ファゴットを追求し、ドイツ経由カタールへ(後編)

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■ ドイツ留学でサバイバルするために必要だった グローバル力とは?

1、 はっきり意思、意見を伝えること。

ドイツ人の家にお邪魔をして、「何かお飲みになりますか?」と聞かれた時に、「いいえ、お構いなく」って答えたら、何も出てきませんから。水が飲みたかったら、「お水を下さい」と言うべきだし、コーヒーが良ければ「コーヒー頂けますか」と。要求が無理ならば、相手も無理だと言ってきますし、「何がありますか?」と逆に聞いても失礼には思われません。

ドイツではよく他の学生のレッスンを聴講します。個人レッスン以外に、「Klassenstunde」といって、週一回、先生+生徒全員で一人ずつ演奏し、意見の交換をしたりするんです。「人前で演奏する事に慣れる」「緊張状態で普段と同じ演奏ができるか」「緊張すると自分の状態はどうなるか」などを知るために行なうのですが、その時の意見交換で、私は「自分ができていて、その人ができていないこと」は指摘できても、「自分もできていないこと」を人には指摘できないんです。でも、他の国から来ている人たちは、自分ができていようがいまいが、「もっとこうしたら良い、こうするべきだ」と言ってくるんですよね。はじめは、「よく言えたもんだなぁ、自分だってできてないくせに」と内心思いましたが、結局、 指摘されることでそれが自分のためになっていたんですよね。ありがたいことです。

2、  語学力。

前述したエピソードにある通り、なんとか海外で暮らしている私でもいまだに全然足りていないのですが、できるにこした事はありません。将来海外に留学、就職したい人で、今まだ学生なら、英語はしっかり勉強しておくべきですよ。私も昔、よく言われたのですが、結果勉強しなかったのは今になって後悔しています。他人から言われただけではなかなかやる気にならない人は、是非、海外旅行に行ってみて下さい。行くことによって、語学を勉強しなきゃってスイッチが入るかもしれませんよ。いわゆるパッケージ旅行ではなくて、自分自身で動いて現地の生の情報や現地の地元の方々と触れ合うことができる旅がベストです。

あと、発音とアクセントの勉強。母国語にない音を発音するのは難しいことです。でも本来、ここもしっかりやるべきでしょう。特に「R」と「L」が聞き取れないのですごく苦労します。「play」も「pray」も同じに聞こえてしまう日本人。「マクドナルド」も「マイケルジャクソン」もカタカナ発音したら、全く通じません。そして、分かった時には爆笑されます。

日本の英語教育では、できるだけ発音にもっと重点をおいて欲しいと思っています。個人的には、きちんとした発音の練習を小学生の時にやるべきだと思っています。

島国の日本人が外国語をしゃべるのは、西洋人が他の言葉を覚えるより4倍難しいと言われています。けれども、やっぱり言葉が理解できないのはストレスになりますから、行きたい国が決まっているならば、その国の言語を勉強するべきです。

3、 諦めないこと、粘ること、すぐに謝らないこと。

私も何度オーディションを受けたか分かりません。落ちても落ちても、「まだ次がある」って思って、絶対に諦めませんでした。諦めなければ、いつか叶うかもしれないけど、諦めたらその時点で終わりだと思って。最終的に私がオーケストラに入れたのも、幸運もあったと思うけど、粘って粘って、そのチャンスが来るまで諦めなかったからだと思っています。

日本人はすぐに「すみません」という言葉を口にします。道でちょっとぶつかったぐらいで「すみません」を口にするのはいいんですけど、例えば、車での事故の場合、外国人は、相手が100%悪かったとしても、絶対に謝ってきません。謝ったら非を認めることになるからです。

リハーサルに遅刻すると、「渋滞だった」とか。(渋滞を見越して、家を出ればいいのに。。。)
レストランでは、2倍の額の請求書が来たときも、なかなか日本のようにへりくだって謝ってはきません。 ホント言い訳ばかりして、謝らないんですよ。常に自分が正しいと思い込んでいる。だいたい、これでいつも腹が立ってます。日本人は相手の立場になってものを考えられる、心配りができる民族だから、それができない人を見ると、腹が立つんでしょう。

