アフガンに市場はあるの?-2. 店頭インタビュー
電気がなくても収入が少なくても、携帯電話は世界の隅々まで普及している。アフガニスタンも例外ではない。地理的・歴史的に「全国ネットワーク」「全国ブランド」なるものが皆無といっていいこの国でも、携帯キャリアだけは全国キャリアが複数存在している。その一つ、ロシャンがd.lightのソーラーライトを販売することになった。(ちなみにロシャンとはペルシャ語で光という意味。面白い偶然。)
首都カブールの一番の繁華街にロシャンの旗艦店がある。インターネットカフェを併設したこの店舗は来店者も多い。せっかくなのでライトの販売と並行して、店頭インタビュー調査をしようということになった。実のところ、ソーラーライトは都市部よりも農村部に多くの顧客を見込めるはずなのだが、停電も多いカブールのこと。ライトのニーズも少なからずあるはずだと考えた。何はともあれユーザニーズを把握したい。
カブール在住の若者アレフ君を調査員として雇い、スタートしたのだが、1日、2日過ぎても埋まった調査票は数名分。多い日には1000人を超える来店者があるはずなのになぜ?アフガンの人は結構おしゃべり好きで、乗り合いタクシーでは初対面同士でもよく世間話に花が咲いているのになぜ?これは一体どうしたことか?
よくよく聞いてみて驚いた。
来店者に声をかけても「何そんなバカなことやっているんだ?」「物好きだねえ。」「こんなことやる人に初めて会ったよ。」と笑われて逃げられてしまうらしい。どうやらアフガニスタンでは、売り手が消費者にニーズ・嗜好・意見を聞くという行為が相当珍しいようだ。
確かに思い当ることはある。
カブールに来てからずいぶんたくさんのビジネスマンにあったが、たいていこう聞かれる。「で、どこのプロジェクトが取れたの(取る予定なの)?」
ここでいうプロジェクトとは、米軍・NATO軍・国連機関・各国援助機関(日本でいうJICAのような機関)等から請け負った契約のこと。つまり彼らのビジネスは、「数千個単位の物品納入契約を取る」形態。消費者ニーズの理解も、流通網構築も伴わない。アフガン経済の90%が援助関連と言われるくらい、こうした「プロジェクト」が多い。
折りしも先週シカゴでNATOサミットが開催され、NATO軍撤退後のアフガニスタン支援が話題になっていたが、今後アフガニスタンに流れ込む援助資金は格段に減るだろう(というか、もう減り始めている)。
アフガニスタンビジネスマン達に根強い援助志向を見るにつけ、そろそろ方向転換したほうがいいかもよと忠告したくなる。
私が働くd.lightは(国際機関やNGOから受注することもあるが)、現地パートナーと協力して流通網を作ることに主眼を置いている。そのほうが長期的に見て、より多くの人たちにライトを届けることができるし、自社やパートナー企業にとっても継続的に収益が上がりサステナブルだと考えるから。
さて、店頭インタビューのアレフ君。レスリング選手でもある彼は、持ち前の粘りを発揮して、その後たくさんの来店者から聞き取り調査をすることに成功した。その内容についてはまた今度。
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