バンコクマダム録(6)スーパー駐妻に出会う
バンコク時代、私は何人かの「スーパー駐妻」に出会っている。
「スーパー駐妻」とは、駐在員妻らしい生活を越え、自分らしいスタイルでその国を楽しみ、その生活を独自路線のまま開拓して行っている、マイスタイルのある自由な駐妻のことである。
多くの「スーパー駐妻」は何かにとても熱中しており、特に現地の言葉においてはほぼ通訳レベルにペラペラで、現地で誰とでも何の滞りもなくコミュニケーションできるのである。
念のため加筆させていただくと、「スーパー駐妻」は駐在員全員に通じる言葉ではなく、私の駐妻仲間の1人が作った、そういったスゴイ駐妻さんを指す名称である。
私にお手伝いさんを紹介してくれた、会社の奥様Nさん。
彼女はまさに、私が出会ったスーパー駐妻の、第1人者である。
タイ語が抜群に堪能なNさんは、ドライバーさんやお手伝いさんとのコミュニケ―ションが、もちろん抜群にスムーズ。
和裁や和装、茶道や生け花などの日本文化に精通しておられ、その和の知識と語学力から、タイ皇室のイベントで和服姿をふるまったり、タイ人に着付けを教えたり、とてもご活躍されていた。
そんなN夫妻が、私達にお手伝いさんを紹介して下さり、引越後すぐに我が家を訪ねて下さったご夫婦である。
ちなみに言わずもがなであるが、その日は我が家にお通しすることができず、コンドミニアム内の共有スペースでお話を伺わせて戴いた。
そして翌日、お手伝いさんと実際面会するために、N夫妻のお宅へ伺った。
初めて知り合った駐妻さんがNさんだったので、「うわぁ~!駐妻さんってスゴイ!!」と、わたしは腰を抜かしてしまった。
清潔な広~いリビングには、凛として美しく活けられたお花が飾られており、センスの良い急須と湯のみで、日本の緑茶をさらりと出して下さった。
駐妻としてもスーパーだが、まず奥様としてスーパー。
考えてみると、「駐妻さん」に会ったのも初めてだが、まともにひとつの家庭の「奥様」に会ったのも、初めてだったのかもしれない。
当時25歳だった私には、結婚しているお友達すら、ほとんどいなかったのだ。
凛として美しくて、センスが良くて、それでいて気さくでやさしくて、夫婦仲が良い。
わたしはすっかり、10個近く年上のNさんのファンになった。
会社の奥様のお話が出たので、もうちょっとそのお話をしよう。
会社の奥様同士のお付き合いが密になるイメージの強い「駐在」という世界。
このお話が気になっている方も多いのでは?
海外駐在員の奥様と言えば、「奥様会」。
ウチの会社にもあった。2ヶ月に1回のペースで、同じ会社の奥様で集まってランチをとる「奥様会」。
いろんな会社があって、いろんな奥様会のやり方や、社内の奥様同志のお付き合いの慣わしなどを耳にすることがあったが、ウチの会社はタイでの駐在歴が長いせいか、とて~もゆるく、アッサリ。
自由参加。ドレスコードなし。子供同伴OK。食べるメニューも好きなものを選んでOK。
こんな気楽なスタイルで、「慣わし」染みたモノなど全然なし。
あくまで「みんな元気でやってるか確認し合う」「一緒に美味しいモノを食べる」といった趣旨。
会社によっては、絶対参加・デニム&肩出し不可・子供同伴不可(この場合お手伝いさんなどに預けてくる)・メニューは幹事が事前に設定するか、コースを決めておく・新人奥様が初回参加の場合はお花を用意する・最後の参加になる奥様はスピーチを用意しておく・毎回集合写真を撮る、等々いろいろな慣わしがある。
奥様会の様子は会社によって全然違ったが、私はその点ではとても恵まれていた。
それでも初回はド緊張して参加した奥様会。
事前にNさんに会えていただけでも、ずいぶん救われた。
アソークにあるタイムズスクエアの「ジャスミン」という飲茶のお店で参加したのが、初めての奥様会。
よく聞かれる質問の1つに「初めての奥様会や、現地の日本人に持って行くお土産、何にしたらいい?」というものがある。
なので、せっかくだから、とてもタメにならない、私の経験談をご紹介。(失敗談とも言う。)
その初回の奥様会へのお土産・・・正直あまり大きな声では言いたくないのだが、私たち夫婦が用意したもの。ずばり。
・・・・・・・タオルケット。
知ってますよね?みなさん。あの、タオルケットです。夏場、よく寝るときに使うやつです。
あのパイル地の肌触りが気持ちいい、あのタオルケットです。
まぁ、意外とタイには売ってないよねっていうんで・・・。
よくよく考えた末、選んだのですが。
シングルの小さめのタオルケットを、1世帯につき、1枚。
あの、この点だけは明記しておきたいのですが、本当にこれは義務ではありません。
「うわー。うっかり駐在マダムになったりすると、そんなことしなきゃいけないんだー!」
って思ったそこのアナタ。
安心してください。
後にも先にも、こんなものを駐在始めのお土産に持ってきた奥様なんて、私以外誰もいません。
聞いたこともありません。
ウチだけです。
わたしも旦那さんも、何枚もタオルケットを買い込みに行く私を止めなかった両親たちも、ちょっと観点がズレちゃってただけなんです。
そのときは「良かれ」と思って、タオルケットを選んだだけなんです。
渡タイ早々の奥様会のスケジュールに合わせて、引越荷物の中の貴重な航空便の利用枠を、この大量のタオルケットで埋めました。
これがどどん!と届くことが分かっていたので、よけい新居の荒れ具合に焦っていたんですね。
このタオルケットたち。
同じ会社マダムの皆さまは、後々、
「あれ、お昼寝の時にちょうどいいですねーありがとうございます♪」
とやさしく仰ってくだいましたが、見たそのときは、相当ビックリしたでしょうね。
これは悪例です。これから駐在予定のマダムのみなさまは、真似しないでくださいね♪
第6稿、長くなりましたので。
前稿で予告したお手伝いさんのお話は、次回の第7稿に続きます!
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