世界観・歴史観を養おう その2

航海時代~商業ナショナリズムの発展

この流れを大きく変える事件がおきる。それは、アラブ商人が持っていた航海技術が、レコンキスタによりイベリア半島をヨーロッパ人が奪還したことでヨーロッパ人に漏れ、ヨーロッパ人の大航海時代が始まる。この海のルートのメリットは、陸路よりも大量物資輸送が可能となったことにある。

そして、この航海技術を使ってまずイベリア半島にある、スペイン、ポルトガルがまず新大陸をヨーロッパ的に「発見」する。

この新大陸、今でもペルーの首都リマには黄金博物館があり、昔の黄金の豊富さを物語っているように、金やメキシコなどから銀がたくさん取れた。

この金銀が、それまでのユーラシア貿易では金をむしりとられているだけのヨーロッパにとり、対アジア貿易の支払い元金、そして産業革命の資金源、即ち繁栄の源泉となる。そして、この金銀をもってヨーロッパはアジアへ直接貿易に向かった。

ここにおいてヨーロッパ内で新しい富の争奪戦が始まる。

スペインの富がほしいイギリスは、大西洋に巣食っている海賊たちと交渉し、イギリス船からは泥棒せず、スペイン船を略奪してくれるなら、イギリス海軍の一部とみなそうと提示した。今も昔も、海賊は人類の敵。捕まれば、死刑にされても文句は言えない。それをイギリス海軍と認めてくれるなら、これはものすごいチャンス。当然全員が全員快諾したわけではないだろうが、承諾したものも多いだろう。ちなみに、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の1作目か2作目かにイギリス海軍が主人公ジャック・スパロウとリクルートし、ものの見事に袖にしたシーンがある。

当然こんなことをされたら、スペインは激怒する。そして、イギリスにスペインの無敵艦隊を送り込むが、スペインの敗北に終わる。ここに大英帝国の繁栄の基礎ができる。

一方、イギリスよりも少し先行していたオランダは、ちゃっかりアジアではヨーロッパが貴重がったシナモンなどの香辛料を産出するインドネシア、台湾、日本をその商圏として確保していた。

 当然イギリスと利害関係が正面衝突するので、3回くらい戦争を繰り返しているが、オランダは、新大陸の足場を失う一方、インドネシアは死守。(台湾は鄭成功により奪還された)一方、イギリスは、ヨーロッパにとりアジアの最果てはあきらめ、インドに集中することにした。

さて、いくら航海技術が発達したとはいえ、ヨーロッパから海路で、しかもアフリカを回ったら、アジアは遠い。なので、アジアでの拠点をヨーロッパ商人たちは求めた。

そう、始まりは単なる足場がほしかった。そして、そこは前述の通り、外国人にとってもオープンなところ。なので、ある大名が隣の大名を攻めるときにイギリス船に船についている大砲でちょっと敵を海から攻撃してくれないか?といった頼みに応じてあげると、そのお返しに(そしてさらなる援助を期待して)小さな町を「与えた」。それが、どんどん発展し、ついにはムガール帝国全土をも掌握するに至った。

こうして、イギリス東インド会社は、領土を抱えただけに、本業とは関係のない、統治コストを抱えることになった。統治コストとは、政府機能を置き、その役人を雇い、反乱がおきるときのために軍隊を抱えるということ。実際反乱は起きるわけで、これがあまりに頻繁に起きると、本業の利益にも圧迫した。

そして、今ほど情報が迅速に流れるわけでもなく、経営管理も発展途上なので、利益が出たのかどうかも怪しい状況の中、コストばかりが膨らんでいくと、アジア貿易を独占しているとはいえ、東インド会社一社ではまかない切れなくなった。

そこで、こうした株主は大貴族たちであったから、当然政府の資金注入を求めた。いわば、東インド会社がイギリス政府に植民地経営を押し付けた。

こういう経緯を追っていくと、ヨーロッパ発「商業ナショナリズム」ともいうべき現象が世界を席巻する。(当時は帝国主義とか植民地主義とかいわれたが、現代は一応悪とみなされているので、現代でも通じるようあえて「商業ナショナリズム」を使う)

つまり、商人と自国政府(軍)とのタッグである。この組み合わせがもたらす現象は、今日に至るまで続いている。いくつか挙げれば、

1)市場囲い込み

例えば、ある程度ヨーロッパ商人の商圏が決まってくると、これを「植民地」という形で囲い込んだ。ひどい場合には、ヨーロッパ諸国がアフリカを切り刻んで現在の国境線を勝手に作り、それぞれの植民地を確定した。

そして、さらに20世紀に入ると、スターリング・ブロック、フラン・ブロック、円ブロックなどブロック経済に発展。21世紀にはユーロゾーン、TPPなどFTAネットワーク等に見出せる。

2)外国の市場開放要求←→保護主義

日本の場合だと、ペリー来航はまさに市場開放要求であったし、1980-90年代の市場開放要求、TPP交渉参加要求もこの一部だといえる。

ちなみに、今も昔もこの主張がなされるときは、自国産業がその外国産業よりも勝っている、最低でも互角の場合に限られる。なので、弱い場合は保護主義という形に変わる。

3)自らの商圏の安全保障要求

上記にも書いたように、ユーラシア貿易の永遠の課題の一つは、経由国の安全。どんなに儲かる商売でも、その区間で積荷が失われたら意味がない。そこで、最初は商船が大砲を抱えていた。それを海軍による護送船団に発展させていった。

そして、スペイン→イギリス→アメリカというように制海権の主が代替わりするたびに世界規模へ拡大していき、現在アメリカが自国軍を世界に展開する、基地ネットワークを確立させている。

さらに、世界単位で覇権を考えるようになるに従い、覇権国は、国際法、国連を初めとする国際機関、国際メディア、シンクタンク等の形で国際世論をリードするなど、自らの覇権を確保・延命させる仕掛けを積み上げていった。

以上はビジネス側から政府への働きかけた結果だが、その逆は、冷戦時代ならCOCOM、現在でもイランや北朝鮮などへの貿易制限等僅かながらにある。

こうした、この商人と自国政府(軍)という組み合わせに、ナショナリズムとは無縁の、異文化にオープンだった中東、中央アジア、中国が軒並み負けていった。



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