バンコクマダム録(8)タイ語オタクになる
バンコクに引っ越して最初に戸惑ったことの1つに、「ご近所さんへ引っ越しのあいさつをするべきか、否か」ということがある。
入居したコンドミニアムの管理人さんの1人に、年が近そうなタイ人の女の子がいた。彼女は通称ノンちゃん。
ノンちゃんは英語が喋れるし、とても社交的な子だったので、入居して間もないまだ日本人のお友達がいないころ、よくテラスでお喋りの相手になってくれた。
彼女はいわゆるキャリアウーマンタイプなのだと思う。
そのノンちゃんに「タイ語を習いに行こうと思う」と話した会話の流れで、「ゆう子のお隣の日本人のYさんは、すごくタイ語が上手なんだよ」と聞くことがあった。
当時住んでいた通りの入り口。
写真は2012年2月に撮影。
入り口だけは相変わらず。
お隣さんが日本人だと知った限りはご挨拶に行こうと思い、その日のうちにピンポーンと呼び鈴を鳴らした。
小柄で気さくなお隣のYさんは、よろこんでご挨拶を受け取って下さった。
「タイ語学校を検討中なんです」と話したら、大学でもタイ語が学べることを教えてくれた。
そして何より、彼女自身、ちょうど大学に通っていたのである!
駐妻さんが大学に通ったりするんだ! そんなことできるんだ!
タイに来てムエタイにはまり、観戦したり実戦(!)したりしながら、大学に通う彼女。
隣人のYさんは私が出会った、まさに2人目のスーパー駐妻だった。
Yさんの影響ですっかり「大学に通う」ということが脳裏に焼きついたのだが、そんなスーパーなこと、私なんかがやれるはずない、と同時に思った。
タイ語を習おうにも、体力に自信がなくて、週5フルタイムの語学学校すらパス。週2~3回午前中のみくらいのペースで、ゆる~く通おうと思っているのだ。
そんなわけで私が選んだのは、通学にも便利な、日本人の多いプロンポン駅前にある、週2・3回の授業で、ゆる~く学べる学校。
話を聞きに行ったら「ちょうど新しいクラスが始まったところだ」と言うので、無理にそのクラスの2回目のレッスンから参加させてもらうことにした。
意外と2回目からの参加組は私以外にもおり、合計で11名のクラスになった。その全員が日本人マダム。
教えてくれる先生はタイ人だったが、日本語がペラペラすぎるほどペラペラな先生で、正直あまり良い先生とは言えなかった。
私の場合、外国語=英語というベースがあったので、タイ語は英語の一部として最初頭の中に記憶されていった。
ゆえに、話そうと思うと、英語とタイ語が混ざる、混ざる。
主に英語を使って仕事をしている駐在員さんでは、英語力が落ちるのが嫌だからと、タイ語の勉強を辞める人もいる。
事実、タイ語を勉強したことで、確かに私の英語力はかなり落ちた。
学校に通ったことで、一気にお友達ができた。
ほとんどがみんな、年上の子持ちの主婦。私にとっては、かなり先輩な主婦の人達。
20代での駐在はまだまだ珍しく、私はたいてい、どこにいっても最年少だった。
クラスで一番年が近い同じ20代のお友達、通称あやぼうも3つ上。
日本ではお付き合いする機会のなかった、一回り近く年上の先輩主婦の人達と会うのは、とても新鮮な新しい世界で、いつも可愛がってもらえたし、楽しかった。
タイ語学校が終わって、みんなとお昼ご飯を食べて、お夕飯のお買い物をして帰る、というのが毎回のパターン。
それでも11人いたクラスの仲間のうち、次のタイ文字のクラスまで進もうと思ったのは、わたしとあやぼうだけだった。
たぶん、たまたまその時の先生が良くなかったのだと思う。
他の仲間達は、他の学校に移るか、タイ語を習うのをやめてしまった。
実際その初心者クラスの内容だけでも、タイで日本人として生活するには十分だし、次のクラスでタイ文字をやるとなれば、タイ語が好きな人しかやらない。
あやぼうはめずらしくタイ語に魅せられたタイプで、旦那様のタイ駐在が決まり、タイに来る前から日本でタイ語を勉強しており、もともとのベースがあった分成績も優秀だったし、私もわからない部分を教えてもらったりしてた。
そんなわけで、在タイ4か月くらいで、タイ文字を習うためのセミプライベートレッスンが始まった。
あやぼうという、タイ語オタク仲間と一緒に。
これが学校の中。
先生も変わった。当時はまだ女子大生だった、ラクサナー先生。
ラクサナー先生は日本の漫画が好きで、日本語の勉強中だった。
ゆっくりと、品のある発音でキレイなタイ語を喋る先生なので、そんな先生から学べて、本当に良かったと思う。
どんな音を聞いて勉強するかは、どんな風に喋るようになるかに、すごく影響する。
タイ文字を習い始めたお陰で、英語と混ざっていたタイ語が、やっと頭の中で分離し始めた。
タイ語の複雑な声調、音の違いも、わかるようになってきた。
看板やパッケージの表記が読めるようになって来て、タイという国で生活することに、どんどん幅が出てきた。
タイの小学校1年生の教科書を使って勉強しながら、新聞も読むようになった。とは言っても、眺めてて楽しい芸能欄を、先生と一緒に読むだけ。
夢中になった物事に対する情熱と、女性が生活を築こうとする能力というのは凄いもので、渡タイ後の半年に満たない時点で、私より半年早く来ていた旦那さんより、ずっと喋れるようになっていた。
このくらいになると、日常生活ではかなり十分なタイ語が喋れるようになり、お手伝いさんのプラーさんとも、タイ語のメモ書きを残し合ったりできるようになっていた。
渡タイ1年後くらいの話である。
そのまま居心地の良い学校でセミプライベートレッスンを続けることも考えたが、授業料が高かったのと、悪かった身体が良くなって、もっと別なスタイルで学んでみたくなったので、渡タイ2年め、お隣のYさんのように、ついに大学へ通うことにした。
「スーパー駐妻」がやることだと思っていたことを、いつの間にかさらりと、当たり前のことのように、自分がやろうとしていた。
次稿、駐妻大学生のことへと、お話が続きます!
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