アフガンに市場はあるの?- 1. テロのある日常

カブールの街角にて

2012年4月15日(日)昼過ぎ、カブール市内の自宅で仕事をしていると、アメリカ人の友人から電話が入りました。。「市内各地でテロリストによる攻撃が始まった。外に出るな。」耳を澄ますと、確かに遠くから銃撃音が聞こえてきます。(といっても、どれが銃撃音かすぐにはわかりませんでした。だって生で聞くのは初めてでしたから。)その音は夜通し聞こえました。そして明け方、これでもかというほどの銃撃音が数分間続いた後、完全な沈黙。テロは制圧されたのです。

約1年前、開国ジャパンに最初のコラムを書かせて頂いたとき、私はインドで働いていて、
『やりたいと思うことをやっていたら、ここに来てしまった、というのが正直な感想です。(ここからどこに行くのかもまだわかりません!)』
と書きました。
案の定というべきか、その後さまざまなご縁が重なって、まさに当時想像もしなかった場所アフガニスタンのカブールに来てしまいました。

アフガニスタンと聞いて、みなさん何を思い浮かべるでしょうか?

紛争国・貧困国・イスラム国家・中東中央アジア・・・日本とはずいぶん違う性格を持つ国。ここから眺める世界はずいぶんと違って見えるものだなあと、来て初めて気づきました。

アフガニスタンでは、2013年中の米軍完全撤退を前に、将来への不安感がじわじわと高まっています。タリバンの攻撃は激化すると予想され(冒頭の襲撃後も、外国人用宿泊施設が狙われる事件がありました)、米国寄りとされた現政権も保守化が進む(既に進んでいる)とも言われます。米軍と市民の摩擦も表面化しています(コーラン焼却事件、米軍兵士による一般人大量銃殺事件など)。

経済も先行きは不透明です。ビジネスマン・投資家は、事態が悪化する前に取れるだけの利益を取っておこうと、もっぱら短期的視点で動いているようです。首都カブールでここ数年続いていた不動産価格の高騰もピークを越えたようで、バブル崩壊の気配が漂っています。一般市民の生活は依然として苦しいままです。カブールでは失業者が目立ち、早朝には日雇い労働者がその日の稼ぎを求めて行列を作っています。

Building after attack

テロリストが一晩立てこもったビル。窓ガラスが割れている。

とまあ、こういったマクロな政治経済ネタは、新聞テレビ等でも見聞きできると思うので、このコラムでは書きません。むしろ、メディアには取り上げられないような、アフガニスタンの『日常』をお伝えしたいと思っています。

具体的なエピソードは次回以降に譲るとして、まずは今私が取り組んでいることの概要を簡単にご紹介します。

現在私が働くd.light designは、世界中の電気を持たない人々に、手ごろで、信頼できるクリーンな照明を提供することを目指しています。5年前にスタンフォード大学院生5名が設立したソーシャルベンチャーです。これまでにインドと東アフリカを中心に、40か国以上でソーラーライトを販売しています。

d.lightにとってアフガニスタンは新しい市場であり、私が同社第一号の駐在員です。年間300日以上の晴天が望めること、無電化人口が85%を占めること、その割合は15年後も60-70%と予測されることなどから、進出する意義が高いとされました。(実はすでに10W-100W程度のソーラーホームシステムは結構出回っています。)

カブール市内にはソーラーパネル販売店も多い

昨年11月、オフィスも何もない、まったくゼロの状態で市場開拓をスタートしました。国内に流通パートナーを見つけ、彼らのマーケティングおよび販売活動を軌道に乗せるのが私のミッションです。まだまだ道半ば。驚きと戸惑いの連続。『市場』が存在するようで、存在しない。あるいは全く予想もしなかった原理で動いている。常識が覆されてばかりです。

それでも何が楽しいかと言うと、月並みですが、やっぱりアフガニスタンの人たちとの出会いがあるからです。日本でニュースを見ていると、「アフガニスタンなんて危なくて、とても住める所じゃない!」などと思ってしまいますが、そんな場所にも人は住んでいるし、日常生活があるんですよね。

実際、冒頭のテロ事件の際も、最後の銃撃戦終了から30分も経たないうちに、自宅前の通りは日常に戻っていました。いつもどおり、道路工事が始まり、野菜売りの声が聞こえ、アイスクリーム屋さんの音楽が流れ始めて。

何十年もの間戦争と隣りあわせでいながら、(いえ、だからこそ、なのかもしれませんが、)毎日を淡々と、でもたくましく生きている。

仕事柄、ビジネス、マーケティング、そして開発に関する話題が多いと思いますが、アフガニスタンに限らず、途上国でのビジネス、国際協力の分野に興味を持つ方々の参考になれば幸いです。

では次回。

カブールの夕焼け。実は(!)山々に囲まれた美しい街。


Facebookページに参加しませんか!

『開国ジャパン』は海外経験豊富な開国アンバサダーによる情報発信メディアです。
海外での生活やビジネスなどに興味のある方のために

各国に駐在しているアンバサダーからの現地事情
英語などの語学や海外での生活情報
海外ビジネスの情報

など、幅広く最新の情報を発信しています。


最新記事のチェックにはTwitterが便利です。

更新情報を必ずツイートしています。どうぞ、フォローしてください。


開国アンバサダー

現在89のアンバサダーが活躍中!

開国アンバサダーは、「グローバル社会で活躍する新しい日本人のロールモデル」 です。開国ジャパンでは彼らの熱い想いを発信しています。

開国アンバサダーとは 開国アンバサダー一覧 開国アンバサダー推薦フォーム

チーム開国ジャパン

ピックアップ

最新ニュース

  • U18W杯開幕、清宮オコエらで初V期待

    夏の甲子園を沸かせた高校生強打者2人が、28日開幕した第27回U−18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)で日本代表として世界一に挑む。 ...

  • 「ガトリンの復讐」ボルト激突も無事

    【AFP=時事】(写真追加)第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)の男...

  • イチのファンサービスに観客感涙

    「マーリンズ1-2パイレーツ」(27日、マイアミ) マーリンズのイチロー外野手(41)は「2番・右翼」で出場し、4打数無安打。17打席連続無安打(3四球、1犠打...

  • 川栄李奈、初舞台で「おバカ」返上へ

    今月4日にAKB48を卒業した女優の川栄李奈が26日、都内で行われた舞台『AZUMI 幕末編』の制作発表・公開稽古に、共演者とともに出席した。 ...

  • 世界の若手億万長者30名 日本人は?

    フォーブスは世界で最も裕福な40歳未満の 44人のリストを公開した。ここではその中から30名をピックアップ。年齢の若い順に掲載する。 エヴァン・シュピーゲル(ス...

他のニュースも見る