簡単に謝らないことが、常に正しいというわけではないのですが、そんな常識がまかり通っている海外で日本人がサバイバルしていくには留意すべきポイントですね。

4、 自分が外国人だと意識し、警戒心と緊張を忘れてはいけない。

先にドイツでビンボー学生だった話をしましたが、外国にいるといつも自分が外国人なんだということを思い知らされます。ビザの更新に行く時も「外国人局」に行きますし、銀行口座にある一定のお金が入っていなければ、学生ビザの許可も下りません。

カタールでも、国を出る際には事前に、「外出許可」を取らなければいけませんし、6ヶ月以上カタールを離れていれば、今のビザは無効になります。就職先から解雇されれば、すぐに国を出なければいけません。日本でも、ギリギリの学生生活をしている人もそれなりにいると思うけど、お金がないからといって、日本を追い出される人はいないでしょう。自国の人というのは、その国にいる限り守られているんです。

 

 ■ 小さくまとまってしまう日本人

日本のオーケストラのレベルをもっと向上させるために、また外国のオーケストラにもっと日本人が入団できるように、多くの方々にドイツをはじめ、ヨーロッパ各国に行って学んでいただきたいと思っています。

日本のオーケストラでは音程や楽譜通りに演奏することが重視されているように思いますが、私はさらに、「音楽をもっと自由に表現できるようになればいいな」と思います。私が学生時代によく注意され、今でも常に意識するのは、「小さくまとまりすぎないように」ということです。

「日本人はよく練習をするし、きれいに演奏するんですけど、なんか物足りない」というのがヨーロッパの人たちから見た日本人の印象でした。

さて、なぜ小さくまとまってしまうのか。

私の場合は、
1、自分の演奏に自信がないから。
2、他人からの評価が怖いから。
3、謙虚すぎる。
でした。
1を解消するには、練習して技術を向上させ、音楽を勉強して磨き上げ、レベルアップをするしかありません。これは努力あるのみ。
2を解消するには、評価されることに慣れることですかね。ある意味、開き直るというか。ストレスも「ストレスのない世界はない」と言いますし、慣れるしかないんですよね。そして、ストレスを解消する手段を見つけることです。
3については、日本では謙虚、遠慮が基本で、相手に「お先にどうぞ」の心配りをしますし、あえて自身、身内を卑下するのが「美」とされていますよね。それが、日本の伝統なので一概に悪いとは思いませんが、そういう私たちが、欧米の人たちと同じ舞台に立ったときは、「自身がない人」と見えてしまうのでしょう。彼らは「自分が、自分が」としゃしゃり出ていく文化の人たちなので。

できるのに「できない、できない」と言う日本人。

できないのに「できる、できる」という欧米人。

外国人に勝っていくためには、もっとがんがんに自分を出していくしかないんです!
自信は演奏に反映されますから。

 ■ 開国するということは、今までと違うことを受け入れるということ

私の勝手なイメージでは、「グローバル化」「グローバルな人間」とは海外に出て行くことでした。でも、これは一方通行の話ではなく、出て行くということは、他国から出てくる人たちを受け入れて、理解することもしなければならないということなんですよね。それが、つまりジャパンを開国することだと。koyama_SFN

だとすれば、必ず「攘夷派」もいるかもしれませんね。だって、開国するということは、今までと違うことを受け入れるということ。今までなかった物や、常識が入ってくるということは、今まであった物が崩れてしまうと思う人もいるはず。

でも、侵略される訳ではないし、日本人らしさ、日本人の良いところを失わず、今までになかった文化、常識を受け入れる事はできるはずです。欲張りな話なのでしょうか。いや、可能だと思います。それは個人の意識にあると思うからです。

「閉塞感のある社会」、「右肩下がりの時代」、そんな言葉が横行する現在の日本社会ですが、周りのせいにするのはやめましょう。いまの社会を作っているのは誰ですか?日本人一人ひとりが、意識して新しいものを受け入れる姿勢を見せること、そして海外へどんどん出て行くこと。これが今の日本に求められていることではないかと思っています。

開国ジャパンプロジェクト

 

<了>

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