【対談】「日本サッカー界に必要なグローバル力とは」(後編)

サッカー日本代表の海外遠征の取材や、東欧や東南アジア、米国といったサッカー文化発展途上国でプレーする日本人選手を取材するため、世界をまたにかけて活動する写真家・ノンフィクションライターの宇都宮徹壱氏。外資系コンサルティング会社出身で、2010年南アフリカW杯に出場する32カ国を巡る「世界一蹴の旅」を遂行し、ビジネス×サッカーという独自の視点から日本人を論じ、日本のグローバル化を志すヨモケン氏。「開国ジャパンプロジェクト」のオープニング企画としてのスペシャル対談。日本のグローバル化、開国化について、サッカーの観点から語り合います。

 

(宇都宮)
ところで、最近若い人たちが海外に行かないという傾向が強いと聞いてますけど、サッカーに限らず、どんどん海外に行ってほしいですよね。

僕が大学生のころって、まあ今から20年以上の昔話ですが(笑)、学生時代の間に「早くやっておかなければならない3つのこと」っていうのがあったんですよ。車の免許を取る、彼女を作る、そして海外旅行。それがないとちょっと恥ずかしい、みたいなそんな位置づけだったんですよ、海外旅行って。

「かわいい子には旅をさせろ」って昔はよく言われてたわけですが、最近聞かなくなっちゃいましたよね。すごくいい言葉だと思うんですけど。海外に行くって、やっぱりリスク高いと思うじゃないですか。でもリスクを承知で親は行かせるべきだと思います。英語を一生懸命勉強させたがるくせに、ひとりで海外には行かせないなんておかしいじゃないですか。

外国語がしゃべれなくても、まずはドンと背中を押すべきですよ。現地に行って、何かしらトラブルに巻き込まれて、必死な状況に追い込まれた時、そこで初めて自分自身の底力が試させる。何とか窮地を脱しようと必死に考えて行動する。日本って、あまり必死な状況になることってあまりないじゃないですか、受験や就職活動以外。

 

(ヨモケン)
僕の同級生がいま大学の職員をやっている仲間がいるんですが、彼がいまの学生と面談していても、海外志向の学生ってホントに少ないんだそうです。この震災の影響もあったりで、まだまだ就職氷河期は続くでしょう。そんなときでこそ海外へ飛び出していくような学生がどんどん出てきてくれればと思うのですが。

 

(宇都宮)
われわれの業界の話をすると、最近のサッカーライターを目指す若い人たちって、なぜかバルセロナなどのメジャーな都市が多い。イングランド、ドイツもしかり。そういうところへ行っても、そこにはすでに第一人者がいるわけで、いまさら張り合っても仕方ないのではないかと思うんですよ。むしろ、自分の強みは何か、人との違いは何か、といった部分を常に意識していくべきだと思います、戦略的にね。それはサッカーライターに限らず、どの世界でも同じだと思うんですよ。海外に勝負に打って出ることは、それはもちろん素晴らしいことだと思いますが、やはりストロングポイントを意識しながら出て行くってことも大事だと思います。

 

 

(宇都宮)
ここでまた海外組の話に戻りますが、やっぱり成功した選手、しなかった選手を見比べてみると、オープンマインドを持っていたかどうか、というのは大きく差が出ているように思うんですよ。海外で成功しなかった選手は、どうも引っ込み思案で周りの仲間に溶け込めてなかったような気がします。それに比べ、いまの若い世代、「調子ノリ世代」と呼ばれている選手たちって、全然メンタリティが違いますよね。

 

(ヨモケン)
彼らのマインドセットは、外人ウケするでしょうからね。彼らをこれからフォローしていく若い世代の子たちも、どんどん外人ウケするキャラクターになるでしょうね。長友みたいな選手がこれからの若い選手のロールモデルになるように思えます。ロールモデルと言えば、マンガの影響も強いと思うんですが、これからはサイドバックが主人公のマンガが出てくるかもしれませんね(笑)

 

(宇都宮)
僕は逆にJリーグ自体もグローバル化してほしいって思いますね。いまのJリーグの外国人選手って言えば、ブラジル人と韓国人しかいない、みたいなイメージがあるじゃないですか。でもJリーグが始まった頃って、ドイツ人もいれば、セルビア人もいれば、アルゼンチン人もボリビア人もいたじゃないですか。

 

(ヨモケン)
それこそ「サッカー和僑」のネットワークがあれば、アフリカあたりからももっとコストパフォーマンスのいい選手がたくさん取れると思うんですよね。Jリーグで見られる外国人もバラエティに富んだ多様性溢れる選手がたくさんいるといいですよね。

 

(宇都宮)
お金のあまりないクラブなんかは、いいスカウトを雇って、世界からいい選手を見つけてきて、そのあと他のクラブに売るような、そういう戦略がもっとあってもいいと思いますよ。そういうビジネスモデルは、すでにタイのクラブがやっていますからね。コートジボワール人を加入させて、ちょっと活躍したらベルギーのクラブに高値で売っていました。それと胸スポンサーについても、グローバル企業のものが多かった。やっているサッカーのレベルはJリーグのほうが上ですが、グローバリズムへの対応という意味では、日本はタイから学ぶ点は少なからずあると思いますよ。

 

(ヨモケン)
インド人とかシンガポール人とか、アジアでも新興国でお金のある地域から外国人を呼び込む作戦もアリだと思うんですよね。その昔、カズが日本のスポンサーを引き連れて、イタリアのセリエAに移籍したじゃないですか。今度は逆のモデルができるんじゃないかと思うわけです。インドからタタモータースあたりのスポンサーとセットになった選手が日本に来たりしても面白いと思うんですよね。そういう多様化の中で、Jリーグがアジアの中でのプレミア化してくれるとファンとしても、日本人としても嬉しいですよね。

 

<了>


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