グローバルなサバイバルで自分をリバイバル

現在は、チュニジアの首都チュニスに住みながらアフリカ開発銀行というアフリカに特化した開発銀行に勤務しています。チュニジアは昨年の年末から革命運動が始まり、一月中は暴動や犯罪が悪化し、スーパーは燃やされて強奪事件になり、同僚の家も襲われたり、車が燃やされたりしました。元大統領に従っていた警官部隊が犯罪者化し、夜間の被害と危険が高まり、商店は日中も閉鎖し、食料確保も難しくなりました。
近所でも被害がで始めたことから混乱する空港に行ってどうにかロンドンに脱出したのが一月半ばでした。夜中、締め切った家の中から屋外の銃声や叫び声を聞くというのは人生で初めての経験でした。しかし国の革命にたまたま居合わせるなんて日本だったら明治維新にタイムトリップしないと味わえない体験なので貴重だったと今は思います。
チュニジア自体は地中海に面して気候も良く、ヨーロッパ各国から旅行者が絶えない魅力的な国です。ただ仕事は現在アフリカの農業•農工業セクターに携わっているのと経済開発支援の優先度から北アフリカ以外の国が主なクライアントです。これを書いている現在はウガンダに出張中です。
アフリカ大陸に進出する前はインドの国連開発計画においてプログラム担当官として2年半ほど勤務しましたが、その時の現場経験は今でも様々な面で役にたっています。インドで結果をだせたら世界のどこでも戦える、そんな気はします。ただお腹は最後まで(定期的に)壊してましたので、免疫力は鍛えられないようです(苦笑)
大学進学時には食料問題に興味があったり、植物や自然が好きなので環境問題に関心があったのが理由で北海道大学の農学部に行きました。農学部にいったことと大学一年から始めたチャイルドスポンサーシップでインドの子を支援することになったのがきっかけで国際開発の分野に少しずつ興味を持ち始めました。
留学前にバックパックで一人インド旅行したのもいい経験です。ただ振り返ると、父親が海外の仕事をしていたのと、英語を教えてくれていたので(海外生活経験はないものの)英語に対する免疫は少しあったのかもしれません。
■ 農業だけじゃ世界は救えない!そこでコンサルティング会社へ
「グローバル」に関しては、明確なイメージという意味では何も考えていなかった、と言った方がいいかもしれません。ただ大学進学で親元を離れる前に親父から「将来少しでも人の役に立てるように」と励まされた言葉はずっと心に残っていました。初めて国外に出たのは19歳、それまで海外を意識したことはほとんどありませんでした。サッカーのワールドカップくらいでしょうか、真剣に海外の事に目を向けていたのは。(笑)
それでも人助け的な延長で食料問題には興味がありました。非常になんとなくですが。祖母から第二次世界大戦中や戦後の苦労を聞かされていたのも無意識に影響があったかもしれません。本当の苦労を生き抜いてきた人はなぜか魅力を感じますね、人間としての深みがあるというか。
農学部に行ったのも、ワールドビジョンを通してインドの子を支援することにしたのもそういう理由です。あまり深い考察があったわけではなく何となく始めてみた、という感じです。ただ、農学部で勉強しながら「農業だけじゃ世界は救えない!」と生意気に分かったようなことを思っていました(今まさにその農業支援をアフリカでしていますが(苦笑)
そんなこともあり、色々な業界を経営者の視点で経験できるコンサルタント業界に就職して必死に仕事していたらあっという間に4年経っていました。そこで、「そもそも何やりたかったんだっけ?」と自問した結果、国際開発の道にキャリア転換することを決め、アメリカ留学に至りました。
■ 変化し続けることがグローバルなのかもしれない
グローバルになるというのも事前に綿密に計画したわけでなく、日本国外の生活・仕事をかれこれ6年ほどやってきて、その時その時を必死に生き延びてきた感じです。自分の気持ちに素直に生きて、目的を達成するために現在でも試行錯誤を繰り返しています。ですので、自分の変化は常に現在進行形です。グローバルになったかどうかは自分でも分かりませんが……。
そもそもグローバル自体が変化し続けるので、恐らく変化し続けることがグローバルなのかもしれません。そういう意味では海外での仕事や生活体験は自らを変革せざるをえない状況を豊富に提供してくれるのでエキサイティングですね。様々な局面をサバイバルしてきたこともあって、内面的な観点では相当我慢強くなったし、心理的な忍耐力がついたと思っています。それから国籍を問わず相手を理解する幅と深みは広がったと思いますね。
価値観や生き方、考え方のプロセス、コミュニケーションの仕方、信頼関係の構築プロセスなど、国籍・バックグランドでかなり違いますし、おかれた環境・国によっても左右されます。ある意味、自分が日本国内で仕事をしている時の当たり前はほとんど当たり前でない、くらいの感覚かもしれません。
ただ、変化し続ける中でも、より普遍的なものというか価値を生み出すスキル・能力というのは国籍を問わず存在するような気もしています。絶対的な存在(宗教)の重要性の理解、歴史・社会的背景を踏まえた発言・解釈と人々の言動・感情をきちんとコンテクストで理解できること、明晰でロジカルな議論、トップレベルのクオリティを追求し続けること、人を楽しませる・笑わせることができること、相手のプライベート・家族をきちんと敬えること、などです。
まだまだ修行段階ですが、こういった面をハイレベルに実行している人に会う度に、あー自分ももっとちゃんとできるようになりたい、と思いますね。ただ、自分自身をリバイバルするプロセスを繰り返すうちに、全てを再構築するわけでなく、伸ばす部分、直す部分を再定義することが自然にできるようになってきている気がします。
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