 

■国際的体験による「影響」

そのような状況ではありましたが、そのかわりとして自分たちが与えられるインパクトの強さを感じることもできました。そこの学校のほとんどの生徒は外国人と話すことが初めての機会でしたので今まで英語が大事といわれて授業をおこなったとしても、使う機会がなかったので英語を頑張ろうという気にはなれなかったと思います。そこで実際に英語を使う機会を与えること、国際交流の場をつくることで英語を学ぶインセンティブになったのではないかと思います。

帰国時にアンケートを取った際には、英語の大切さを感じたからもっと頑張らなきゃ、頑張りたいと回答した生徒が多くいました。私のホストシスターは、ポルトガル語より先に英語が頭に先に浮かんできて、英語で考えてから発言するようになり、自分の英語力が上達していることを感じたそうです。

 

■若いうちに国際的体験を

このような体験をきっかけに自然と目が外に向かっていくのではないでしょうか。

私自身も今回のプログラムで他の国の学生との交流で視界が広がった気がします。

今までの自分はヨーロッパやアフリカのことは教科書で出ている知識のレベルでしか知らなかったし、自分とは関係の薄い、遠い世界だと考えていました。

しかし一緒の学校で働き、彼らと直に話すことで彼らの国のことを知るようになりました。

3月にあったエジプト革命の暴動に実際に参加した学生がおり、そこで警察に立ち向かって銃弾を体に受けたエピソードを聞いたり、ケニアの大学生からアフリカの政治の実情を聞いたり、チェコ国内では今でも共産主義の名残があることなどを聞いたりしました。

ニュースでしか知らなかったこと、文章でしか知らなかった世界を生の声で聴くことで画面の向こう側で起こっていた事件が、歴史として認識していたことが、急に身近なものに感じることができました。帰国後も今までだったら興味のなかった世界のニュースにも耳を傾けるようになりました。

小さな町で世界中から人が集まり、英語という言語だけを共通としてもつことで国際交流をすることができること、またその経験が将来に確実に影響を与えることに気付いたことで、なるべく若いうちに海外経験というものをしていくべきと思いました。

周囲に外国語を話さないといけない環境を作ってしまえば必然的に自分も同じように話さないといけないと感じるだろうし、国際交流を通してより世界を近く、感じることができると思います。

 

Inagaki

■ホステルでの交流

プログラムを終えてからの旅行の間もそれを感じることができました。リオデジャネイロ、サルヴァドールなどブラジルの主要都市を一人で回りました。各都市でははホステル(=簡易宿泊施設)に泊まりました。男女混合の10人1部屋で、1晩1500円くらいのドミトリーの部屋でした。

ホステルを使うのが初めてだったので最初はプライバシーが守られないから精神的に負担になるのではと考えたり、危ないと考えたりしていたのですが、一度泊まってみればその不安も消え、むしろ普段ではできない体験を出来たかと思います。

客層は10代20代が多く、皆背景はまったく違うものの、同じような状況で旅をしているため情報共有もできるし、一人で自分の国を出てバックパッカーをしている人がほとんどなので「面白い」人がとても多かったです。世界一周をしている最中、日本に立ち寄り、日本の魅力に魅かれたため、世界一周終了後には日本に来て外国人講師としての採用試験を受ける予定のスコットランド人がいたり、地学の大学教授で、調査のためにブラジルを1か月回っているエジプト人がいたりとブラジルにいながらも普段は関わることのないさまざまな国の人と話すことができました。

ホステルは寝る場所やキッチンが一緒である分、どうしても他の人と話さなければいけないし、プライバシーも完全には守られません。しかしそこで新たな出会いがあり、そのまま皆で飲みに出掛けたり、旅行をしたりすることもあります。あの空間の中では年齢も性別も国も関係なくフランクに話すことができるので異文化交流の理想的な場ではないかと思います。

この夏で一番に学んだことは世界に出ることの大切さです。たとえ将来日本国内で過ごすことを決めていても一度は外国に行くべきかと思います。国外から日本を見ることによって、国内では気づくことのない違う面が見えてくると思います。私自身もまたの機会があれば長期で海外に滞在したいと考えています。

Inagaki

<了>


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