バンコクマダム録(1) 駐在辞令は突然に

今夜急にこんな話をされたら、あなたはどうしますが?

「バンコク転勤になった。2週間後。」

仕事から帰って来た旦那様から。はたまた恋人から。
稀なケースですが、男性の皆さまも、もし奥様や恋人にこう言われたらどうするか、想像してみてください。

今日から2週間後は、何月何日でしょう?
お仕事の予定も、遊びの予定も、2人で過ごす予定も、その枠の外までいっぱいありますよね。

これは、2006年2月忘れもしない彼のお誕生日、実際私に起こった出来事です。
誕生日ケーキのろうそくをふーっと彼は吹き消して、そう言いました。

「・・・・・!!! ・・・・・バンコク??? それってタイ???

社会人になってまだ3年にも満たない彼に、突然降ってきた異動の辞令でした。

中学生の頃に洋画・洋楽にハマりだしてから、海外生活はずっと私の憧れでした。
ネイティブの外国人講師とどうやったらお近付きになって、英語が喋れるか。
いつもソワソワしながら、英語を喋る機会を伺ってました。

そう。わたしが憧れてたのは、あくまで英語圏での海外生活!
そもそも先進国で暮らすこと以外は「憧れの海外生活」の範疇として、全く頭になかったのです。

虫や不衛生な場所は、大の苦手。学生時代の卒業旅行に彼が行きたいと言ったタイ旅行は「お友達と行っといで~♪」とアッサリ空港で見送りました。

タイって!!バンコクって!!
牛とか馬とか、その辺を歩いているんでしょ!!農耕牧畜でしょ!!
ハエがうじゃうじゃ飛んで、ぐったりした狂犬病の野犬が、その辺ウロウロしてるんでしょ!
うっかり飲み水に氷入れられたら、お腹壊すんでしょ!
そういう国でしょ~~~っ!!!

しかも当時の私は身体を壊して通院療養中。
ますます発展途上国での生活など、考えられない状況でした。
しかもその上で、彼の私に対する提案は、こう。

「恋人としてついてきて、一緒に生活してみない?」

・・・・・ちーーーん・・・・・。
頭の中で、お仏壇の音が鳴った。

彼と知り合ったのは、就職活動のとき。
彼は海外駐在を目標に商社を選んで就職。そんなわけで海外駐在は、いつしか2人共通の夢に。
「駐在についてくると、奥さんにもお給料が出るんだよ!」なんて話もしたりして。
そんなわけでもちろん結婚も考えていましたが、社会人になったばかりで、予定より早く海外駐在辞令が出た若い彼の、一番最初の提案は「海外で同棲生活」でした。

しかし・・・。

その場合生活費や、日々の通院に使ってる健康保険やなんかは、海外だとどうなるんだろう?
そもそも私って、どんな立場で生活するんだろう?
しかもしかも、何度も言うけど、農耕牧畜なタイでしょ!!

駐在するようになって、他の駐妻(駐在員の妻)さん達と関わるようになってわかったことですが、旦那様や恋人の駐在が決まって、ついて行くことを全く悩まなかった奥様なんて、たぶんほとんどいません。

特に駐在に多い20-30代のカップルは、現代ではほとんど共働き。
仕事を通じて自己実現、楽しくキャリアを築いている真っ只中の奥様がたくさん。
当時の私のように自分自身が身体を壊していたり、ご家族の面倒を見ていたり、お子様の進学・お受験対策があったり。

こういった事情から、ついてこない奥様はたーーくさんいます。
私の時代では、駐在員の8割が単身だと聞きました。(実際ウチの会社でも、家族帯同してる駐在員は2割程度で、ほとんどの方が単身でした。)

 

それでもわたしがタイへついて行くことを決めたのは・・・

赴任1週間前になって、彼が結婚を決心したこと。と、わたしの父親自身が転勤族で、小さな頃から土地を移動することに抵抗が無かったことと、わたしの進学に合わせて父親が単身赴任するようになり、それを見ていて単身赴任は家族も本人も大変だなぁ、と思ったから。

それでも不安いっぱいの決断でした。

 

プロポーズから3日後に入籍、その5日後には彼はタイへ発ちました。

「新婚の人妻なのに、別居での実家暮らし」という、それはそれは微妙な立場での帯同待機期間の始まり。

 

帯同待機期間については次項で説明致します。が、、、

冒頭の質問のように、今の私が突然、職場やパートナーから「海外赴任の辞令」を受け取ったら・・・

どこの国だったとしても、きっとよろこんで「いいねっ!」と答えるでしょう。

もちろん、未だに暮らせる自信のない国もありますが。

 

それでも自分から望んだ形ではなかったとはいえ、バンコク駐妻としてタイで生活した経験から「どこでもどーにかして、充実した生活は自分で築いていけるものだ!」とわかったから、そう答えたいし、そうできるようにしていきたいな、と思います。

バンコクでの駐妻生活では、日本ではなかなか出会えないようなタイ人のタイ式のんびりゆるゆる生活にも、たくさん影響を受けました。

いろんな土地で、その土地の気候や風土にあった、いろんな生活様式や、生活の知恵があります。

この日本で快適に暮らせていても、またはこの文化に馴染めないでいても、地球は広い!どこかでもっとピンと来るような生活様式というのは、ゼッタイ存在しているものです。

そんな地球人同志の「納得!手の平ポン!」という感覚を見せてくれるのが、海の外の世界。

 

これから連載で、わたしのゆるゆる駐妻生活録と共に、そんな「納得!手の平ポン!」なお話、生活の知恵・実際のタイでの生活情報などを著していきます。

どうぞよろしく!

 

 


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