開国ジャパン

地方の試合で点を取ってチーム内でも居場所が出来てきた頃、チームのベテラン選手のミットから試合のお誘いがあった。

なんかちょっと地方で試合があって、勝つとお金貰えるみたい。

サッカーの実力を認められたのか、はたまたお金に困って見えたのかは分からないけど、そんな誘いを断る理由はないじゃない。

という事で、集合場所に行ったらなんとチームメイトのガーナ人“ベンジャミン”も参加。

そして付添いのベンジャミンの彼女も。

ミットの車で揺られること1時間。

若い2人がミットの車の荷台に乗り込んで、更に1時間走ってグランドに到着。

いやぁ～、懐かしの干からびた土交じりののグラウンドでしたな。

試合内容はさておき、問題はその日の夜。

泊まりだったの。

ミットの説明がボクに届いてなかったね。

とゆーか、よくそれで参加したもんだって今は思う。

ミットは英語を喋れるけど嫌いだっていう、見え見えの見栄でタイ語を使いまくる。

そして、ボクはもろ手を挙げてタイ語が出来ないから、コミュニケーション取れない・・・・・・。

でね、その泊まりの何が問題って？

急なお泊りに育ちのいいボクがお泊りセットを持ってなくて、歯ブラシが無いことを気にしていた、そんなのは小さな問題よ。

あのね。

泊まるホテルね。

連れ込み宿なのよ・・・・・・。

ミットは途中から奥さんが来たから、奥さんと泊まるわな。

で、ベンジャミンは彼女とだわな。

あっ、ボクですか。

用具係2人と一緒にお泊りっすよ・・・・・・。

初めてだよ、男2人と一緒にラブホテルまがいのお泊りなんか。

朝起きたらまだ奴ら熟睡しているし、極めて最悪な朝だよ。

でもね、こんな朝は序章に過ぎない。

その日の試合は夕方から。

それまでやる事が全くないボク等は、近くの村みたいなところのミットの友達の家に行っていたのね。

そこに1台のバイクが。反応したのはベンジャミン。

この田舎のあぜ道でバイクの練習をしようって腹ですわ。

バイク初体験のベンジャミンは、ビックリするくらいゆっくりと進むワケ。

体を張ったディフェンスをするベンジャミンなのに、かなり細々とした運転。

1時間ほどで結構走れるようになったの。

サッカーの練習は30分で飽きるくせにね。

でよ、あの野郎ボクを後ろに乗せたがんの。

超怖えじゃんよ。

道が細いだけじゃなくって、ちょっと崖っぽくもなっているし。

でもさ、アイツほぼジャイアンなワケ。

故にボクがのび太なワケ。

そしてドラちゃんはいないワケ。

という事は、強引に乗せられるわな。

これまた慎重に進むボクを乗せたベンジャミン。

どうか、このまま何も起きないでおくれ。

機嫌よく運転してもらおうとして言っちゃったのね。

「ベン！なかなか調子いいじゃんよ。」

これが失敗だった。こんな太鼓持たなきゃよかった。

「当たり前だろっ！」ってボクに振り向き親指を立てるベンジャミン。

そして、そのままボクらは小さな崖から落ちて行った・・・・・・。

夕方の試合、整列の時にやたら怪我した外人２人・・・・・・。

<次回へ続く>