チュニジア革命一周年から日本の未来を想う

中東の革命連鎖の火付け役になったチュニジアの革命から一年が経ち、昨年10月に選挙で選出された政権が今後一年近くかけて憲法改正を実施し、ゆくゆくは新しい憲法の下で新しい大統領が誕生することになります。
一番重要な点は今後リスクがとれるか、変われるか、だと思います。
似た事例を日本に探すなら、違いはあるものの、直近では明治維新に近いのでしょう。パラダイムシフトと様々な政治、社会、経済のモデルを変更できた時代でした。日本国内の内部闘争の話は横に置き、明治政府が様々な諸国を調査し、日本なりのモデルを構築しようとした時代でした。
チュニジアの政治家達はすでに着々と活動中ですが、権力と影響力の確保が主体で、国の将来に対するビジョンや具体的な政策まで打ち出す、いう雰囲気はまだ感じられません。
個人でも、一つの会社でも、変革の実現は簡単ではありません。全く新たな環境にさらされた国なら尚更です。居心地の良い、慣れた昔の環境に誘惑もされるでしょう。でもそれでは中途半端に終わって面白い結果も出てこない可能性が高くなります。
今後何処まで改革が出来るのか、明治維新のような、歴史を振り返っても物凄いインパクトがあったといえるような、新たな歴史が生まれていくことを期待しています。
こういう時こそ具体性のある新しい夢を構想しつつ、国民を鼓舞できる、しかし厳しいことをしっかりと言ってくれる人・政治家こそ本物だと思います。
市民に自由と責任はコインの両面であって片方だけ享受は出来ないとキチンと説明した上で、戦略的に取り組めばこんなことも可能だと、こんなに可能性はあると、しかし市民の努力も必要だと。
日本の政治家も市民に現実をしっかりと語りかける必要があるでしょう。借金漬けになってもさらに政府支出を増やすやり方を改め、負債を減らしながらも夢の持てる国作りを、国民とともに話し合うべき時です。
1981年、アメリカのレーガン大統領が就任した時に全国民に向けて正直に話しかけました。
「私達は借金に借金を重ねて来た。未来と将来の子供達を担保にして、一時的な利便性を今楽しむために。私達は個人として自分の収入以内の生活をしなければならない。個人の集合である国も同様じゃないか?(中略) 進歩はすぐに見えないかもしれない。しかし前に進み続けなければならない、政府支出を身の丈にあったものに戻さなければならない、妥協を排除して。(中略) 今日の国、全ての国民はこれらを行動に移す用意が出来ている。やらなければいけない事をやり抜くことを。幸せな生活と人生を送るために、自由を守るために、自分達、子供達、さらにその子供達の未来のために。」
まさに今の日本にあてはまるのではないでしょうか。個人の、家族の、そして社会の夢をこれから実現していく為に。
少なくとも政治家という範囲ではリーダー不在の日本ですし、個人が出来ることの幅が広がった現代ですから、夢も個人がどんどん描けばいいと思います。国の夢という意味ではケネディ大統領府が言った名台詞を今僕達自身が、日本人として、自分達が望む日本にするために、自問する時です。
「国民のみなさん、政府に何をしてくれるのかを問うのはやめましょう。自分が国のために何が出来るか自問してください。」
改革が必要な時代には根本的なところまで掘り下げられるか、変革と対峙するのはある意味それは自分個人との対峙も迫るものです。
夢は描くだけのものではなく、行動しながら、壁をいくつも乗り越えながら、諦めかける瞬間を何回も踏ん張って前に進み続け、少しずつ築き上げていくものです。
明日直ぐに実現出来てしまう無難な計画では達成してもガッツポーズする気にさえならないでしょう。
忍耐と努力と困難なプロセスを楽しみながら走り続けるからこそ、ゴールした時の達成感が、その充実感こそが、実現した事実よりもかけがえのない思い出に、人生の宝物になるはずです。誰でも何かしらの形でこうした体験があると思います。
もっとデカイ夢を持って走り続けて欲しい、日本人だからこそなおさら、と思います。明治維新のように、自ら革命と様々な改革を実行してきた日本ですから、自信を持って短期的なリスクを勇敢に乗り越えて、失敗しても立ち上がって、長期的に一段落高いところに辿り着く為に、日本人一人一人がちょっと無茶なくらいデカイ夢を持って欲しい。
諦めずに走り続ければゴールに必ず辿り着きます。怖がって未知のコースを走り始めなければ、発見も感動もガッツポーズもすることなく人生も国の将来も終わってしまうでしょう。
僕は世界から貧困をなくしたい、ちょっと生けているうちには無理な夢かもしれません。
インドにバックパックした時のあの小さな少女がリキシャに乗った僕の足におでこをこすりつけてまで、足を掴んでいたのが忘れられない。何も知らずに、恐らく親に送りつけられたとだろうとはいえ。
お金をあげても余計にこのような日々を、この子が送らなければならない。でも何もせずにはいられない。その場で根本の問題には何一つ貢献できない無力な自分がいました。
少しでも何かできるように、この後3年後にインドの国連で仕事を始めて2年半の間で約30万人ほどの貧困層に多少なりとも手を差し伸べることができました。今はアフリカ大陸でまた一からスタートです。
話が脱線しましたが、日本にはアメリカなんかより優れたところが沢山あるし、自らの長い歴史から学んできた日本ですから、改革出来ないはずはありません。そしてそれを実現化できるのは政府ではなく、自ら努力し考え、実行していく、走り続ける個人の集合体としての日本でしょう。
個人一人一人が不戦勝負けを受け入れるなら、国としても将来はないでしょう。全員で力を合わせてやり続ければ必ず目的地に辿り着ける。日本の将来はまさに個人一人一人の思考と行動にかかっている、そういう時代であることが鮮明過ぎるほどに明らかにらなってきた、と感じています。
日本の中にいても外にいても日本の将来のために考え続けながら、あらゆる世代のひとたちが夢を持てる国であるように、これからも何かしら日本に貢献していきたいと思っています。
注1)
著者の意図によりレーガン大統領就任演説訳は多少の意訳を含みます。原文はこちら
注2)明治維新は外部要因があったとしても第二次大戦後のように外部に統制された変革ではなかったので日本の歴史における自らの変革として引用しています。
注3) 写真はロイター紙(チュニジア国旗)、ニューヨークタイムズ紙(革命時のチュニス市街)から抜粋。最後の写真はケープタウンにて著者撮影。
Note) The above photos are properties of Reuters (Tunisian Flag) and NY Times (Tunisian Revolution scenes). The sunset photo belongs to the author, Mr. Kazuhiro Numasawa.
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